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Global Metal メタルは世界をつなぐ?

WOWOWのメタル・ナイト特番を録画していて、たまたま見ました。メタルを題材にしたドキュメンタリー映画なんて全然期待していなかったんですけど、(失礼)いい意味でびっくりしました。

サム・ダン監督素晴らしいよ。マイケル・ムーア監督の「ボーリング・フォー・コロンバイン」のスタイルに影響は受けていると思うけど、マイケル・ムーアみたいな結論ありきな製作ではなくて、人類学のバックグラウンドを持つメタル好きな監督がメタルのグローバル化について現地取材を重ねて考察した作品であり、取材した人々の生の声が強烈。

監督の2作目である本作はブラジル、日本、中国、インドネシアイスラエルUAEなどのメタル文化を輸入して自国内で独自に発展した国々の取材でメタルのグローバル化を考えるという内容。

ブラジルやインドネシアHR/HMが人気があるという話は聞いていたけど、どうしてかということはこの映画の取材で結構納得しました。体制や政治の腐敗なんかに反抗する魂の叫びってことね。中東地域では、メタルは政治的に禁止された音楽なんだけど、命がけで聴いている若者たちがいる。中国ではそういう反体制的なところまで人々が目覚めていない様子だったけど、そういう民主主義的な芽はあるみたいだった。インターネットの発達によって昨年はアラブの春が起こったけど、自由な情報へのアクセスによってこの大きなうねりは成長しており、速度も速く、もう止まらないと思う。

そんな中、日本は異質だったなぁ。反体制とか自由とか、そういう渇望は全くなくて、皆お行儀はよくて、ただ少し楽しみたいだけ、という礼儀正しい国民性。世界でいかに平和ボケした国かが良く分かった気がする。平和や自由のありがたさって、当たり前になってると分からないよね。
日本では、コンサートに行ってチケットを持っているのに、会場に入れてもらえず警察に殴られて追い返されることもないし、自爆テロの恐怖の中、街を歩くようなこともない。平和と自由、本当にありがたいです。

メタル等の特定の音楽が禁止されている国では、CDやMP3で音楽を買うことはできないけど、ネットの発展によって違法ダウンロードで海外の音楽を聞いているようでした。彼らにはそれしかメタルを聞く方法がないので。音楽の作り手にきちんとお金を還元する仕組みがないと、やがて音楽そのものを生み出す人が減ってしまうから、違法ダウンロードを減らす努力や仕組みは必要だけど、確かに音楽を禁止されている国の人々には必要悪なのかも、と思いました。その分、日本みたいな負担可能な国の人が払っていけばいいのか。私は日本のCD価格やコンサートチケット代は海外に比較して高すぎると思っているので、なかなかに複雑で難しい問題だなぁと思います。