Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

アンディ・ティモンズ 「究極のところ、自分自身のプレイをするしかないんだ」

アンディ・ティモンズが今年のNAMMショウ(1月)に向かう折にインタビューを受けた音源をたまたま見つけました。なんと2時間半もアンディの喋り倒し(汗)。余りに長いので、過去にブログで紹介した内容を割愛して、興味深かった部分をざっくりまとめて和訳してみました。

 

アンディは7月23日からニューヨークでの3夜連続公演を皮切りに東海岸のツアーを始めています。また Ear X-tacy を25周年記念でリマスターし、来月発売すると発表しています。(詳細はこちらのサイトで)

 

Ext_2

インタビューの途中、アンディのスタジオに飼い猫が入ってきたシーンがあるのですが、アンディの話し方が急に猫バカに変わっていて面白いです。3匹飼っているそうです。

 

=================================================

 

ギタープレイの話ではありませんが、あなたのボーカルは幅広いですね。

 

僕の歌声?どうかな、エルビス・コステロジョン・レノンが好きなソングライターだから、特に歌詞に関してはね。僕が書いたボーカル曲はそういうイメージで書いているんだ。

 

僕のインスト曲については、特に初期の曲にはジョー・サトリアーニの影響が現れているね。僕がギターインスト曲を書き始めたのは Surfing with the Alien がリリースされた頃だから。"Carpe Diem" や "Bust a Soda" なんかにはパワフルなリズム・ギターとか、彼の影響が現れているね。
(訳者注:アンディはツイッターで他にもサッチに影響を受けた曲名を挙げています。記事の最後の画像参照)

 

ジョーが成功している要因、そして今でも素晴らしい音楽を創り続けているのはそこだよ、彼は常に素晴らしいメロディを書けるんだ、記憶に残りやすく、つい何度も聴きたくなるんだ。もちろん、とんでもなく凄いギタープレイもあるんだけど、常に曲が優れているのさ。

 

"Always With Me, Always With You" もそうさ、どの曲も「これは!」と思うようないい曲で、素晴らしいグルーヴもある。人々が耳を傾けるのは凄いギタープレイだけじゃないんだよ。彼の登場で多くのギタープレイヤーが影響を受けた。「シンガーは要らないんだ!」ってね、いいニュースだろう?(笑)

 

だから僕のボーカルに関しては、僕の声を見つけられたのかは分からないけれど、ギタープレイや人生と同じで、自分自身であることを心地よく感じるようになったということかな、自信を持てたということはないんだ。

 

ちょうど今、僕のスタジオでは沢山のボーカル曲をレコーディングしているんだ。この数年はアルバムにボーカル曲を入れていないのだけど、多分最後に入れたのは The Spoken And The Unspoken だったかな、随分と経ったね。

 

Danger Danger 後のソロアルバムのリリースについての経緯はどんなでしたか?

 

テキサスに帰ってからは自分のバンドでプレイしていたよ、ここには僕のファンベースがあるからね。それに Ear X-tacy になるものは殆ど出来上がっていたんだ。僕はそのラフ・ミックスのテープを Winger のレブ・ビーチに渡して聴いてもらったんだ。僕らはいい友人だからね。

 

「これを考えてるんだけど、どうかなぁ。ここはやり直した方がいい?」って。「これはお前のアルバムじゃないか!これはもう完成してる!」って彼に背中を押されたよ。制作中の数曲をレコーディングして追加すると、どこのレーベルに送ることもなく、セルフ・リリースしたんだ。

 

僕は音楽ビジネスに幻滅していたからね、これが僕のやりたい音楽で、自分で費用を掛けて、全ての権利を所有して、あれを出したんだ。Hughes & Kettner が Tubeman の広告で僕を使いたいという話が来て、雑誌に広告を出すとき、Ear X-tacy も載せてもらったんだ。トニー・マカパインが雑誌にアルバムのメールオーダーの広告を出していて、なるほど、こういうやり方があるんだなと思ったのさ。

 

Danger Danger は日本で成功していたから、向こうのレーベルの人とは親しくていい関係だったんだ。アメリカのギター雑誌を見た彼らから連絡をもらって、日本でリリースしたいと言われた。そうして彼らと契約して日本でリリースし、その後は欧州でも同様にリリースできたんだ。

 

アメリカでは、G3がフォートワース公演をやったとき、ジョーとスティーブ・ヴァイ、ジョン・ペトルーシのステージに呼んでもらえて楽しい夜をすごした。その時だよ、スティーブから彼のレーベル、Favored Nations からアルバムを出さないかと誘われたんだ。彼から承認のスタンプを押してもらえるのは実に音楽的な信憑性という意味でとても助けになったよ。

 

サイモン・フィリップスとの共演については?

