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ダグ・アルドリッチ 「Revolution Saints は一種のチャレンジなんだ」

Revolution Saints のデビュー・アルバム発売が待たれる、ダグ・アルドリッチがメディアのインタビューに答えました。Whitesnake脱退について、Revolution Saints のレコーディングについて、趣味のギター・コレクションについてなど。特にWhitesnake脱退については日本のBURRN!誌(2014年11月号)での本音インタビュー以来、欧米のメディアで語ったのはレアではないでしょうか。ロング・インタビューでしたが、今回は全文を和訳してみました。

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あなたは昨年5月にWhitesnakeからの脱退を発表しました。10年以上あのバンドで活動してきたあなたにとってはかなり大きな決断だったことと思います。

厳しい決断だった。実際のところ、僕は辞めようとしていた訳じゃないんだ。デヴィッドは2014年はオフを取ると言っていたけれど、期間についてははっきりしていなかった。それで、僕はWhitesnakeに加入して以来、初めていくつかのオファーに参加したんだ。これまではずっと断っていたようなオファーで、僕はこれに参加できてとても興奮しているよ。

それが Revolution Saints のレコーディングで、元々はディーン・カストロノボ(Journey のドラマー)のソロ・アルバムだった。僕はこれに参加することに決めて、同時にラスベガスでの Raiding the rock vaults っていうショウ、これはスーパー・カバー・バンドものなんだけど、Heartのハワード・リース、Bon Joviのヒュー・マクドナルド、Michael Schenker Group のロビン・マクーリーなんかが一緒なんだ。

それで、このショウとRevolution Saints に取り掛かっていたら、デヴィッドから次のWhitesnake プロジェクトを始めるって連絡があった。それで、「いいね、僕はRevolution Saintsのスケジュールを少し後ろ倒しにすれば大丈夫だよ」って伝えて、オフにレノへ出向いてデヴィッドと作業を始めたんだ。

ちょうどその頃、僕のプライベートでは変化があって、僕は前妻との息子を引き取り同居して、再婚もした。そういったプライベート面での変化がいろいろとある中で、僕は仕事との時間をやりくりしていたんだ。僕はこれまでもデヴィッドに必要とされればいつでも飛んでいったし、今回もそうした。

そうしてWhitesnake の新プロジェクトのためにデモ製作を始めた。とても上手く行ってたんだけど、彼はもっと僕が時間を割くよう要求したんだ。多分、僕がフル・タイムで週7日の参加ができないってことがデヴィッドにとって苛立たしいところまでいってしまったんだろう。僕らがこれまでに成し遂げてきた仕事はとても誇らしいと思うけれど、僕とデヴィッドの関係はスケジュールの重圧でこじれてしまったんだ。

僕は初めて彼に少々のフレキシブルなスケジュール調整を頼んだんだよ、フル・タイムで1日12時間も働けないんだ。そんな感じで常に何か他の原因も絡んでくるんだけど、僕はその日の終わりに、家族と息子のためにWhitesnakeを去らなくちゃいけないと思ったんだ。厳しい決断だった。

そんなつもりはなかったけれど、とても急に決まったんだ。息子は僕の人生で一番重要だ、だから彼を優先させる。デヴィッドがこの決断を尊重してくれるといいね。だって彼も同じことをしたんだ。彼だって幼い息子の養育時期にWhitesnakeを休止したんだから。

あなたは1日12時間も働けないと言いましたが、Whitesnakeを辞めてもあまり休みはとっていませんよね?この7ヶ月で Revolution Saints のアルバムをレコーディングし、Raiding the rock vault と Burning Rain のショウをやっています。

Whitesnakeでの僕のゴール、もしくは任務はデヴィッドが30年前に始めたことの伝統を守り、デヴィッドをハッピーにすることだった。基本的には僕はそれをやっていたんだ。彼がハッピーでやる気を持ち続けること。ある時期の彼は楽しんでもいなくて、特段の仕事もしていなかった。だから僕と彼は兄弟みたいにつるんで出かけたんだ。1日12時間だけど、うち7時間が仕事で残りはジャムしてたり、食事したり、普通のバンド・メイトの関係だ。

今の Revolution Saints と Burning Rain では僕は柔軟なスケジュールが組める。Raiding the Rock Vault はとても楽しいショウで、僕は週5日プレイしても、代役を立ててもいいんだ。夜に3時間のショウだから、僕は他の事やRevolution Saints の方に残りの時間を使うこともできる。

Revolution Saints はフロンティア・レコードのトップであるセラフィーノ・ペルジーノのアイデアなんですよね?

