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Steve Vai ニュー・アルバムの全曲解説 その2

先週に引き続き、スティーブ・ヴァイのニュー・アルバム"The Story of Light" のヴァイ先生自身による全曲解説です。動画は"Racing The World" を演奏するヴァイ先生です。この曲、テイストは確かにジョー・サトリアーニぽいかも。

私が意外だったのは、ヴァイ先生ともあろう方が自分のことを「80年代のギター速弾き野郎」程度にしか人に認知されていないのではないかと内心で心配しているということ。ヴァイ先生がそんな恐れを抱くのなら、私なんかが自分のことイヤになるのは凄く普通じゃん、と前向きになってしまいました。(笑)

前置きはこのくらいにして、ヴァイ先生による7曲目以降の解説をどうぞ。

7.Mullach A'tSi

私はケルト音楽が好きで、ケルト・ララバイのCDを持っているんだ。その中にMullach A'tSiがあって、メロディがとても美しい、伝統的なケルト・ララバイなんだよ。私はどうしてもこれをギターで演奏したい、美しいニュアンスを出したいと思ったんだ。
バンドで何か違う味を出したいと思って、ハープ奏者のデボラ・ハンソンに演奏してもらった。彼女は素晴らしいよ。

8.The Moon And I

これはツアー先のギリシャアテネで、バンドとサウンド・チェックをしていたときに思いついた曲で、その録音をある日引っ張り出して、書き直した曲だ。VaiTunesでリリースしていたけれど、リミックスして再レコーディングした。
この曲はとてもパーソナルな曲で、私が20~22歳くらいの頃、理由もなく深く落ち込んでいた頃に見た夢に基づいている。私は完璧な自由の中で宇宙を漂い、美しい惑星の光景を見ていた。この歌詞ではその時の私の感情を表現している。

9.Wheeping China Doll

何かヘヴィで悲しげな曲を作りたかったので、自分をそんな気分にして書いた曲だ。スタジオ裏のフェンスに妻が植えたチャイナ・ドールというバラの花が美しくて写真を撮ったら、フェンスと花が楽譜に見えたのでそこから一部のメロディは作った。どんな方法でも音楽は作れるのさ、ルールはない。
この曲は7thソング(ヴァイ先生のアルバムで7番目の曲は極上のバラード曲の指定席となっています)になる手前まで行ったんだが、7thソングにするには少し曲が型にはまっていると感じたし、Mullach A'tSiの方が優れていると感じたので、7番目にはならなかったのさ。

10.Racing The World

アルバム全体が濃くて緊張した感じに仕上がる中で、何かシンプルでメロディアスなものが欲しくて書いた曲だ。"Passion And Warfare" で "The Animal" を1日半で書いた時みたいに。
私にギター・インスト曲を求める人は多いが、サトリアーニ風にならずにギター・インスト・アルバムを作るのは難しいんだ。私はこれまでずっとそうなるのを避けてきた。でもある時思ったのさ、「いいじゃないか、やろう」とね。私はナイスで、イージーで、聞いて楽しくなるような美しいメロディを作りたかっただけだ。エンディングは長くしたよ。パンチし続けてボクサーが倒れる寸前くらいまでね。

11.No More Amsterdam

この曲は15以上のギターを使った曲だ。作曲したものの、何か足りない気がして、歌詞を書こうとしたが、書けないでいた時に、妻のピアが「エイミーに電話したら?」って言ったんだ。エイミーとは大学が同じで、同じ棟のアパートに住んでいたし、彼女とピアは仲が良かった。でも彼女に声を掛ける時にはJohn The Revelatorでビバリーに声を掛ける時と同じように心配したんだ。「単なる80年代のギター速弾き野郎」って思われていたらどうしようってね。ところが彼女は曲をとても気に入ってくれた。
彼女の声はとてもパワフルで美しかったし、歌詞を完成してくれた。私達のデュエットは上手くいったと思う。
この曲ではIbanez Euphoriaと12弦のTaylorを使っている。その他にもたくさんの弦楽器を使っている。

12.Sunshine Electric Raindrops

この曲も私のiPhoneに録音された15秒ほどのリフから生まれたものだ。少しポップでハッピー過ぎると思っていたが、どうしても気に入っているところがあってね。それで、「もういい、気にするのは止めて録音しよう」と思い、ビッグなギター・サウンドをゆったりと入れた。気に入っているよ。
アルバムには特定の流れを作りたいのだが、どうしてもこの曲はアルバムの最後しかフィットする場所がなくてね。最後に軽めの後味になっていいんじゃないかな。