Loud Park の記憶も新しい Winger のキップ・ウィンガーがNYでラジオ番組に出演しました。キップが作曲を手がけたロック・ミュージカル "Get Jack" は10月30日にミュージカル俳優が歌うコンサート公演を行いましたので、インタビューでは様々な話をしています。
インタビュー動画からその概要を和訳してみました。
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以前NYで Rock and Roll Fantasy Camp のカウンセラーをしてましたね。その時に会いました。あなたは教えるのがとても上手いですよね。
あれは大好きなんだ、とても楽しい。俺は多くのボーカル指導を受けてきたからね、今でも教えるのは好きだよ。
そこでは、生徒のバンドがあなたと一緒に練習して、コンサート会場で曲を披露すのるのですが、あの時はいきなりロジャー・ダルトリーが現れました。
ロジャーと仕事をしたことはあったけれど、同じ部屋にロジャーが現れたら、俺もただのファンに戻ってしまうよ。彼は大物だからね。
あなたはナッシュビルに住んでいるのですよね。デイヴ・ムスティンには会いますか?最近は皆がナッシュビルに移り住んでいるようです。
(訳者注:ムスティンさんはLAにも家をお持ちだそうで。最近はビリー・シーンもナッシュビルに移住しました)
それは知らなかったよ。彼とは共通の知人が沢山いるのだけれど、まだ機会がなくてね。スターバックスにいたらジャック・ホワイトがいて「やぁ、ジャック。ベースプレイヤー探してない?」って言っちゃったけど。(笑) 多くのミュージシャンがいるよ、新しいシアトルのようになっているのかも。様々なジャンルの音楽が盛り上がっている。俺は16年前に移住したんだ。
「Winger はヘアメタルの Dream Theater だ」と言いましたか?
言ったかも知れない。俺はプログレッシブ・ロックと KISS が大好きで、それを合わせたようなバンドをやりたかったんだ。ショウの要素を入れてさ。Dream Theather は俺たちよりもずっとプログレッシブだけどね。
Wingerは確かに、3コードの単純なヘアメタルバンドとは違います。
ああ、俺たちはそういうところをフードの下に隠してやってるのさ。だからバーバンドなんかで俺たちの曲を弾いてることはめったにないんだ。難しいからだよ。
クラシックでの活躍は知りませんでしたよ。
子供の頃少しだけピアノのレッスンは受けたけど、バレエをやっていたときにクラシックに目覚めたんだ。そうだな、好きな作曲家はドビュッシーだ、彼はクラシックの印象派だよ。それから多くの作曲家の曲を聞いた。19世紀以前の作曲家にはそれほどのめりこまなかったんだ。それ以降の作曲はハーモニーがもっと複雑になってきて興味深い。
その頃クラシックギターの勉強を始めた。それに Yes なんかの音楽も大好きなんだ、Jethro Tull もさ。クラシックの勉強を本格的に始めたのは35歳のときだ。
ティーンの頃にアラン・パーソンズを聞いてファンになったとか。彼にデモテープを送ったんですって?
ああそうだ。そして彼から返事が来たんだ。ハガキが届いたんだよ、まだ持っている。そして30年後に彼のバンドで歌った。そのときに彼にハガキを見せたんだ。まさか彼と仕事ができるとは思わなかった。
Get Jack について教えてください。ミュージカル・スリラーだとか?
ああ。ダミアン・グレイが脚本と歌詞を書いている。彼とは5年前くらいに共通の知人を介して知合って、直ぐに意気投合したんだ。彼にはミュージカルのアイデアがあって、切り裂きジャックの被害者の女性が生き返って、彼女たちがジャックに復讐するという話なんだ。
典型的なミュージカルじゃなくて、ほぼオペラみたいなんだ。5人の女性リードシンガーと3人の男性パートがある。2年半をかけて作った曲さ。それで今回、SIR Studios でコンサートをするんだ。ちなみにこの場所は俺が初めて Winger でレコード契約をした場所さ。
オフ・ブロードウェイから始めてブロードウェイに?
いや、これはまだアーリーステージの製作段階なんだ。このコンサートをやってコンセプトアルバムを作るんだ。これはアンドリュー・ロイド・ウェバーが "Jesus Christ Superstar" を作ったのと同じやり方なんだよ。彼はアルバムを先に作った。そのアルバムでは Deep Purple のイアン・ギランが歌っているんだ。
オーケストラの作曲はできていて、ロックバンドがプレイするロック曲もある。シンガーが歌う曲については俺が書くのは自然なことだしね。8人のシンガーに曲を書くのは楽しいよ、俺1人の声に曲を書くのと違ってね。
2週間前に東京のLoud Park に Winger で出たのだけど、Alice Cooper も出演していた。面白かったのは、アリスに会ったら、「Get Jack はどうだ?」って聞かれたんだ。「え?知ってるの?」って驚いたよ。
「俺があなたのバンドに入った経験がなかったら、この作品は作れなかったよ」と伝えた。俺の偉大なるメンター、アリスのおかげだ。彼のバンドに入ってあの曲の世界を学んだことで、俺は創作の道具を身に付けたのだと思う。
NYといえば、あなたはここに住んでいたのですよね。ここは Winger が生まれた場所ですよね。
ああ、俺とレブは2人ともウェイターの仕事をしていたんだよ。俺とレブはアトランティックのスタジオで出会った。俺たちはチャンスを待ちながらレコーディングの仕事をしていた。そこで俺はアリス・クーパーのギグを得て、レブはセッションの仕事をしていた。俺がアリスのツアーから戻り、2人でデモを作った。アトランティックと契約したのは88年だ。
Winger はまだ各地でライブをやっていますね。
ああ。俺たちはまず第1に、まだ凄く仲が良くて、よくつるんでるんだ。レブは今や Whitesnake で最長の在籍期間を持ってる。彼は偉大なるデヴィッド・カバーデイルとニューアルバムを作っているんだ。
ジョン・ロスには Starship があるし、ロッド・モーゲンスタインは The Dixie Dregs のオリジナルメンバーでツアーするんだぜ!3月と4月だ。とても貴重なツアーだよ。バンドの全員がいろいろなプロジェクトを持っていて忙しいけれど、俺たちは一緒にプレイするのが大好きだから集まるんだ。
"Headed For A Heartbreak" でレブを見る度にあの素晴らしいプレイに感動するし、同じことがジョンにもロッドにも言える。オリジナルのキーボードプレイヤーのポールもよく一緒にプレイするんだ。
Winger のニューアルバムの予定は?
今はとても忙しいけれど、メンバーで集まるのがとても楽しいからきっと作るよ。
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アリス・クーパーへの敬意に溢れたキップのコメントがとても素敵でした。そしてキップの活動を見守り続けているアリスもさすがです。
NYという街に思い出のあるキップのトークも良かったのですが、Winger ニューアルバムの製作はずっと先になりそうで無念。(涙)