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7弦の父 スティーブ・ヴァイ

今年、Ibanezからスティーブ・ヴァイ シグナチャーモデルの7弦ギターが2種(JEM7V7、UV70P)発売されていますが、それに関するインタビューが公開されています。今月から始まるヴァイ先生の日本公演では、これらのシグナチャーモデルが演奏されるかもですね♪

ヴァイ先生が同社と7弦ギターを製作する過程では、そもそも7弦ギター用のピックアップやらブリッジ等のパーツが存在せず、全てを作らなくてはならなかったとか。そして7弦ギターを使用したソロアルバム"Passion and Warfare" とホワイトスネイクに参加したアルバム"Slip Of The Tongue" のリリースを迎えてみると、ヴァイ先生の考えたとおりの現象が起こったそう。

スティーブ・ヴァイ

7弦ギターが登場した時、それを演奏していたのはウリ・ジョン・ロートと私くらいだった。(当時まだ販売されていなかったけれど、)7弦ギターが一般販売されたら、私はそれを手に取る人が出てくると思った。私のファンだからかもしれないし、新しい楽器としてポテンシャルを感じるからかもしれない。実際に私が7弦ギターを使ったアルバムが発売されると7弦ギターの売り上げは大きく増加した。

その後、私は多くの演奏で通常の6弦ギターに戻ったのだが、Ibanezにはこう言ったんだよ、「いいかい?たとえ毎年の売上が微々たるものでも、7弦ギターを製造し続けるんだ。なぜなら、私の7弦ギターを聞き、楽器を買った者達はまだ若い。けれど彼らがそれで音楽制作を始めれば、7弦の全く新しい音に対して潜在需要が必ずある」でもそれがここまでパワフルな市場になるとは思わなかったけどね。

なるほどですね~、ヴァイ先生って洞察が鋭い人だわ。現在、Ibanezの8弦ギターを使っているトシン・アバシとヴァイ先生の対談記事で読みましたが、トシンはヴァイ先生の7弦ギターにインスパイアされて同社の7弦ギター、ユニバースを手に取ったそうです。ヴァイ先生の言葉どおりのことが実際に起きて、新たなアーティストが生まれていたのですね。

ヴァイ先生によると、Ibanezは7弦ギターの開発費用を回収し、十分な収益を上げているとのことですが、同社の収益についての公開資料はありませんのでここでは想像するしかありません。
でも同社が7弦、8弦のギターについて多数のラインナップを提供しており、他社に比べてこの領域で勝っていることは先駆者として市場を獲得していると見ることができるでしょう。

エレキギターの市場は少数の有力ブランドと多数の中小規模専業メーカーから構成されており、流行や人口から市場規模が変動するとは言え、パイの奪い合いであるとすれば、少数の有力ブランドに対抗する上で、7弦、8弦というニッチ市場を確立して育ててきた同社の戦略は非常に革新的で有効だったということですね。

製品開発のアイデアイノベーションをもたらしたヴァイ先生と、先行する開発費を負担し、市場が育つまでニッチ商品を創り続けた日本企業の根気と勇気は「PジェクトX」って番組にしてもいいのではないかしら、って何も知らないのに好き放題書いてしまいました。

ヴァイ先生の来日公演が待ち遠しいですねぇ。