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エディ・ヴァン・ヘイレン 「修正を加えれば、もうそれは本当の生ライブ体験ではなくなっている」

先頃リリースされたVan Halen のライブ・アルバム "Tokyo Dome In Concert" を聞くと生々しいライブ・サウンドに2013年のライブを思い出し、「そうそう、この音だった!」と臨場感に感激します。(名古屋でのライブレポはこちら)数あるライブ地の中で日本を選んでくれたのが嬉しいじゃないですか!

このアルバムをリリースし、夏から全米ツアーに出る Van Halen のメディア露出が増加しましたが、極めつけは3/30に実現したTV出演(2007年にデイヴ・リー・ロスが再加入してから初めてだそう)。ハリウッド大通りを通行止めにしてのミニライブは冒頭でデイヴが鼻を負傷するというアクシデントがありましたが、やはり彼らの生演奏にはワクワクします!

先日、エディ・ヴァン・ヘイレンがGuitar World誌の独占インタビューに答えましたので、その一部を和訳してみました。ライブ・アルバムについて、スミソニアン博物館からの栄誉、家族について語っています。

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ヴァン・ヘイレンのキャリアの中で、今、ライブ・アルバムをリリースした動機を教えてください。

デイヴとのライブ・アルバムを作っていなかったってことに気付いたのさ。俺たちはウルフがベースをプレイしたスタジオ・アルバムを既にリリースしていたから、ウルフとデイヴのいる編成でライブ・アルバムを作るってことは当然だと思う。それからもう一つの理由は俺たちのクラシック曲のライブ盤を聞くっていう体験を皆にしてもらいたかったからさ。

東京ライブのみレコーディングしたのですか?他のライブは?

俺たちはデイヴがバンドに戻った2007年から全てのライブでプロ・ツールズを使って録音している。でもそれはライブ・レコードを出そうとしてじゃなくて、単にアーカイブ保存しようとしただけだ。

だから150ものライブ録音があって、ベストな1つを選ぶために聞き込むなんてとんでもなかった。だから、いくつかのジャム・プレイを聞く以外には聞くこともしなかったよ。俺たちは毎晩ほぼ同じセットを演奏をしてるんだ、若干の変更はあるけどね。バンドのクラシック曲をプレイしているんだ、皆が聞きたいのはそれだから。

俺とアレックス、ウルフの演奏は毎晩一貫して安定しているから、デイヴに選んでもらったんだ。そしたらデイヴが東京のを選んだのさ。シンガーにとってライブでのパフォーマンスは演奏よりもずっと大変だ。俺とウルフはバックコーラスを歌っているから、発声が毎晩どれだけ違うのかってことが分かってる。

声が自分の楽器である場合、多くの事に影響を受けてしまう。エアコンを付けて寝てしまったり、長いことバスに乗って移動すると、翌朝の声は最悪になる。それが俺たちがデイヴに選んでもらった大きな理由だ。

単にアーカイブされた音源から製作されたとすると、音質は極めて素晴らしいですね。

ボブ・クリアーマウンテンは東京ライブにいなかったし、俺たちには特別な録音エンジニアもいなかった。だから東京ライブにはビデオがないんだよ。なぜなら、俺たちは当初このライブのアルバムを出す予定はなかったから。ライブ・ビデオを作るってのは全く別の製作なんだよ。俺たちは計画もしてなかったし、その場で録音したってだけなんだ。

ボブのミキシングの仕事は素晴らしかった。俺とアレックスは基本楽器パートのトラックができたところで最初に聞いてみて、ゴーサインを出したんだ。ボブはミックスした音源を送り続けてくれたけど、俺たちの聞く限り楽器パートは良かったんだ。(笑)

もしライブビデオを撮っていたら、全てを完璧にしなくてはというプレッシャーをもっと感じていたのではないでしょうか。

もうそのプレッシャーは感じているよ。俺はステージに上がる度に出来る限り最高のパフォーマンスを皆に届けたいと思っている。俺たちが毎晩録音をしているからといって、それが日々のパフォーマンスを変えることはない。

