WINGERのキップ・ウィンガーがメディア取材に応じました。Sweetwater's Guitars and Gearのインタビュー動画とバンド結成25周年ライブを行った翌週の電話取材音声が公開されています。電話インタビューの方はツアーバスで移動中のキップとの会話で音が相当に悪かったのですが、動画インタビュー（↓）の方はとてもクリア。両者の概要を要約してみました。
==============
あなたは80年代に活躍したロックバンドのフロント・マンですが、最近はクラシックの世界でも活動していますね。
俺は若い頃から兄貴とロック・バンドを始めて、独学で音楽をやってきた。俺の音楽へのアプローチはロックでもクラシック音楽でも変わっていないよ。
俺の最新の作品は"Conversations with Nijinsky"という20分のフルオーケストラ曲だ。ソロ・ツアーの合間に取り組んでなんとか完成したのさ。
ロック・バンドとして成功を収めたあなたが、なぜ音楽を学び続けたのでしょう？
俺は本当に音楽が大好きなんだ。これはどうやったんだろうという素晴らしい音楽を聴くといつも感動する。クラシック音楽には、16歳のころにバレエを習っていたから慣れ親しんでいたよ。昼間はクラシック音楽で踊って、夜はクラブでブラック・サバスを聴いてたよ。（笑）
1992年くらいかな、シーンのクラッシュがあって、バンドがもうギグをやれなくなってしまった。WINGERはとてもいいロック・バンドで音楽でもハイレベルのことをやっていたのに、そんなことになってしまって、俺は失望してたし、怒りを感じた。
俺はメキシコへ移って、メキシコ大学で本格的なクラシック音楽の勉強を始めたんだ。
「ロック野郎がクラシックをやりました」っていう感じ、ハリウッドのサントラみたいな音楽とか、メロディだけ書いて誰かにオーケストラ曲ぽくしてもらった音楽には絶対したくなかったから、俺は本当に真剣に勉強したんだ。
たしかに最近のアーティストはクラシック音楽の訓練を受けている人もいるね。自分が演奏しない楽器のパートを含め、オーケストラ曲を書くのは難しくない？
2Dの写真をじっと見つめていると、3Dに見えてくることがあるよね？それと同じで、どう書いたらいいのか、分かる瞬間が来るんだ。もちろん音楽の探求は尽きることがないし、それこそが音楽の喜びさ！だから俺の音楽に対する興味は尽きることがないし、生涯をかけて俺は取り組むつもりだ。
あなたはクラシックの世界へ歩みを進めたのに、ロックの世界にも戻ってきますよね？それはなぜですか？
チェロのパートとして書いたメロディをマーシャルを通したヘヴィーなギターサウンドにアレンジするのも楽しいのさ。
俺がWINGERをやるのは俺のアーティストとしてのステートメントだから。決してTシャツを売りたいとか、商業的な理由じゃない。
いつも同じような曲をやってるバンドがある中で、WINGERは音楽的に様々なことを試してきたし、多くの異なる曲がある。
再結成して「1stアルバムは好きだった」って言われるバンドがある中で、「WINGERのKARMAは最高の出来だ」って言われてる。俺はそういうことがとても嬉しいし、誇りに思っている。
音楽はあなたにとってどんな存在ですか？
ソロ・アルバムの"Songs From the Ocean Floor"を出したとき、それを聴いた人からつらい経験をした自分の心の支えになったと言われたのはうれしかったな。
音楽は俺の精神カウンセラーみたいなものだ。死は起こるものだし、（キップはこの当時、事故で妻を失った）俺の怒りなんかを投影してる。アーティストってのはそういうもんだろ。
それから若い世代が音楽を創っていく手助けをしたいから、ロック・ファンタジー・キャンプで教えたり、作曲のアドバイスなんかをしてるよ。俺の親も親戚も教師と神父だらけなんだ。だから俺の血には教師のDNAがあるのさ。俺は教えるのが好きだし、上手いんだよ。
アリス・クーパーとの仕事はどう始まったのですか？
俺はたまたま良い時に良い場所に居合わせただけなんだ。NYに来て、俺はプロデューサーのボー・ヒルと色々と仕事をしてた。そんな時、アリスのアルバムでベースプレイが必要になって、俺がプレイしたんだ。そしたらアリスが気に入ってくれて、バンドのツアーに誘われたんだ。
アリスとのツアーは素晴らしい学びの経験だったし、楽しかった。でも俺は自分の音楽をやりたいって気持ちがどんどん強まってきて、バンドから去る決断をしたんだ。その時、俺のことを一番応援してくれたのはアリスなんだ。ツアーで俺はステージの血糊に滑って転んで、脚に怪我をしてしまったんだけど、その保険金のおかげでWINGERのデモテープを作ることができたんだ！
レブ・ビーチとの出会いを教えてください。
1983年だと思う。レブはスタジオ・ミュージシャンとして仕事していたから、ある日アトランティックのスタジオで出会ったんだ。でも初対面の印象はお互いに最悪だった。俺はレブのこと、エゴ丸出しのマニアックなギタリストだと思ったし、俺はいかにもって感じのコロラド出身者でつまらない奴だとレブは思っただろうね。（笑）