そうさ。セラフィーノが Journey の大ファンだってことは周知の事実だ。そして、これまでディーンがいかに優れたシンガーかってことも周知の事実だ。彼はとても才能のあるオールラウンド・ガイで、素晴らしいドラマーだ。でも彼が歌うのを聞いたら、彼が何らかのプロジェクトをセラフィーノとやるってことは明らかさ。

最初はソロ・アルバムの構想だったから、そうやって始まったんだけど、ジャック・ブレイズ(Night Ranger ボーカル&ベース)が参加して、ギターを誰にするかって時に僕の名前が出たんだ。多分この時にセラフィーノは、これはもうソロ・アルバムじゃない、本物のバンドにすべきだって決めたんだと思う。彼の発案なんだ。素晴らしいよ。

僕はこういうプロジェクト向きの大物ではないけど、Whitesnake と Journey は一緒にツアーをやったからディーンとは友達になったから、彼と仕事ができるのはとてもうれしい。それにジャックが参加するって聞いたときには、これは絶対に参加しなきゃって思ったよ。

3ピースのバンドとは興味深いですね。10年前にはほとんどいませんでしたから。

人数が少ないほど金がかからないからさ!(笑)同時にとても自由度がある。
僕がマイケル・デヴィン(Whitesnake ベース)とブライアン・ティチー(元Whitesnake ドラム)と作った Steamroller ってジャムバンドも3ピースなんだ。このバンドはスケジュールが空いた時にやるお楽しみなんだよ。

3ピースっていうのはお互いが触発しあえる何かがあるんだ。ライブでの自由な空間は素晴らしいよ。1人がリードを取って、他はついていく。4人目が加わると、それは変わってしまうんだ。Revolution Saints はまだライブをやったことはないけど、僕はすごくライブがやりたい。恐らく、今後ライブをやることになると思う。

そうだね、3ピースのバンドはたくさんある。Winery Dogs に California Breed なんか。3は現在のマジック・ナンバーなんだ。

3ピースというのは、ギタリストにとって最も演奏の自由と柔軟性が得られる形態なのではないでしょうか。

僕は他のギタリストとプレイするのが好きなんだ。Whitesnakeに加入した当時は、ギタリスト2人という形態に慣れなくてはならなかったんだけど、でも数年レブとやってきてこの形態に慣れてくると、本当にレブとの仕事が好きになったんだ。

時にはギタリストが少ないほうが良い時もある。例えばレコーディングやライブなんかで。ジェフ・ベックやジミヘンの古いレコードを聞くととてもクールだ。誰がどんな演奏をしているのか全て聞き取れる。でも5~6人がステージに上がるともっと複雑になる、それだけのことさ。僕はレブとプレイしてきて本当に楽しかったよ。

Revolution Saints のデビュー・アルバムは来月発売で、素晴らしいレビューがあがってきています。このアルバムへのリスナーの反応に不安はありますか?

いや、このアルバムは苦労も無く、とても早く仕上がったんだ。デヴィッドとの作業でもいつも苦労はなかったけど、いつも作曲からレコーディングまではとても長いプロセスなんだ。Revolution Saints では基本的にプロデューサーのアレッサンドロ・デル・ヴェッチーノによって曲は集められ、選ばれていた。それをディーンがまた選び、僕らはそれらに何でも必要と思うタッチを加えて良かったし、OKが出れば、パートの書き直しや変更もできた。

製作はとても早く進んで、すぐにミキシングの段階だったから、そういうことを心配する間もなかったんだよ。僕なんかが知らない間に一部のメディアに音源がわたってて、とても良好なレビューが書かれてる。驚いたとまでは言わないけど、期待以上の良好な反応だったんだ。まあ、どうなるかは分からないよ。全ての人を喜ばせることはできないんだから。

