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スティーブ・ヴァイ 「変化するモノを基準として自分のアイデンティティを創ってしまうと、必ず苦しむことになる」

先週に引き続き、Moxipoスティーブ・ヴァイ インタビューpart2です。今回は主に若手アーティストへのアドバイス的内容になっています。そのせいか、ヴァイ先生の名言が満載です。
アーティストでなくても共感でき、深い示唆を感じました。成功したヴァイ先生が当時経験し、乗り越えた苦い経験についても必読です!

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Vai2_evo_osaka2014あなたは常に目的へ向かって突き進んでいるように見えます。今の若者には自分が人生で何をしたいのか、明確な意識がない人も多いですが、どのように目標を持てばよいのでしょう?

私は目的意識が明確でそれに突き進んでいるように見えるかもしれないが、実際には自分にとってエキサイティングで面白いと思うものに向かっているんだよ。特段の規律に従っているのではないんだ。

私が思うに、誰もが何がしかの才能や能力を持っているものの、それが見過ごされてしまったり、挫折してしまったりしているのだと思う。持って生まれた才能が多くの障害によって見えなくなっている人もいるだろう。そういう障害というのは全てメンタルな障害なんだよ。

自分の才能を発揮したいという欲求を感じても、自分の頭の中の声が「お前はそんなに上手くない」とか「誰もこんなの気に入らない」とか「そんな時間もお金もない」と告げるのが聞こえるかもしれない。こういう感情というのは全てが恐れに基づいている。

自分の天職が分からないという若者に私がアドバイスするとしたら、第1に何でもそう真剣に考えるのはやめろということだ。内なる自分自身と話してみることで何らかの答えが見つかるだろう。今の自分の考え方は世間に洗脳されていまっているということを理解することだ。

内なる自分を見つけるためには、雑念や頭の中のノイズを止めなくてはいけない。最適な方法の一つは瞑想だ。瞑想とは心を落ち着け、心の雑音を静まらせることで、我々の健全さを保つのに必要なプロセスなんだ。

ごく簡単な瞑想の練習としてはただ座って2つのことをするだけさ。リラクッスして呼吸すること。この2つのことだけを考えるんだ。一呼吸ごとに、身体のすべての部分を真にリラックスすることに集中する。これはすぐできる場合もあれば、長い訓練が必要な場合もある。

これが楽にできるようになったら、自分自身に問いかけてみるんだ。
人生で自分にとって何の不安や恐れもなく夢中になれるもの、ただこれがやりたいと思うことは何か?君にとってはちょっとした秘密かもしれないし、今までにやったことのないことかも知れない。あまり深く考え込まずに、自然と答えが浮かんでくるのに任せるんだ。

これを何度もやってみることが秘訣さ。長年自分を縛ってきたネガティブな思考パターンを遮断する度に自分が楽しめることのイメージがはっきりしてくる。

私は人が幸せになるために何かをやらなくてはならないと言っている訳ではない。生活していること自体が十分な目的である人もいる。別の見方をすれば、重要なのは自分の選択と自分自身を一致させることだ。

あなたはアーティストとして競争とは自分自身のパフォーマンスを向上させることと言っていますが、長いキャリアの中でそれは変化しましたか?

私の中で競争の概念は年月を経て変化したよ。随分若い頃は他のミュージシャンとの競争なんて考えたこともなかった。対象は自分自身だけさ。音楽的に他人と競うということが全く理解できなかった。私は誰もが私よりも優れたギタープレイヤーだと思っていたから、そんな人々に囲まれて、いつも刺激を受けていたんだ。

80年代半ばから90年代初頭にかけて、私はロック・ギター・プレイヤーとして有名になり始め、様々な雑誌の表紙を飾り、世界各地の人気投票なんかで選ばれて、最高のギタリストなんて言われるようになった。自分でそれを信じるようになってしまったのさ。こうして急に成功というものが人気投票やレコードの売上枚数で評価されるようになった。

変化するモノを基準として自分のアイデンティティを創ってしまうと、必ず苦しむことになる。
(When you create an identity for yourself based on things that change then you will inevitably suffer.) 
私はそれを経験し克服できたから良かったよ。

この15~20年くらいは他人との競争心というものは感じていない。人気投票なんかを見てみるのもいいが、以前のようには注意を払わない。でも私は今でも自分との競争は続けていて、あのエゴに凝り固まった時代を通しても、自分にとっての完成形を強力に求めている。以前よりも自分自身のユニークでクリエイティブなビジョンを広げ深堀したいという欲求だね。

あなたはアーティストとして極めた存在ですが、なぜ今も努力しているのですか?

私のキャリアに関して、何か到達したものとは精神的なものだ。自分にとって刺激的で楽しい、何かクリエイティブなことを考えていたときにできたことだから。私は人生の様々なこと、仕事やリラックスすることなんかも含めて楽しむことができて幸せだ。もし私が働くのが名声のためだけだったとしたら、私の作品は自分にとってつまらないもので、全くインスパイアされなかっただろう。

若いアーティストにアドバイスをお願いします。

自分に対して批判的であれ。ただし建設的であること。自分の密かな情熱やユニークなビジョンを表現するために深く掘り下げるんだ。

辛抱強く、プロセスの全てを楽しむこと。
人生というのはゴールだけじゃない、そこに辿り着くまでのあらゆる時間も人生なんだよ。
(LIFE does not exist in the goal. It exists in every moment on the way to it.)

良い、悪いなんて批評に動じないこと。批評なんてものはたかが誰かの心の概念でしかない。自分が何がしかのユニークなものを創造する能力があるんだと強く信じること。これはとても明らかだ、なぜなら誰もが外見が違うだろう。2つとして同じものはないんだ。やがて君は自分の作品に驚き、自分で理解も説明もできないけれど、自分自身の表現を見つけるだろう。

あなたはギタープレイで物語を伝えているとのことですが、何を伝えているのですか?

何がある人々と共感できるのか、できないのか、これは分からない。物語を伝えているとするならば、それが伝わるかどうかは聴衆の関心と彼らがその言語を理解しようとしているかにかかっている。
私はただ全ての音に意識を集中してプレイする。私の内なるインスピレーションが沸き起こるのを感じ、私の指がプレイする。

アーティストにとって評価や認知というのは必要でしょうか?むしろ創作の妨げになりますか?

人によって違うだろうね。人によっては評価は不要で、自分のクリエイティブな衝動を満たすことで十分だろうし、評価なしに創作活動を続けられない人もあるだろう。その中間の人も。
私は作品が認知されることはうれしいが、自分のエキサイティングなアイデアに突き動かされる方だね。