ポール・ギルバートが音楽メディアのインタビューに応えました。ちょうどワールド・ツアーを終えて自宅に戻ったポールからは今の音楽的関心の話など、いかにもポールらしい話が聞けたのですが、聴力に関するコメントは思わず心配になるものばかり。その一部を和訳してみました。
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君がソロアルバムのセルフ・プロデュースを止めて、MI卒業生のフィリップ・ナスランドに "Stone Pushing Uphill Man" を任せたのはなぜ?
元々、フィルには僕のオンライン・ギター・スクールのビデオ編集を手伝ってもらおうと思って雇ったんだ。でも一緒に働いてみて分かったのは、彼が凄くいいミュージシャンで良い耳を持っているってことだった。彼にPro-Toolsの基本的な操作を教えたら、すぐに彼はエンジニアができるくらいに使いこなしたから、アルバムのプロデュースを手伝ってもらうことにしたんだ。
君のソロアルバムもMR. BIGのニュー・アルバムもLPで発売されるようだけど、LP用に別ミックスを用意してたりするの?
ミキシングは僕の手から完全に離れた段階なんだよ。僕はギタープレイと作曲にエネルギーを注ぐだけなんだ。僕の耳はあまり聞こえないから、ミキシングではとても自分を信頼できない。でもLPは素晴らしいフォーマットだよね、僕が子供の頃から慣れ親しんだものだから。
MR. BIGのニュー・アルバム "…The Stories We Could Tell" がリリースされたけれど、今のところ評判はどう?
ちょうど、ヨーロッパ、ロシア、日本、アジアでのライブが終わって帰ってきたところなんだ。ツアーは素晴らしかった。オーディエンスの新譜への反応もいいしね。来年は南米とアメリカでも少しライブをやるよ。
ニュー・アルバムの製作でプリ・プロダクションやデモはどれくらいやったの?どの曲が君が大きく関わったものなんだい?
時間や日数は数えてないから…ただ出来る限り最高の状態に完成するまでやるだけなんだ。数ヶ月かな、はっきり覚えてないよ。アルバムに加えて、日本のリリース用に僕らの人気曲を何曲も再録するっていうカラオケ・プロジェクトがあったんだ。それに僕はいつも通りオンライン・ギター・スクール用にビデオを作ってるし、僕の第一子が生まれるし、全部が一緒に起きたんだ。それにツアーに出る用意もしてたしね、どうにか全部やり切ったよ!
君のギア関連で最近の変化や研究中のものはある?ヘッドホンからイン・イヤー・モニターに変えたようだね、どうして?
実はこれは耳栓なんだよ。イン・イヤー・モニターは好きじゃないんだ。あれはステージでの音量を下げてくれないから。あれが好きな人たちに聞いてみたら、僕の外字道の形のせいかも知れないなって思うけど。今回のツアーではモニターの音量を上げて、耳栓をしてたんだ。耳栓で細かな音は聞こえないけど、僕にはさほど必要でもない。ずっとプレイしてきたから、聞こえなくてもプレイできるんだ。
ギア関連での最新発見は、ループのスイッチング・ペダルをワウワウ・ペダルのオン・オフに使うことにしたってことだ。この方法だと、オンになってるかどうかはLEDランプの点灯で分かるからね。耳栓をしてるから、ペダルがオンになってるかオフになってるかが目で見てわかることは凄く重要なんだ。
あなたにとって音楽を開拓していくことはなぜまだ大切なんでしょうか?
僕は実際、自分の音楽の興味が最近大きく変わったことに驚いているんだ。長い間、僕のお気に入りは同じものだった。ビートルズやトッド・ラングレンみたいな複雑なポップ・ミュージック、70~80年代のHR/HM。何十年も僕にとってはこれで十分だった。
でも今は古いアーティ・ショウ、ジミ・ハミルトンのクラリネット・ソロ音楽も探求してるんだ。僕が今ギターやイマジネーションから引き出す音楽を聞いてみると、この趣向の変化は僕の聴力が落ちてきたことによるものかも知れない。ラウドなギターをずっと聴くのは辛いんだ。一方でクラリネットのトーンや質感は僕にとってとても心地よいんだ。
それに、エディ・ヴァンヘイレンのお父さんがジャズのクラリネット奏者だったことを忘れちゃいけないよ。エディは彼の音楽的本能をお父さんのスイング・ジャズを聞きながら育って身につけたに違いないんだから。
とにかく、僕はギタリストって職業につけてラッキーだよ。オーディエンスが気に入ってくれる演奏をしたいね。幸運なことに、僕のオーディエンスの多くはミュージシャンや音楽好きだから、柔軟で広い心で聞く耳を持ってくれる。僕がどんな新しいことをするにしても、そこに高い質が求められるのはとても大きな挑戦だ。僕が過去に何をしてきたかによらず。だからずっと練習していかなくちゃ!
あなたはもうロック・スターとしての達成したいことはやってしまったそうですが、これからどんな方向に行きたいですか?即興演奏に取り組んでいるそうですが、それはロック、ブルース、ジャズ?
どれも即興に素晴らしいスタイルだよ。僕はそれら全てに取り組んでる。“Autumn Leaves”みたいなスタンダード・ジャズをやるかは分からないけど。僕はああいうのあまり聴かないんだ。でもジャズ・プレイヤーが弾くブルースは好きなんだ。まだ僕にも理解できる音楽言語だからね。僕が聴いてきた音楽よりもちょっと洗練されてるけど。まぁ、だから探求し甲斐があるんだ。
「ロック・スター」のゴールよりも音楽的なゴールとしてはよっぽどいいよね。僕は48歳なんだから、今後さらに「ロック・スター」ゴールがあるとは思えないんだ。僕はこれまでに想像以上の経験ができたんだから、そんなことは気にしないよ。でもAC/DCのドラマーになる夢は忘れてないから。
あなたはSatan?それともOlder Guy?もしくは Terrible Man?
曲のタイトルを覚えてくれていてありがとう。僕はただ、今よりもずっといいミュージシャンになりたいんだ。僕にはまだ時間があるから、やっていくよ。そしていつか僕が引退するときに息子が引き継いでくれると思うんだ。だから息子には最高のビートルズ楽曲を教えて、スティービー・ワンダーやキャロル・キング、それにエルビスも聞かせなくちゃね。