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スティーブ・ヴァイ 60歳の誕生日に新曲発表!自分に課した5つの挑戦

スティーブ・ヴァイが6月6日の誕生日に恒例の Alien Guitar Secrets ストリーミングを再開、そこで新曲を発表しました!"Candle Power" はヴァイ先生が自分に普段自分がしないこと、ギタープレイにおいて快適でないことにチャレンジするという実験的な意欲作で、新たなテクニック joint shifting を活用しています。それでいながら、曲を聴いてみると不思議でメロディックなヴァイ音楽のサウンドそのものと感じます。さすがヴァイ先生!

今週はそのストリーミングでの新曲解説の一部概要を和訳したものと、ヴァイ先生にコメントを寄せた Generation Axe 仲間のコメントを取り上げます。

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60歳になるというのは興味深いね。これまでの人生で最も気分がいい。これまでの人生で素晴らしい機会に恵まれたこと全てに心から感謝している。多くのレコーディングやツアーを行ってきたし、賞を貰ったり、雑誌の表紙を飾ったり、多くの素晴らしい会社や人々と仕事ができた。

その中で最も有難く感じているのはその過程で人々と築いた繋がりだ。これはリアルで今に至るまで続いている。こうして築いた人との繋がりこそが報酬なんだと発見した。成功はいいものさ、それには試練を伴う。しかしその試練など私には大したことではない。

私は自分に挑戦を課すのが好きなんだ。60歳の自分に課したのは、自分の快適なゾーンから大きく離れることだった。

1.ストラト・スタイルのギターを弾く
ストラトは好きなんだが、私には上手く弾けないギターだ。JEMは私にとって楽に使える楽器だがストラトでは苦戦しなくちゃならない。でもそこには特定のトーンがある。

2.クリーン・トーンで弾く
過去に数回やったことはあるが、私にとってはノーマルではない。

3.アームを使わない
私にとっては身体の一部を取り去ることだ。

4.ピックを使わない
フィンガーピッキングの練習はしてこなかったから大きな挑戦だ。

しかしここで、私の本能がもう1つの挑戦を求めたんだ。それが暫く実験していた joint shifting で、複数の弦をベンドしながら別の弦を押さえて、ベンドを戻しつつ、別の指ではプリングオフするんだ。これは本当にとても難しかったが、サウンドは実に素晴らしかった。

曲はシンプルにベースとドラムとギターのトリオだ。

タイトルについて説明しよう。パンデミック下でのロックダウンについてのものだ。混乱が起きているものの、多くの人が助け合っている。そうして他人を助けようとする姿にはとても勇気づけられる。暗がりのキャンドルを思い出したよ。私たちは皆、暗がりのキャンドルのようさ、それが集まることで星のように明るく照らすのだよ。それがコンセプトだ。

 

ビデオのギターについて説明しよう。私はストラトが好きなんだよ。16歳のときに初めてのストラトを手に入れた。そしてこのギターは…。何年も前に最高のストラトを探そうとしたんだ。ハリウッド大通りにある3、4の楽器店でオールドヴィンテージのストラトを探した。90年頃だったかな。$25,000程の貯金を用意して、(金がかかっても)構わなかったよ、私は最高のストラトが欲しかったんだ。

沢山試した結果、$500の日本のストラトにした。(訳者注:その日本製ストラトはオフィシャルサイトに掲載されています。こちら)それで沢山レコーディングしたよ "The Boy From Seattle" も弾いた。ヴィンテージギターにはロマンスがあるが、私はコレクションしようという気にはならないんだ。私は特定のサウンドや機能のあるギターが好きなんでね。それから年月を経て、Ibanezストラト・スタイルのギターを創ろうとした。ここで弾いているのは Ibasrat とでも言おうか、JEMの一種だ。テールピースを外してハードテイルにした。ヴィンテージPUを載せてある。

アンプは Synergy のクリーンチャンネルで、Deluxe だったかな、それで出力は2つに分けてあり、アンプはジョー・サトリアーニに借りた Lazy J だ。鍵はオープンキャビネットのもたらすアンビエンスだよ。もう1つの鍵は部屋だ。Harmony Hut のレコーディングルームには天井に6つのマイクが取り付けてある。それが素敵なアンビエンスを創り出すんだ。トーンについてはざっとこんなところだ。

(ここからは曲を分割して作曲やテクニックを解説しています)

(メインリフ)ここで私は3音をベンドしている。あまり見かけないテクニックだ。ここで言いたいのは、世界にはとてつもないテクニックを備えた野心的なプレイヤーが沢山いる。私はこのアイデアをシェアしたいと思う。彼らにはこのアイデアを使ってもっと先へ進めて欲しい。そうやって私たちは発展するんだ。このコンセプトを使って1曲全部を創るところを想像してみてくれ。私はコードを押さえてベンドしている。とても難しいよ、しかしサウンドはユニークだ。

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"Candle Power" はリフのアイデアから始まったそうで、カセットテープに録音して「永遠の戸棚」に入れてあったとのこと。カセットということからアイデア自体は何十年も前にあったのですね。しかし、実際の演奏は困難を極めたようです。2019年4月頃のインタビューで難しいテクニックに取り組んでいる話をしていました。練習でボロボロになった指の写真も投稿していたので、下の過去記事をチェックしてみてください。こうして曲の制作背景を辿って完成した演奏ビデオを見ると感慨深いですね。

 

staytogether.hateblo.jp

 

尚、現在オフィシャルサイトでは曲にちなんだキャンドルを販売しています。プレオーダーすると高音質の音源がダウンロードできるそうです。

ストリーミング中にありますが、ヴァイ先生は21歳のときに里子支援のチャリティを始めたそう。月に$100~数百を今に至るまで続けているとのこと。近年は Extraordinary Family に賛同して理事をやっている先生、Jamathon でのチャリティ活動も記憶に新しいですね。

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"Candle Power" の反応 Generation Axe メンバーより

ヌーノ・ベッテンコート

彼は過去のクリップから世に知られた革新的傑作を簡単に選ぶこともできたというのに、60歳にして彼は自分の快適なプレイスタイルを全て取り去るという挑戦を課した。

トシン・アバシ

凄い!僕も60歳になっても意欲的革新者でありたいよ。誕生日おめでとう!

トシンの投稿へのヴァイ先生リプライ

ありがとう。君がその驚異的才能でギターシーンに現れなかったら、私が必要とする自分を追い込む意欲を持てなかったかも知れない。君が60歳になったら、何をしているのか想像もできないよ!