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ジョー・サトリアーニ 「初めてイングヴェイを聞いたとき」

8月27日(日本時間)にアメリカのラジオ番組TRUNK NATIONHR/HMのDJで有名なエディ・トランクの番組)に"Unstoppable Momentum"USツアー中のジョー・サトリアーニが電話インタビューに参加しました。

44分程の電話インタビューでは砕けた雰囲気の中、ニューアルバムについて、親友スティーブ・ヴァイについて、チキンフットの活動について、G3についてと、ギターファンの気になる話題が盛りだくさんでしたので、その一部を和訳してみました。
(スタジオ側の質問はエディ以外からのものも全てエディで表示しました。和訳は会話の概要です。)

スティーブ・ヴァイについて

エディ:私が思うに、ロック界、インスト曲でキャリアを築き、シングルでもヒットを出したりと成功しているのはただ2人、君とスティーブ・ヴァイじゃないかと思っているんだ。2人ともギターテクニックだけじゃなくて、表現力とメロディライティングが抜群なんだよね。

ジョー:そういうことを言ってもらえるのはとてもうれしいよ。俺たちは2人とも作曲に力を入れてきた。同様に、2人ともステージでプレイするのも大好きさ。

エディ:そうそう!少し前にヴァイのライブを見てきたんだけど、2時間超の濃密なライブだったよ。彼はライブの間中、観客と繋がって、プレイはもちろんだけど、楽しませてくれるんだ。5回も衣装チェンジする超絶ギタリストなんているかい?ギター界のマドンナかと思ったよ!(笑)

ジョー:俺たちは2人ともすごく若い頃から観客とのつながりは重視してきたよ。ショウってのはその場の人たちと音楽を楽しみ祝うことだからね。それこそがロックンロールの特別な魅力であり、何十年も俺たちを突き動かしてきたんだ。

エディ:ヴァイはステージでレーザースーツも着ていたよ!ビヨンセがギター持ってるのか?って感じさぁ!(笑)

ジョー:そんなスティーブを見るのはすごく楽しいよ。彼は観客を楽しませたり驚かせたりするのがもの凄く上手いけど、それは彼がしっかり準備しているからなんだ。美しいメロディを聞かせたかと思えば、もの凄いテクニックを見せつける、かと思えばレーザースーツで登場したりさ。

エディ:君がヴァイにギターを教えていた頃から彼にはそんな素質があったのかい?

ジョー:もちろんそうさ!面白いエピソードがあるよ。地元の小さな教会でバンドのライブをやったことがあったんだけど、当時スティーブは13歳くらい。彼のバンドのボーカルは俺のバンドのボーカルの弟でさ、バンド名なんて俺のバンド名を逆から並べた名前だった!

ステージでスティーブはクレイジーそのものでさ、俺のペダルを蹴ってやがった!当時、俺のペダルにそんなことする奴はいなかったよ!まるでロックンロール・アニマルさ。彼にはスターになる素質があったんだよ。彼はギターの生徒として技術的にも素晴らしかったけど、それだけじゃない、スターになる人間だったのさ。

エディ:君たち2人はインストゥルメンタルのソロアーティストとしてだけでなく、バンドとしても成功しているよね。君はチキンフットがあるし、ヴァイはデイヴ・リー・ロスやホワイトスネイクがあった。

ジョー:ソロでインスト音楽をプレイするのとバンドでプレイするのは違いが大きくて、毎回新鮮に感じるよ。ヘンドリクスツアーで優れたバンドと演奏したり、ディープ・パープルでのプレイ、長年のチキンフットでの活動はみな素晴らしい経験だね。

ティーブのバンド活動はどれも見てきたけど、ホワイトスネイクの時は見逃してて、この間動画のクリップを見たんだけど、あの時のスティーブは自由に演奏し、彼の中にあるあらゆるアイデアやテクニックを高いレベルでプレイしていたよ。

チキンフットについて

エディ:君についても、先日サミー・ヘイガーと話したんだけど、「まるで9人のギタリストがプレイしているみたいだ。エイリアンみたいさ」なんて言ってたよ。ところで君の作曲はソロアルバムのとき、チキンフットのときでどう切り替えているの?

