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ジョー・サトリアーニ 「テクニックなんてはかないものだ」

秋にオーストラリア&ニュージーランド・ツアーを予定しているジョー・サトリアーニが現地メディアのインタビューに応えました。

後半はなかなかに深いお話をしています、サッチの見解に深く頷きました。

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今年前半のツアーを終えて、現在はオフ中ですね。楽しんでいますか?

もちろん。今は自宅の手入れで大工の人に来てもらっているんだ。私は曲を書きながら、彼らの仕事を見ているんだよ。バンドのメンバーは彼らのバンドでツアーに出なくちゃならないから、うまくスケジュール調整できている。

ベースプレイヤーのブライアン・ベラーは彼のバンド The Aritocrats で9月からツアーだし、ジョー・トラバースとマイク・ケネリーはザッパ一族と仕事をしているんだ。3月にホログラムを使ったフランク・ザッパ・ツアーがあるのでロスで準備しているんだ。オーストラリア・ツアーの為にまた全員集まるよ。

皆が忙しいですから、ツアーのスケジュールを決めるのは難しそうですね。

妥協すること、意思疎通をしっかりすることは必要だね。皆のギグはそれぞれ重要だ、だから私たちはよく話し合い、誰が都合がつくか、どうしたら上手くいくかを話し合う。ツアーをやるには皆の協力が要る。

ジョー・トラバースは高度なテクニカル・ドラマーで、ドラマーに一目置かれるドラマーですよね。これまであなた方が組んでいなかったのは驚きです。

きっかけは凄くおかしいんだ。何年も前、ジャムバンドの授賞式の Jammy Awards でマジソン・スクエア・ガーデンにいたとき、私がバックステージを歩いていたら、Zappa Plays Zappa がステージに登場したんだ。ちょうど私がドラマーの後ろのカーテンにいたときで、彼のプレイに圧倒されたんだ。

「どうやってこんなことができるんだ?最も複雑な音楽を把握しながら、拍に合わせて脚でリズムを取っているように(シンプルでリズミカルに)聞こえる」と思った。彼は振り向かなかったから顔を見ることはなかった。

そして数年前にマイク・ケネリーとスタジオにいて、ヴィニー・カリウタの代わりに誰がいいかを考えていたんだ。それで Jammy Awards の話をしたら、マイクが「それは俺の親友のジョー・トラバースのことだ」と言うので、直ぐに電話したよ。

ジョーはこのツアーにぴったりさ。ニューアルバムの制作が進むと、プログレッシブではなく、ストレートなロックに戻るものだと分かった。つまり、チャド・スミスが What Happens Next でやったプレイのみならず、私がこれまでの30年間で異なるドラマーとやった楽曲もプレイできる人物が必要だったのさ。

あなたのルーツがロックンロールだとして、どうしてあなたがプログレッシブ・ロックにおけるアイコンになったのでしょう?

今世紀の初め頃、Strange Beautiful Music をやったとき、ジェフ・キャンピテリ(プロデューサー/エンジニア)にこう言ったのさ。「このアルバムにはプログレッシブ・ロックの要素を入れようと思う」

ジェフと私はプログレッシブ音楽ってタイプじゃなくて、2人とも単純なロックを愛するタイプさ。私たちはクールなアイデアだと思って、やり過ぎないよう、少しずつプログレッシブの方向に進むことにした。Unstoppable Momentum ではもっと強烈にやりたくなって、Shockwave Supernova では私たちのできる極限まで進んだ。

でも誰かが大きなドラムフィルを1曲に20回も入れたら、そういう音楽を聴かない人にはくどくなるだろう。「なんであいつは始終全部叩いているんだ?なんでリンゴ・スターみたいに叩かないんだ?」ってね、考え方の違いだ。

プログレッシブ・ロックの芸術性を理解しない人には、それはちんぷんかんぷんで、ただの繰り返しに思える。でも他のスタイルの音楽、ポップやダンス音楽でもそれはある。4拍子でないダンスミュージックなんてあるかい?

ストレートなロックを作曲することは肩の荷が下りる感じでしょうか?プログレ作曲家だとか、8分の9拍子で書くといったプレッシャーなしに、メロディを表現する方が簡単でしょうか?

プログレッシブ・ロックで考えてみると、そこでやっているのはバンドの皆にそれぞれのパートを装飾させているのさ。そしてそれが上手く活きるのは5拍子や7又は9拍子なんかで、それは皆が知的にプレイする機会が増えるからだ。

でもある時点で、そういう装飾や空間を埋めたものは私にとってメロディを入れることがより難しくなる。その一方で、プログレッシブな要素を全て取り除き、メロディを入れようとすると、アレンジは非常に注意深くやらなくてはならない。

歌詞が明確であるように、全てが非常に明確でなくてはならない。思うにそこからが、ストレートなロックのインストゥルメンタル音楽が輝き始めるのさ。非常に明確な選択をされた音楽を聴くところでね。

あなたは史上最高峰のギタリストの1人として広く認識されています。そこにエゴを感じたことはありませんか?「最高」であることや、他のビッグネームとの競争というプレッシャーはありますか?

こうしてジャーナリストと話しているときや、ファンと会っているときに人が私をどう認識しているのかを知るけれど、残りの99%では私はただの私で、いつも通りだ。悪戦苦闘しているミュージシャンだと感じるよ。毎日練習しなくてはならないし、「今日新しい曲を書けるだろうか」という健全な不安を抱えている。

だから、それらの1人であることは私には実際のところ何の効力もないのさ。興味深いし、私のキャリアの助けになってきたのは確かだ。けれど、私はメロディのある曲を書く、それによって私の作品は年月を経ても生き残っているんだ、テクニックによってではない。

今では何か素晴らしいテクニックを生み出したとして、24時間以内にYouTube上のキッズはそれを自分よりも上手くプレイする方法を見つけるんだ。テクニックなんてはかないものだよ。自分の音楽的アイデアをファンの耳に届ける為のただの道具なんだ。

ヴァン・ヘイレンのタッピングのように、アーティストとしての優れた自己紹介なんだ。けれど、彼を有名にしたのは途方もなく素晴らしいサウンドの曲なんだ。マライア・キャリーもあの高音を出せたけれど、彼女をスーパースターにしたのはあの楽曲なんだよ。

皆、何か素晴らしいものを持っているけれど、究極のところ、重要なのは音楽なんだ。

Satch2017