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ジェイソン・ベッカー vol.2 ジェイソン&マーティ インタビュー

映画"Jason Becker: Not Dead Yet"公開後に行われたジェイソン・ベッカーへのメール・インタビューの一部を和訳してみました。ぐっとくる内容です。
マーティ・フリードマンのインタビューでは、デヴィッド・リー・ロスのアルバム製作中、悩むジェイソンを励ますマーティさんに2人の絆の強さを感じました。

ジェイソン・ベッカー インタビュー

この病気によってもたらされた肉体および精神的試練はどんなものですか?

肉体的には全身を動かせなくなったこと。こうして椅子にセットアップされてるけど、いろいろ調整しなくちゃいけないから、面倒だし、目の動きでスペルを綴るから、目も疲れるし。

恋人や家族をハグしたい!ペットも抱きたいし、一緒に遊びたい。完璧なタイミングでジョークを言いたい、走り回りたい。バスケ、フットボール、車の運転をしたい。普通に食べたい。でも一番やりたいのはギターを弾いて、自分で作曲したい。あと、一人で過ごすプライバシーが欲しい。

精神的にはすごく塞ぎ込む時がある。こんな状態がなんでなのか、なんで沸いてこないアイデアのためにこんなにハードに働いているのかって思う。辛い事、資金、自分がどうしようもなく弱っちまうことを心配する。

マーティ・フリードマンとは互いにギタリストとしてどう助け合っていたのですか?

俺たちは互いに自分たちがどんな人間なのか、どんな才能があるかを分かち合っていたのだと思う。俺たちは幸運だったよ、だってどちらも真剣なミュージシャンで同じことを目的にしていた。ギタリストとして認められることと自分たちのやり方で革新的であることにさ。

俺は若かったから、エネルギー溢れていたし、スポンジみたいにマーティが教えてくれたことを全部吸収していったんだ。マーティは経験を積んでいて、風変わりで、枠組みに囚われないアイデアに満ちていた。俺たちは互いから学び、互いに補完関係にあった。音楽的にも人格的にもね。

俺たちはこれからもずっと兄弟なんだ。彼の影響なしには、今の俺というミュージシャンは創られなかった。
今でも作曲中に行き詰まると、「マーティならどうする?」って考えるんだ。

デヴィッド・リー・ロスと働いた思い出は?

あの仕事を得た喜びと楽しかった思い出だよ。
俺はギタリストとしてステップアップしたかったし、いいとこ見せたかった。でも俺は自分の身体に起きていたやっかいな症状に対処しなくちゃいけなかった。だから俺はアルバム製作当時、音楽以外のことに関わる時間なんてなかったんだ。

だから俺の思い出は、最高のアルバムを創ろうと、友達とプレイして、時には皆で出かけて楽しんだこと。俺は絶対にこのアルバム製作はやり遂げるって決めてたけど、身体はどんどん弱くなっていった。ツアーに出ることは恐らく叶わないだろうって、自分でも分かってきたんだ。

デイヴとバンドメンバーはそりゃぁ、超クールで、豪快で楽しい時を過ごしたよ。(バンドのもう一人のギタリスト)スティーブ・ハンターとはすごく仲良くなって、彼は俺にビタミンB-12の注射してくれたり、俺が転んで作った傷を手当てしてくれたりした。

この病気はあなたを強い人間にしましたか?

そう思う、でも本当は分からない。強くある必要はなくて、ただ俺は自分の人生を生きてるだけだ。
もちろん自分が当初プランしたとおりの人生じゃなくなった。でも、最初のショックの後いったい何ができる?俺は強いのかもな、まだ作曲して、皆を愛してるし、楽しんでる。俺の周りの皆も強いんだと思う。

そう考えると、謙虚さや感謝の念を感じるし、神の恵みを感じる。俺は失望と喪失感がどんなものか分かってるけど、同時に愛と感謝の気持ちも分かるんだ。俺がどっちの気分かってことによるな。俺たちは皆、情熱、目的、愛を求めていると思う。これらが俺たちを強い人間にするんだ。

 

マーティ・フリードマン インタビュー (DVD特典映像より)

ジェイソンの兄と言えるマーティさんのインタビューでは、2人のバンド時代、ソロワーク、ジェイソンの病気のことまで50分近く、ディープなエピソードが語られました。
2人がそれぞれビッグチャンスを得た直後に2人とも深刻な症状を抱え、夜通しLAのデニーズで胸のうちを語り合った話など、興味深いものばかり。

ジェイソンは、どんどん手に力が入らなくなってると言ってた。普通の状態ならもっとクールに弾けたけど、とにかく今の俺のベストを出してる、とね。多分、あいつのベストの8~7割くらいの状態だったろう。

このアルバムでは俺達の音楽とはかなり違うものを、求められるとおりに弾かなくちゃいけない。ジェイソンはプレイが商業的で間抜けなんじゃないかと気にしてた。だから俺はあいつに言ったんだ。とにかくプロデューサーのボブ・ロックの言うとおりにやれ。彼は俺たちが組んだこともないような本物のプロデューサーだ。彼が望むものがデイヴのアルバムには必要なんだって。

アルバム完成後にジェイソンは、"It's Show Time" だけは俺らしさが出せた。これだけは誇れるって言ってきたから、いや他の曲もいい、ボブ・ロックが望んだとおりにやったんだ、それでいいんだって励ましたよ。