ジョー:初めからどっちの曲か分かって書いてるときもあるけど、そうじゃないときもあるね。ニューアルバムに入ってる"A Door Into Summer"はチキンフットのセッションに持って行って、サミーのコーラスを入れようとしていたんだけど、俺が曲を弾いて聞かせていたら、あの3人が「は?何だよこれ??」って反応でさ、俺は「忘れてくれ」ってすごすご引き下がったよ。(笑)

"Satch Boogie"みたいなフラッシーな曲の方がイージーだね。インストでは掘り下げたメロディや強いフレージングが必要なときがあるけど、完璧な演奏のためには1,000時間練習するみたいな、ミュージシャンシップを要する。でもこうやってジェフ・ベックなんかは長年経っても残る音楽を作っているんだよね。

エディ:今年サミー・ヘイガーはキャリア40周年を祝うことになるけど、チキンフットとしては何かプランはあるのかい?

ジョー:もちろんあるよ。ニューアルバムの準備もしてて、製作にかかりたいと思ってる。

エディ:チキンフットのアルバムについては、1stが好きか2ndが好きか意見が分かれたりするんだけど、君はどっちが好きなの?

ジョー:それは難しい質問だよ。アルバムを聞いていると、あともう少し時間があれば、あそこをやり直したいとか、いろいろあるからね。俺たちは皆スケジュールを合わせるのが大変で、レコーディングはそりゃもうクレイジーな日程でやったんだ。でも時間がないからこそ、アイデアが沸いたり、エネルギーが高まったり、化学反応が起きたんだ。

G3について

エディ:G3では才能あるギタリストが集うけど、今君が注目している若いギタリストは誰だい?

ジョー:そうだな、Animals as LeadersのTosin Abasiかな。彼のプレイはクレイジーだね。G3に迎える新しいギタリストについては探しているよ。他の人とは違うことをやってサウンドを創り出せるギタリストがいい。

去年だったかな、マーシャルの50周年を記念したライブをロンドンでやったんだけど、そこでイングヴェイ・マルムスティーンの凄さを再確認したよ。彼はあのジャンルでゴールド・スタンダードだよね。同じステージに立てて光栄さ。

エディ:初めてイングヴェイを聞いたときどう思った?

ジョー:確か、ギターレッスンをしている時に生徒が"Black Star"をカセットで持ってきて聞かせてくれたんだ。ワォ!これは凄い!って思ったね。そしたら生徒に「これはどうやって弾くんですか?」って聞かれてさぁ!え?これを俺に弾けって言うのかよ?って感じだったなぁ。

おかしなことだけど、ミュージシャンて素晴らしいものを聞いたときに2段階の反応があるんだよ。1番目はワォ!って感嘆する段階、2番目はこれを俺にも弾けっていうのか?って反応。(笑)

初めてのG3のリハーサルのときでも、3人で握手して弾き始めて、お互いに「ワォ!それはどうやってるのさ?」って驚くばかりさ。それぞれのトーンの違いもあるし、お互いにコピーなんてできないなぁ。と言ってたら後でスティーブは「俺できるよ」って言うんだよなぁ。(笑)

エディ:それにしても君はこの競争の厳しい世界にいながら、謙虚で懐が深いよね。

ジョー:オリジナルなプレイをしようとしているギタリストとは誰とやるのも楽しいんだ。G3では沢山の才能あるギタリストと共演できた。昨年は3人のスティーブ(ヴァイ、ルカサー、モース)とやったけど、3人が同じなのは名前だけで、サウンドはまったく違うんだ。

エディ:G3といえば、今度リッチー・コッツェンを誘ってくれないか。彼はギタリストとしてもシンガーとしても凄い才能の持ち主で、25年経ってようやく彼の才能が世の中に知られ始めたんだよ。Winery Dogsという新しいバンドでね。

ジョー:ああ、マイク・ポートノイから聞いていて知っているよ。リッチーとは少し前にジェイソン・ベッカーのチャリティで会ったんだけど、テレキャスターを弾くブルージーなプレイがいいね。存在感が凄くあって歌が上手い。

エディ:ジェイソンと言えば、彼の映画を見たよ。素晴らしかった。壮絶な話なんだけど、彼はとても強い精神力の持ち主で、同じ病の人たちに力を与えていると思う。君や多くのミュージシャンたちの愛と支えも素晴らしいと思うよ。

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とても楽しいインタビューでした。30分くらいのところで、エディがまとめに入ったものの、話がどんどん盛り上がって、結局44分にも及んでいました。
リッチーに思い入れのあるエディがG3にリッチーを推すところも、ちょっとうれしい。

ジェイソン・ベッカーの名前は超速弾きを笑顔でやっちゃう凄いヤツという文脈でジョーから名前があがりました。そこから映画の話にいったのですが、この映画は是非見たいです。(大泣きしそうだけど)