今のようなネット時代では大手レコード会社所属の著名評論家がいるだけって訳じゃないから特に予測するのは難しい。でも同時に一番大切な評論はファンの声なんだ。基本的には自分の作りたいアルバムを作るだけ。僕にとって、Revolution Saints は一種のチャレンジなんだ。

僕のこれまでのキャリアはもっとブルージーでメタル寄りの音楽を演奏してきたから。このバンドでやることになった曲はメロディック・ロックだから、僕はこれをいいチャレンジと捕らえていて、願わくば僕のヘヴィな面を上手く曲とミックスできればと思ってる。これが僕の目標だよ。

レコーディングは全員集まって?それともパート別に?全員のスケジュールを調整するのは難しいだろうと思うのですが。

別々にやった。確か、ディーンが最初曲にOKを出して、全員がサンプルを受け取り確認した。で、ディーンがドラムを入れて、ジャックと僕はそれぞれ自分たちのスタジオでレコーディングした。一緒にコーラス撮りをしたのもあるけど、今の技術のおかげで出来たんだ。

僕は受け取ったトラックを聞いて、すごくインスパイアされたんだ。さほど時間もかからずに自分のレコーディングができたよ。特にリズム・トラックについては、あの2人のプレイからバイブを感じ取り、ほとんどが1テイクでレコーディングできてしまった。

とても新鮮な気分だよ。スタジオで何を弾こうかって考え込んだりはしなかった。すごく楽しくて新鮮な経験だったよ。ディーンのドラムは強力だし、ボーカルはとてもクールだ。僕ら3人のパーフェクトなブレンドができたんじゃないかな、3人とも楽しんでやったものが見事にまとまったんだ、良かったよ。

そこが重要ですよね、あなたが楽しんでやっているということ。

僕は恵まれている。僕はギターを弾くのもギター自体も大好きなんだ。収集するのも好きなのさ。実は、56年もののレス・ポール・ジュニアをeBayで買ったところで、届くのを待ってるんだ。僕は家族にも音楽にも恵まれて幸せだ。

今、ギターを何本持っているんですか?

まだまださ。もう十分ってことには永遠にならないんだ。今集めているところなんだ。「女は靴に入れあげて、男は車に熱中する」って言うだろ?僕は確かに車が大好きだけど、コレクションはしない。でもギターについては、止められないんだ!

夜中に起きてると、eBayや他のサイトを見て探してしまうんだ。で、何か気に入ると、時々自分では止められなくて、購入ボタンを押してしまう。そうしてカードの請求額が跳ね上がり、預金額は減って、新しいギターが手元に届くんだ。多分40本以上が今手元にあると思う。

ジョー・ボナマッサ(ギタリスト、ギターとアンプ類の大コレクションで有名)と比べて、「自分は大したことないさ」と考えることもできます。

僕はジョーの子供版みたいなものさ。彼は深刻な中毒者だよね、そこがジョーの大好きなところさ。だから僕らはお互いにツイッターでフォローしてるんだよ。彼をフォローしていて楽しいのは、彼は毎日何らかのギアを入手してるんだ。凄いよ。僕は子持ちだから、そのあたりは大人にならなきゃ。僕は息子にいつも「これは全部お前のものだよ、お前のために集めてるんだ」って言ってるんだ、いつか彼のものになるんだからね。

言ったとおり、Whitesnakeを去る決断は厳しかったし、バンドの皆が恋しいよ。僕は彼らを100%サポートしてるし、ニュー・アルバムは素晴らしいものになるだろう。プロジェクト初めの頃にデヴィッドと作業したのはとてもエキサイティングだった。でも決断しなければならない状況になって僕は家族を選んだ。

昨年はWhitesnakeを辞めて、息子とこれまでで一番長い時間をすごすことができた。今では息子と24時間一緒なんだ。彼は音楽が大好きだし、彼に音楽を聞かせるのが楽しくて仕方ないんだ。眺めてるだけで楽しいのさ!

息子を引き取った時、“Man on the silver mountain”を聞かせてみたら、すぐに頭を振りながら「うん、パパ、僕これ好き!」って感じだったんだ。彼は実際、ロニー(ジェームス・ディオ)に会ったことがあるんだけど、「この人のことお前は知ってるんだぞ」って教えてやるのはクールだよね。彼はまだ幼くて分からないけど、どういうことかやがて理解すると思う。