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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

WHITESNAKE 1987 苦難の8ステップ

今週は昔に遡って、1987年の"WHITESNAKE 1987"の誕生までの文字通り、七転び八起きの展開について、想いをはせてみました。
ファンに愛されるWHITESNAKEの成功を決定付けた1枚のアルバムですが、ご存知の通り、このバンドはデヴィッド・カバーデイルの個人事業会社な訳で、デヴィカバ様ゆえに引き起こされる苦難の数々はドラマ化してもいいくらいです。リスクを取って、大バクチに挑む結果、大成功を収めたってことですねぇ、そこがデヴィカバ様のエライところかしら。

1.前作"Slide It In"ツアー後にはドラマーのコージー・パウエルを解雇
デヴィカバ様と対立した彼は辞めたのかも知れませんが、デヴィカバ様曰く、ゲフィンレコードに掛け合って、ツアー後にバンド全員を解雇しようとしたとか。レコード会社の希望でギタリストのジョン・サイクスを残すことにし、ベースのニール・マーレイも残すことに。

2.南仏でジョン・サイクスを交えて新曲のライティング
前作でデヴィカバ様が引き抜いてきたジョン・サイクスの才能の賜物か、バンド不動の名曲の数々が生まれる。
"Still Of The Night"はデヴァイカバ様によると、Deep Purple時代にリッチー・ブラックモアと作ったリフのカセットをアイデアに、加えたり削ったり、ジョンのアイデアを加えたりして、最終的には元のリフとは完全に違う曲に仕上がったとか。
残念ながら、この曲が成功を収めたせいでLed Zeppelinの"Blackdog"との類似性なんかで大激論になってしまったそうですが、確かに似ている。。。

3.ドラマーのオーディションは60人
曲が完成、リハーサルとレコーディングをするぞという段階でドラマーを探さねばならなくなり、延々と続いたオーディションの果てにアンズレー・ダンバーに決まる。
ジョンのこだわりが特に強くて、ドラマーがなかなか決まらなかったとか。ドラマーがいないから、「ええい、もうドラム・マシーンでいくか?神よお許しください」とデヴィカバ様も諦めかけていたとか。

4.レコーディングの苦難1:ジョンの音へのこだわり
ジョンが求めるギターサウンド探求のため、スタジオは巨大なギタースピーカーやらで埋め尽くされ、一向に作業が進まず。
プロデューサーに見放されかけた時に、外部の協力を得て、ジョンの探す音が再現できるようになったとか。

5.レコーディングの苦難2:デヴィカバ様の鼻腔炎
ヴォーカルのレコーディングの段になると、デヴァイカバ様の声に異変が。バンドはレコーディングを2週間中断するも、この頃にはスケジュールは2ヶ月遅れで予算は大幅にオーバー。
当初は薬物療法で回復し、レコーディングに戻るも、病気は再発して悪化。ついにデヴィカバ様は手術することに。術後のリハビリは6ヶ月に及ぶ。

6.レコーディングの苦難3:ジョンとの確執
この頃にはデヴィカバ様とジョンとの確執は本格的になり、リハビリ中のデヴィカバ様の知らぬところで、レコーディングや編集が進められるなど、全てをコントロールしたいデヴィカバ様はジョンとの別離を選んだようです。アルバム製作は窮地に陥ります。

7.レコーディング完成
ジョンと別れたデヴィカバ様はかねてからラブコールを送っていたオランダ人ギタリストのエイドリアン・ヴァンデンバーグを口説き落とし、アルバムの足りないギターパートなのかジョンのギターの差し替えなのか、一部のギターを録音します。("Here I Go Again"のソロなど)
デヴィカバ様の声が完全に戻るかどうかは50/50だったそうですが、(すごいプレッシャーだなぁ。)本番前と思って歌った"Still Of The Night"のテイクが素晴らしく、レコードになったそうです。

8.神に祈る
完成したアルバムですが、あまりにいろいろあったため、もはやデヴァイカバ様は客観的に聞くことができず、自信がなかったようです。ただ、既にスケジュール遅延と多額の借金を負ったデヴィカバ様には選択の余地はなく、この時点ではバンドの在籍はデヴィカバ様のみで、アルバムを売らないとバンドの再編成もなかったそうな。

結果として、デヴィカバ様の賭けは想像を超える成功となった訳ですが、本当にいろいろあったんですねぇ。これらの苦難を招いたのはやっぱりデヴィカバ様の性格によるものだと想像しますが、華やかなロックバンドも要は社長さんによる会社経営なんだと感じました。人を連れてきて、腹をくくって事業をやりやり遂げるしかない、みたいな。この後もデヴィカバ様の苦難は続いた訳ですが、やっぱりデヴィカバ様には音楽と商業的な才能があるんですよね、そこがこの人のスゴイところ。60歳でも現役で音楽やってるんだもん。これからも期待してます。