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スティーブ・ヴァイ 「自分のエネルギーを注いで自分の音をプレイすればいい」

スティーブ・ヴァイBrotherhood of the guitar(子供たちに楽器や演奏機会を与え、ミュージシャンのキャリア出発を援助している慈善団体)の子供たちに向けて、メッセージを送りました。以前ブログで紹介したインタビューと同様、示唆に富んだインスピレーショナルなメッセージです。とても長い動画ですので、その一部を和訳して編集しました。

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現在まで、私が追求してきたことは、自分にとって何が刺激的で楽しいかということだ。私はそれに没頭してきた。君たちも自分自身に同じことを問いかけてみてくれ。間違った答えなんてないんだ。でも、頭に浮かぶ答に混乱してしまうかも知れない。なぜなら、君たちは外の世界から多くのプレッシャーを受けているから。毎日テレビやラジオや広告を見たり聞いたり、誰かと話す生活の中で脳が影響を受けてしまっているんだ。そのせいで、自分は何か特定の形式に従っていなければならないと感じてしまう。それが皆の持つ独自の創造性を奪ってしまうんだ。

私が思うに、心の中には自己に対する自信と恐れという相反する感情があって、恐れの感情のレベルが高いときには、「お前はそんなに上手くない」とか、「こんなの誰でもできる」、「そんな時間はない」、「皆に受け入れられない」といった雑音が頭の中で聞こえてくる。これが君の中の独自性や創造性を奪うんだ。自分をそこから引き離して、自分を客観的に見つめ、真実に重要なものを見分けなくてはいけない。

重要なのは自己の深い奥底にあるレベルで何が自分を興奮させ、熱中させるのかを見つけることだ。成功は結果であって目指すものではない。例えば、流行の音楽をやってレコードを大量に売り、大金を稼いでいるミュージシャンもいるだろう。私はそれに何も言うつもりはないが、成功とはそういうことではないんだ。

ミュージシャンになるということは、何かをコミットすることなどではない。コミットするというのは、何かに向かって働くということだからね。ミュージシャンになるということは何の言い訳もなく一生そうあり続けることだ。だから君がミュージシャンになりたいか?と自分に問いかけているなら、私はやめておけ、と言うだろう。ミュージシャンは「なりたいか」と自分に問いかけることはしない。ただ彼らは常にミュージシャンであるということなんだ。

ミュージシャンでなくても君はギターを弾き続けるべきか?もちろんだ!これは強く君に勧めたい。何のプレッシャーもなく何かを自由に純粋に楽しむというのは素晴らしいことだ。そうすることで恐怖の感情は消えていくんだ。さて、どうやって自分の声を見つけるかということだが、静かな場所で瞑想してみるといい。心の雑音を遮断して、ただその瞬間に自己の存在を感じるんだ。

成功という言葉の定義は難しいが、私は心の平和を見つけることにあると思う。なぜなら、世間的な成功を成し遂げた人でも、そこでエゴの世界に囚われれば、惨めな結果が待っているからね。成功とは君が心の底から楽しめるものに出会い、そこに興奮を覚える。これは特別の感情なんだ。一度これを感じることができれば、もう何も君を止められない。もう心の闇に囚われることさえない。これは人生様々なことに言えることだが、私はスティーブ・ヴァイだからね、君が自分の声を楽器を通して手に入れることを話そう。

例えば、君が心から楽しめることがブルースでスティーヴィー・レイ・ボーンみたいにプレイしたいとか、誰でもいいよ、ジミ・ヘンドリックスジョー・パスみたいに弾きたいと思ったとしよう。もちろんそれはいい。でも君は決して彼らのプレイはできない。

私はこれまでに多くのギタリストがジミ・ヘンドリックスのように弾こうとしたのを見てきた。でも誰一人として、1音たりともジミ・ヘンドリックスと同じ音を出せた者はいなかった。ジミー・ペイジジェフ・ベックの音を真似ても同じさ。

音というのはプレイする者のエネルギーが楽器を通して現れるものであって、物真似することなんてできないのだ。

それでいいじゃないか。自分のエネルギーを注いで自分の音をプレイすればいい。そうして自分の音を見つけて、楽しみ、満足感を得ることで、心の雑音は聞こえなくなり、自信が生まれてくる。やがてこの自信が心の中で相反する恐怖のレベルを超えると一気に興奮の高みまで登ることができるんだ。

君が独自性や創造性を発揮できるもの、それこそが君が成功できることだ。インスピレーションというのは他人に影響をもたらす。君の内なる情熱は香りを持っているんだ。人々は君の演奏にエネルギーを感じるんだ。だから君に言いたい、心配しなくていい。君が興奮の中、没頭してやっていることの価値を信じて創造性を発揮するんだ。そうすれば成功は向こうから訪れる。

もう一つ、君にアドバイスしておこう。自分の物事に対する姿勢や知覚に注意しておくこと、それらが現実を形作り、経験となっていくのだから。