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スティーブ・ヴァイ 「未来の評価など気にしない」

3月21日にシンガポールでThe Story of Light Tour 2014をスタートさせたスティーブ・ヴァイシンガポールメディア取材に答えました。今回も1の質問に対して10答えるという、深く示唆に富んだヴァイ先生の受け答えがありました。以下は一部の和訳です。

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あなたはロック・ギタリストがやるとは思えないようなこと、例えばオーケストラ曲を作曲したりしていますね。常に自分自身を変化させていくことが必要なのでしょうか?

それについては、ある程度の間、自分の中で葛藤があった。結局は自分のエゴと折り合いをつけたよ。他人から自分に対して期待されるイメージというのがある。どんなカテゴリーの人間かということだ。

例えば、君が若いミュージシャンだったとしよう。自分の傾倒する音楽にインスパイアされて音楽を作り、タトゥーを入れ、髪を伸ばす。話し方や服装、音楽までも影響を受ける、時には思考パターンに至るまでね。なぜならこれが皆のやっていることだからだ。そして私自身もある程度はその通りのことをした。

でも、私にはずっと興味があり情熱を感じるアイデアに従いたいという大きな欲望があった。その欲望には従うしかないんだ。芸術家の中にはできない事に突き動かされる傾向があって、できないという事は正に拷問なんだ。

だから私は何度も人々が自分に求めるものについて考えてきた・・・先月にはブルースのアルバムをやらないかというオファーが3件もあったよ。しかも金銭的に恵まれた仕事だった。

今では私はブルースが好きだ。でもやりたくないと思った。素晴らしいブルース・プレイヤーはもっと他にいるからね。私に依頼すべきじゃないだろう。ブルースは得意じゃない。ジミ・ヘンドリックスエリック・クラプトンみたいにプレイしなきゃいけないと考えるなんてところ想像できるかい?

あなたにとって人生の教訓はどんなことですか?

人生とは今この瞬間だ。過去や未来についての思索は重要だが、真に重要という訳ではない。真に重要なのは完全に今この瞬間に存在するということ。そしてあらゆる物に対し感覚を研ぎ澄ましていることだ。

あなたが未来に遺したいものは何でしょう?

全く考えないよ。気にもしていない。死後どう自分が思い出されたいかなんてことには興味がないんだ。だってその時には自分にとって何の意味もないことだからね。決して自分には関係を及ぼさない想像上の未来イメージの投影に過ぎない。

私は今生きていることでそれを体験することができるんだよ。今、私の音楽や演奏にある種の価値を見出し、満足してくれる人々がいることは素晴らしいことだ。では、未来の人にそう思われることはどうか?もちろん素晴らしい。でもそれは私にとって何でもないんだ。それは歴史が評価することだ。恐らく(未来における私の評価は)「過去に存在したギタープレイヤー」となるんだろうね。それでかまわない。バッハ、ベートーベン、モーツアルトビートルズ、他の音楽家たちの音楽も全て究極のところはいつか塵になるんだ。誰にも思い出されることがなくなる時がくる。

それについては全く驚かない。現在、我々にとって非常に重要な精神的、宗教的な指導者たちもやがては思い出されることがなくなるだろう。それでも、彼らの打ち立てた教義や理念は永遠だ。

私が未来に遺す自分のイメージを気にもしていないというと、冷たいと思われたくないのだが、私の貢献は既に未来に起こることに対して影響を及ぼしているんだよ。誰でも何か今行った事は現在またそれに続く未来に影響を及ぼしている。つまり、私が現在ギタリストとしてやっていることは、別に未来において思い出される訳じゃないけれど、将来の歴史に対し、本質的な貢献をしているんだ。

ビートルズの音楽は未来の音楽に貢献した。今から何千年か経ってビートルズが思い出されることもなくなっても。それは永遠に不変で100万年経とうが何でもない。だから、未来の心配なんてして何になる?今、自分のベストを尽くせばいいんだ。

あなたのステージ上でのとんでもない失敗を教えてください。

私がアルカトラズにいた頃、私はまだステージ上でバカみたいに走り回るってことを覚え始めたところで、物に登って飛び降りるというのはどうかと考えていたんだ。それであるとき、実行してみたら、かかとを痛めてしまって、転倒さ。かっこよさのかけらもない。とんでもない失敗の極致さ。シンガポールのショウではやらないから安心してくれ!(笑)