 

サイモン・フィリップスは僕のギターヒーローの何人もとプレイしてきた人だ。だから彼から Protocol に誘われたのは嬉しかったし、そのポジションを得たことは簡単に考えてはいないよ、僕には重要なことだ。彼とはこの先また共演するだろうし、凄くインスパイアされる。

 

僕は Danger Danger のギグを得た理由について聞かれたとき、「ラッキーだっただけさ」と言っていたけれど、「それは違う。君は何年も真剣にやってきて、チャンスが訪れたときに準備ができていたからだ」と言われたことがあって、それからはそう考えるようにしている。

 

サイモンのギグに関してもそうだ。僕はずっとその準備をしてきたし、ギグが決まってから更に真剣に仕事に向き合ったのだから。オリビア・ニュートン・ジョンのギグもそうだよ。それはサイモンを通じてだった。オリビアのマネージャーは長い間TOTOのマネージャーでもあったんだ。リビアのオーストラリア公演でのギタリストが北米公演をできなくなったときに、彼からサイモンに誰かギタリストを知らないかと話があったんだ。それでサイモンが僕に勧めてくれたんだよ。

 

リビアのギグに対しても僕は彼女の音楽に敬意を持ち、しっかり準備して臨んだ。彼女はそれに満足し、その後僕にバンドを任せてくれたんだ。僕は例えそれが家の近所の会場での小さなギグでも音楽に敬意を持ち、オーディエンスに敬意を払い、準備して臨んでいるよ。今の風潮とは違うのかも知れないけれど、そうあるべきだし、誰が見に来ているのか分からないんだしね。

 

ずっと同じシグナチャーギターを弾いていますね。

 

Ibanez とは長い付き合いで、AT100 はずっと使っているし、AT300 も出たけれど、その後契約を更新しなくて、僕は自分のヴィンテージのストラトや自分の好きなギターを何でもプレイしたいという気分になったことがあるんだ。僕はエンドーズ契約が切れたことは発表しなかったけれど、噂を聞いて多くのギターメーカーからアプローチを受けた。けれど僕は次々と契約先を変えるようなプレイヤーにはなりたくなかったんだ。そしてあるとき気が付いたんだ、AT100は僕自身なんだ、僕が弾きたいのはこのギターだと。

 

2008年に星野楽器の100周年イベントが日本であって、ヴァイ、ポール・ギルバート、マーティ・フリードマンサイモン・フィリップスたちが呼ばれていたのだけど、契約が切れていた僕にも声を掛けてくれたんだ。僕がサイモンとプレイしているからって。とても光栄さ。そしてイベントの後で Ibanez からAT100をリイシューしようと思うがどうかと聞かれた。だからとても自然に僕は再び Ibanez に戻ったんだよ。

 

プレイにおいて大切なことは?

 

自分の敬愛する偉大なギタープレイヤーと自分を比べて、自分は全くダメだと思う時が誰にでもあると思うけれど、究極のところ、自分自身のプレイをするしかないんだ。僕自身、多くのプレイヤーの影響を受けてきているけれど、それを受け入れた上で自分のプレイをする。

 

いつだったか、NAMMのイベントで多くの Ibanez プレイヤーとクラブでショウをやったんだ。ヴァイ、サトリアーニ、トニー・マカパイン、ハーマン・リーの他に数人だったかな、ステージに出る前に並んでいたときに僕が最後になっちゃったんだよ。僕はトリを飾るようなプレイヤーじゃない、スティーブやジョーの後でいったい何を弾いたらいいんだ?って焦った。

 

僕はアンディ・ティモンズのプレイをするしかないんだよ、それが良いものであることを祈るね。その後も招待は受けているから、良かったってことだろう。(笑)でも僕はあの時のように感じるのは好きだよ、これまで以上に今は特に。この先もまだまだ道は長いってことを知っているのはいい気分さ。

 

Ady_satch_tw_2

質問:アンディ、Ear X-tacy はサッチに影響を受けた期間の証拠だと思う?

 

アンディ:ああ、その通り。何がしかの点においてね。Carpe Diem, Bust A Soda, I Have No Idea, Hiroshima は明らかにサトリアーニのプレイと作曲への僕の敬愛の証拠だ。彼は昔も今も僕にとって特大のインスピレーションなんだ。けれど確かに、Electric Gypsy, Stevie, Farmer Sez, No More Goodbyes...

 

(訳者注:けれど確かに・・・と曲名を挙げた後で文章が切れているのですが、アンディは何と書いていたのでしょうね?)

【追記】

上のツイートの文章が切れた先で何が言いたかったのか、とても気になっていたので、2019年4月5日のアンディ・ライブ後に訊いてみました。

「これらの曲はジョーという訳ではなく、もっと幅広い音楽的影響を受けて書いた曲だ。もちろん、ジョー・サトリアーニは素晴らしいギタープレイヤーで、全てのギタープレイヤーは彼のプレイを聴くべきだ」

とのことです。2019年夏には Vai Academy (ヴァイ先生のギターキャンプ)でアンディは敬愛するサッチそしてヴァイ先生と講師として合流することになります。アンディは楽しみでしょうね!