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レブ・ビーチ 「ギターが本当に上手いヤツでマジで歌えるヤツがいったい何人いる?」

先日までWhitesnakeのニュー・アルバムのレコーディングに参加し、この週末からWINGERのライブに戻ったレブ・ビーチですが、Gearphoriaというディープなギター&ギア好き向けのWEB雑誌に最新インタビューが掲載されていました。(P50~)雑誌のテイストも考えず、とことん聞かれたことにド直球で返すレブ節が楽しかったので、概要を和訳してみました。

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WINGERのサウンドはヴォーカル・ハーモニーが特徴だよね。歌えるってことはバンド加入の必須条件なの?

俺たちがデビューした'89年はビッグなハーモニーが流行ってただろ。皆がやってたよな。だから、ハーモニーのコーラス曲を書くと、ステージではそういう三声ハーモニーが歌えなくちゃダメなんだよ。キップにとってはタイトなハーモニーでなくちゃならない。だってそれこそがバンドを一つ上のレベルに引き上げるものであり、オーディエンスが聞いてくれるものだからさ。皆はボーカルを聞いてるんだ、だからそれが音楽で一番大事なのさ。

ポール・テイラーがバンドを辞めたとき、俺たちは何よりもシンガーを探したんだ。WINGERの楽曲は演奏が簡単じゃない。だから演奏も出来て歌えるヤツじゃないとダメだ。ジョン・ロスは完璧だったよ。見事に歌えてしかもWINGERの複雑な楽曲を演奏できるヤツを探すのは本当に大変だった。事実、上手いギタリストで歌も歌えるヤツは少ないんだよ。

実際のところ、ほとんどのギタリストは歌えないか、てんでダメなのさ。歌うって言っててもシンガーじゃないレベルさ。考えてみろよ、ギターが本当に上手いヤツでマジで歌えるヤツがいったい何人いる?リッチー・コッツェンと・・・リッチー・コッツェンくらいじゃないか!ほとんどいないんだよ。(デイヴ・メニケッティさんはどうでしょうか? @訳者の独り言)

パワフルでガッツがあって、キップくらいに歌えるヤツじゃなきゃダメだ。だって俺はデニス・デヤングみたいな声だし、これじゃダメなんだよ。俺の声はクリーンでロック向きじゃない。だからキップは俺にファルセットのコーラスをやらせてるんだ。

俺がWhitesnakeの仕事を12年間続けていられるのはギターの腕前のせいじゃない、俺の歌声のおかげなんだよ。俺の代わりを探すのは難しいと思う。だって俺は決して音程を外さないで歌えるし、'80年代の音楽にはボーカルはとても重要な要素なんだよ。

そういったハーモニー曲を書かなくてはというプレッシャーはあった?

ああ、レーベルとプロデューサーのボー・ヒルから。作曲過程には公式みたいなものがあって、俺たちは明らかに一方向を目指してた。セカンド・アルバムでは、レーベルから"Miles Away"を1stシングルにするって言われたんだ。いい曲だけど、ああいうセンチなバラードをシングル・リリースするのが心配だった。

当時はあのテのバラードをリリースしたバンド、例えばナイト・レンジャーやエクストリームなんかはバラードが売れたとたんにおセンチ・バラード・バンドだって思われて撃ち落されてた。1曲のバラードでバンドのイメージができちまうんだ。

WINGERはバラード・バンドだって思われていないところがいいのさ。俺たちにはTop40のシングルが6曲あるけど、ほとんどがロック曲さ。とにかく、俺たちは"Miles Away"を1stシングルにするって言われて、これは命取りになるかも知れないって思ったから、"Easy Come Easy Go" と "Can't Get Enuff" を1日で書いたのさ。あの曲は売れたから良かったよ。

ソングライティングについて言うと、俺はキャッチーじゃない曲ってのは書けない。そういうのは俺のスタイルじゃない。いいフックがあって、オーディエンスが一緒に歌えて、彼らが忘れてしまうような曲じゃ意味がないんだ。

ギアについて教えてください。

サウンドの殆どはプレイヤーの指で作られるもんだ。でもしょぼいアンプやピックアップではいい音を出すのは難しい。そんなギアでも俺のサウンドはなんとか出せるかも知れないけど、俺はファットなサウンドのピックアップ、EMGをずっと使ってる。多分これが俺のサウンドのキーだ。俺のトーンを出したかったらEMGが必要だ、他のではダメだ。

アンプヘッドはJohn Suhrカスタムのをずっと使ってる。俺のMarshallも彼が作ったから同じさ。John Suhrが作ればデカくて最高のサウンドが出せる。ノブの調節なんて要らないんだ、全部ミドルにしておくだけで、信じられないほどのサウンドさ。

レブの自宅ご近所にあるという楽器店で嬉々としてSuhr PT-100 カスタム・アンプについて語るレブが必見のビデオです。インタビューではクリーンは使わないと言っていますが、ビデオでは宣伝のためにクリーンでの演奏や、ストラトちっくなサウンドもやってくれています。

俺は殆どエフェクターを使わない。WINGERでは特にね。俺にはクリーンな音なんてないんだ。俺のサウンドは一つだけ。キップとスタジオにいる時はSuhrのディストーション "Shiba" を使うだけさ。ディストーション・ペダルからアンプに繋ぐ、ただそれだけ。キップがちょっとディレイを加えるくらいだ。
ボストンのトム・シュルツみたいなクールでクレイジーサウンドが大好きなんだけど、俺のサウンド・メイキングはごく単純なんだよ。

自分のサウンドに必要なものを見つけるのに時間はかかった?

