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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

モーズ、ギルバート、ルカサー、フリードマン 「プロがツアー前に準備すること」

アメリカ国内ではコンサートが再開されています。この1年半はパンデミックでツアーに出れなかったギタリストたち、彼らがツアーを再開するにあたり、どのような準備をするのか。スター・プレイヤーたちのコメント集がGW誌に紹介されていたので、一部を和訳してみました。

 

www.guitarworld.com

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スティーヴ・モーズ

まず第一に、反復筋力トレーニング練習を続け、難しいパートを苦も無く弾けるレベルにすること。私の場合、家でそのパートを10回連続でこなせたら、様々なことに気を取られたり、1発勝負となるライブでも十分こなせると考える。

ツアー前には左手の強化に集中する。ヴィブラート、ベンディング、指先にタコを付けることは非常に重要だ。多くのプレイヤーは最初~2回目のライブで左手に痛みを感じるようだ。

ツアー前2週間はフレット練習を増やして左手を鍛えることだ。ドラム・ループとコードのバッキング上でプレイして、できればライブでプレイするソロスポットをプレイすると良いだろう。いくつもの実験を重ねて、快適になるまで。テクニカルな練習をするのとは違うが、準備プロセスではとても重要だ。

観客は金を払ってそこに来ていることを決して忘れないこと。自分が準備して臨むことは彼らに対する義務だ。しかし、一度ステージに立ったら、上手くいかないことは笑い飛ばすこと。上手くいったことを楽しみ、そのポジティブなエネルギーを放出すること、それこそがライブ・ミュージックを世界共通言語にしているんだ!

 

ポール・ギルバート

僕は狂ったようにベンディングを繰り返して、指のタコを取り戻すことから始める。指タコが完全に無くなっていたら、僕の「反重力」弦セットを取り出すんだ。

やり方

1.9~42ゲージの弦セットを出す。
2.42を捨てる
3.32を6弦に、残りを順に張る
4.1弦には追加したゲージ8の弦を張る。
5.これで6弦から 32,24,16,11,9,8 のゲージで弦が張られた状態。コードの鳴りは良くないが、指への負担を減らして一晩中ベンディングできる。

ライブ2~3回後には、通常の8~38ゲージの弦セットに戻せる。僕は通常それを使う。自由にベンドしたいから。


スティーヴ・ルカサー

どのツアーも始まり方はそれぞれ違う。レア曲をセトリに入れようとするし、俺の腕も取り戻す過程になるから。週5~6日、毎晩2時間以上みっちり弾くことほど「最高の調子」感を得られるものはない。ああ、あの頃が恋しいよ。ボーカルのエクササイズもする、思い切り出して完全に休養する。ツアーに向けて頭を集中することも大事だ。

俺には決まったギタールーティンはないんだ。ツアーが近づくと自分の感情がわかるよ。今のところ、2022年まではツアーできないから、俺の腕を完全に取り戻すのには少し時間がかかるだろう。バンドリハーサルで大抵は100%近くの自分を取り戻す、そしてツアーに出る頃には準備完了だ。もう45年もやってきた。ツアーに戻るのが待ちきれない!

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マーティ・フリードマン

最近のツアーで弾いた曲は最初のリハーサルのうちに思い出すから、準備は殆ど必要ないです。だから以下はセットリストに追加した曲をどう準備するかについて。

1.セトリに加えた新曲を弾き、弱点となる箇所があるかを確認する。
2.弱点の箇所を分析して、最も簡単なフィンガリングに決定するまであらゆる可能なフィンガリングを試す。これは重要で、音楽をパフォームするのであって、単にプレイするのではないから。そこには大きな違いがあります。

僕の音楽には多くの重要なニュアンスがあり、それらをレコーディング時には詳細に表現しています。けれど、その多くはライブの場では再現されません。アルバムにある全ての細かなニュアンスを再現しようとすれば、僕のパフォーマンスの集中力を奪ってしまうからです。

大局を見る事。曲の特定のトリッキーなパートをきっちり弾くか、そうでないかなど誰も気付かないことを恐れるなんてつまらない。パートをシンプル化するのです、一番大切なことはライブプレイをし、パフォーマンスを楽しむことだから。

3.フィンガリングが決定したら、その弱点のパートを立って死ぬほど練習する。(大抵は座って演奏し、レコーディングしているため、座って練習してもパフォーマンスに役立たない)そして最後に練習の必要のないことに時間を使って無駄にしないこと。練習時間の全ては熟練できていないところに注ぐこと。

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ポールの「反重力」弦セット、面白いですね。マーティさんのアドバイスやモーズさんの話はギタリストの参考になりそう。

今週行われていたポール・ギルバートのギターキャンプは無事に終了したようです。講師にジョージ・リンチ、トニー・マカパイン、ロン・"バンブルフット"・サール、グレッグ・ハウ、エリック・ゲイルズを迎えたキャンプなんて豪華!

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