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Steve Vai ニュー・アルバムの全曲解説 その1

8月に発売されるスティーブ・ヴァイのニュー・アルバム"The Story of Light" 全12曲について、ヴァイ先生自身による全曲解説がこちらのサイトで紹介されています。原文はかなり長いので心して読んでください。ここでは、全訳をせず、主要部分のみを意訳してまとめました。それでも長文になりますので、今週と来週の2回に分けてアップします。

52歳になったヴァイ先生が表現したかったものは何だったのか、いつものインテリな解説が始まるのかと思ったら、意外に分かりやすいお話でした。ヘヴィで濃厚なギター・サウンドを作りたかったというアルバムなのかなと想像しています。

私としては "Gravity Storm" が、アームを使わず、全部ベンドで演奏していたという話には驚きました。それであの音を出しちゃうのもさすがですが、そんな演奏したら、ワークアウトどころか指が痛くないでしょうか?そもそも、ヴァイ先生がアームなしのギターを演奏しているというのも驚きです。ちなみにアルバム中の多くの曲で演奏に使ったギターはお馴染みのEVOとFLOだそうです。

1.The Story of Light

巨大で攻め立てるようなコードの壁をディストーションのかかったギターサウンドで作ろうというアイデアで作った曲だ。6弦ギターでは出せないコードを弾くためにここでは7弦ギターを使っている。
この曲の2つ目のパートでは、エンドレスに感じる長いメロディでかつ、ソロに聞こえない音を作りたかった。とても注意深く作曲したパートだ。とても複雑なフレージングで、私自身もやったことのない演奏だからとても苦労したよ。

2.Velorum

アップテンポの曲が欲しかったけれど、単純な4拍子にしたくなかった。沢山変調があるけれど、メロディックな曲だ。ここでも7弦ギターを使ったよ。
この曲はヘヴィなドラム・ソロが凄くいいんだ。とてもヘヴィに作曲してある。これを演奏するには特別なプレイヤーが必要だ。ジェレミー・コルソンは辛抱強く熱心にやってくれた。彼は素晴らしいよ。

3.John The Revelator

私は若い頃、ブルース・ファンではなくて、ロックや複雑な音楽が好きだった。ブルースはシンプルすぎると思っていたけれど、それはきちんとブルースを理解していなかったんだ。歳をとってブルースのルーツを知るようになり魅了されるようになったよ。

この曲を聴いたとき、ミステリアスでヘヴィなところに魅了されて、私は頭の中でヘヴィなギターを加えたカバー曲を考えていた。この曲には別ヴァージョンもあり、それにインスパイアされて、中西部風の聖歌隊コーラスも入れた。トリプル・トラックにして大きなコーラスにしたんだ。でも曲はゴスペル風じゃない、ヘヴィー・メタルなギター曲だ。ここでギターはIbanez Stratを使っている。

この曲にヴォーカルが欲しかったけれど、ぴったりの声はないと思っていたら、ビバリー・マクレナンを見つけたんだ。彼女は私のツアーにも参加するよ。

4.The Book Of 7 Seals

John The Revelatorでのコーラスがとてもクールだったので、そのフレージングを半分にしてこの曲にしたんだ。
素晴らしいシンガー達と仕事が出来てよかったよ。ヘヴィーなギターとオルガンを入れてね。
自分の強烈なヴィジョンがあれば、何と批判されても、自分の直感に従う時はあるものだ。

5.Creamsicle Sunset

Creamsicleというのは真ん中にアイスクリームの入ったオレンジ・シャーベットのこと。ある時、ハワイで美しい夕暮れを見ながら、そのオレンジとクリーミーな色合いからCreamsicleを思い出してね、もし夕日を味わうことができたら、Creamsicleの味がすると思った。そしてもし夕日を音にして聞けたらどんな音だろうかと思ったのさ。
曲は少しハワイアンなバイブがあって、ドリーミーな感じだ。この曲ではストラトサウンドが欲しかったので、ギターはエリック・ジョンソンストラトを使っている。

6.Gravity Storm

このリフはふと思いついて、iPhoneに録音し、後で聞いて「よし、これは取っておこう。これで何か作りたい」と思ったんだ。皆はこの曲で私がアームを使っていると思っているようだが、全部指でベンドした音だよ。
そもそも演奏に使ったギターはアームがついていなかったのさ。アームでは初めの音から移動して元の音に戻ってくるように音を操れない。

このリフを聞いて、全てのフレーズにベンドを入れる曲を構想した。とてもヘヴィーな曲にしたかったんだが、音でヘヴィーさを作るのではなく、アチテュードで表現すればいいと考えたのさ。それでこの曲では全てのフレーズの最後をベンドすることで、重力に引っ張られるようなヘヴィさを出した。

曲の全体でベンド・ダウンのクオリティを保つ方法を検討した。ソロでも、ダブル・ストップが一番難しかったね。ハーフ・ビートの中で2音をベンドして音程をキープし、ベンド・ダウンする。
この曲ではよりヘヴィな弦を使った。それでもゆるく感じたくらいだ。演奏では、プリング、リフティングの連続で指のワークアウトって感じだ。

以上、続きは来週です。