アンプに繋いだら、一瞬でいい音が出せるかどうか分かるんだ。俺はセッション・プレイヤーからキャリアを初めた。初めてのセッションはアトランティックのスタジオでフィオナのレコーディングだった。スタジオにはレンタルのMarshallがあって、プロデューサーのボー・ヒルはいいヘッドのシリアル・ナンバーを書き留めてたよ。俺もそのとおりにした。

とにかく、初セッションの日、俺はMarshallを使ったことがなくて、どうやっていい音にすればいいか分からなかった。ディストーションのかけ方も知らなかったんだ!ボーが隣のスタジオにいたアリス・クーパーのギタリストだったケーン・ロバーツに聞いて、彼が俺にMarshallの使い方を教えてくれたよ。

「いいか、ゲインは6、マスター・ボリュームは3、トレブルは6、ミドルは4、ベースは10。それだけだ。毎回この通りにしろ、これで上手くいく」俺はその通りにしたんだ。

俺はそれ以来ボーのセッション・プレイヤーになった。でもそれは俺が凄く上手かったからじゃない、俺が500ドルでやったからだ。俺はまだ子供で、組合にも入ってなかった。俺はただのお人よしの青二才で使いやすかったし、いいプレイヤーだった。そうして俺は多くのセッションをやることになった。だって俺は自分が搾取されてるって全く知らなかったからさ。

セッション・プレイヤーには演奏の腕と対人スキルが要求されるよね?

神よ!その通りさ!どんなくだらない曲でも「この曲は素晴らしいね!ロックしてる!」って言わなきゃな。また仕事が欲しけりゃ、一緒にいて楽しくて、何にでもポジティブな人間でなきゃならない。

ニュー・アルバムでは、今までに聞いたことのないサウンドがあるね。特にタイトル・トラック。

WINGERらしくないから気に入らない人もいるのは確かだ。俺があのフレーズを思いついて、キップは年寄りのヒッピーだからそれが気に入って、2人でいろいろやってみた。俺がベースで「こんなのやってみたらどう?」って見せたらキップが気に入ってさ。それでキップがコーラスを書いた。あのコーラスアイデアに取り付かれてた。そこのところはデラックス・エディションのDVDに入ってるから俺たちがどうやって曲を書いてるのか分かるよ。

基本はキップがドラム・マシーンでビートをプレイして、ギター・プレイヤーみたいにEとかAとか1音を出す。で、キップはベースを弾き始めるのさ。ギター・リフを考えるのは俺の仕事。俺たちはいつもギター・リフから曲作りを始めるけど、それは俺がリフを考えるのが上手いからさ。クールなリフか、そうじゃないかも考えずにただ座ってプレイするんだ。で、キップは「それだ!」「それ何だ?」って言ってくる、俺は「さぁ、分からない」って感じだから、キップはずっと録音してるんだ。俺は即興で好きなように弾いてるだけだからさ。

キップはアレンジの職人さ。アレンジを勉強して76ピースのオーケストラ曲のアレンジもこなしてしまう。だからキップには曲の組み立てが分かってて、曲が早く出来るんだ。基本的には1日で1曲書く。キップはワーカホリックなんだ。10時に食事して、10時半にスタジオに入って、疲れきるまで働く。'89年からずっと同じさ。

このアルバムにはプログ・ロックの要素があるけど、何もWINGERには新しいことではなくて、 "Seventeen" がもし女の子についての歌でなければ、君らの演奏力が前面に出たと思う?

そうだ。あの曲は演奏が難しい。皆が苦労する曲さ。全部アップ・ビートなんだ。俺にはそれが自然なんだよ。俺はたいていアップ・ビートで曲を聞いてる。俺がステージで演奏してるのを見れば、皆の頭がダウンに動く時も俺の頭はアップに動いてるのが分かる。 "Seventeen" はそういう理由でアップ・ビートなんだ。皆はフレーズを間違って弾いてる。皆は1音間違って弾いてて、それがこのフレーズのクールなところなんだ。

WINGERにはいつでもプログレの要素があった。演奏するのは難しいけど、いつもそれを隠してたのさ。初期の楽曲は特にポップなメロディで隠してた。俺は簡単でも基本的でもないリフを書いてて、それにラジオでかかるようなメロディをのせてたんだ。2ndアルバムの"Rainbow in the Rose"は思い切りプログレな曲だ。"Headed for a Heartbreak" もあの素晴らしいアレンジでプログレの一種だ。通常のキップ・ウィンガー・アレンジよりもいい。キップ最高のアレンジの一つじゃないかと思う。

キップから良い音楽的影響を受けた?

キップとマイク・シプリー(3rdアルバム"Pull"のプロデューサー)が今の俺の知識の全てを教えてくれた。以前の俺のプレイは走ってたり、ビートに遅れてたりしたんだ。ギター・プレイヤーには良くあるんだけどさ。WINGERでレコーディングする時は、ジャストで弾かなきゃいけない。でなきゃキップは受け入れてくれない。これをマスターするのには結構時間がかかったよ。耳を鍛えなきゃならなかった。キップには助けられたよ。音楽について俺は以前よりもずっと詳しくなったけど、それはバークレーで学んだんじゃなくて、キップに教えられたんだ。

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このインタビュー内容と一部被る内容をこちらの電話インタビューでレブが話していますので、ノリノリで喋りまくるレブ音声もどうぞ。ここではソロ・アルバムが完成したと言っていますが、リリースはいつになることやら・・・
セバスチャン・バックのモノマネもしているこちらの音声もオススメ♪