録画していたらもっとずっと時間がかかっていただろう。だって、全部の映像をチェックしてどれを使うか決めなくちゃいけない。俺たちが今回の録音について何も計画していなかったってことが、特別なことになったのさ。

俺たちが今回の録音を完全なる生ライブにこだわった理由もそこにある。ミスはある。ミックスされた音源をいくつか聞いて俺は「ああ、しくじったな」って思った。(笑)でもあの夜はそういう音がしていたんだ。だから俺たちはそのままにしたんだ。あの夜の撮影写真みたいなものさ、俺たちはフォトショップで加工はしなかったんだよ。何もしなかった。もし部分的に調整したり修正を加えれば、もうそれは本当の生ライブ体験ではなくなっているんだ。

俺はアンディ・ジョーンズ(プロデューサー)からCreamの "Wheels of Fire" が複数のライブ音源から作られてるって聞いて、もの凄くがっかりしたんだ!俺はあれが1晩のパフォーマンスだと思ったんだけど違ったんだ。本当の意味で生のライブ・アルバムを出した人がいるのか俺は知らないな。

東京ライブは2012年のツアーと07~08年のツアーのコンビネーションみたいですね、あまり演奏しない曲、"I'm The One" が入っていたり。

東京ライブは俺たちの最長ライブの類なんだ。オープニング・アクトがないからさ。2時間半くらいある。

東京ライブについて何を思い出しますか?

とにかく長かったこと!(笑)最後にはもうクタクタになった。日本のファンはとんでもなく元気なんだ、特に今では彼らも立ってライブを見ることができるからね。以前の座って見るよう強要されていた時はとても抑制されていたけれど、今じゃモッシュ・ピットみたいにクレイジーさ。俺たちはビッグ・エッグっていう野球スタジアムの東京ドームでプレイしたんだけど、5万人以上の人が詰め掛けて、凄くラウドだったのさ。

レコードでウルフのフィル・インをしっかり聞くととてもクールです。こういうディテールはライブでは見逃されがちですから。

バンドのクラシック曲ではウルフは自分のスタイルで味付けするんだ。"Mean Street" のブレイクで彼が入れるリックには度肝を抜かれることがある。エキサイティングだよ。

"You Really Got Me" では2012年に私が見た時よりも長くて異なった即興のパートがあっていいですね。

このちょっとしたジャム・セクションだけが毎晩違うんだ。"Crossroads" だったりもするし、とにかくその晩の気分で道をそれるんだ。他のライブのほうが良いジャムをしていたかも知れないけれど、あの晩はあれを演奏したんだ。

"And the Cradle Will Rock" の終わりでは "Smoke On The Water" のリフをプレイしてますよね。

あの曲をどう終わらせるかは毎回考えなくちゃならないんだ。俺たちは日本にいたから、"Smoke On The Water" にした。Deep Purple の "Made In Japan" アルバムはあの曲を有名にしただろう?だから俺たちはあそこであの曲をプレイしたら楽しいだろうって思ったのさ。

スミソニアン国立博物館アメリカ史において発明家そして音楽革新者として功績を称えられる(2015年2月)というのはどんな感じでしたか?(参考動画はこちら

本当に驚きだった。俺にとってはグラミーや他の音楽業界の賞よりもはるかに上の栄誉だ。スミソニアンアメリカ音楽とポップ・カルチャーへの俺の貢献を認められるなんて、考え付くどんな賞よりも大きなことで大変な栄誉だ。正に最高の栄誉だよ。

あのイベントで、私の印象に残ったのは、あなたの家族があなたの音楽とモチベーションにおいていかに重要だったかという話です。

俺たち4人、父と母とアレックスと俺はとても絆の強い家族だった。移民として新しい国に来たら、言葉も分からない、金もないんだ。だからしっかりと団結したチームにならなくてはやっていけない。母が主導権を握って、金銭面をみてたんだ。俺たちは全員働いた。給料は全部母に渡して、後は母がやりくりしてた。だから俺たちは団結してた。俺たちは働いて週の支払いをこなしていくしかなかったんだ。

ウルフが俺と父の道を継いでミュージシャンになったことについて、自分の気持ちをどう表したらいいか分からないんだ。ウルフはヴァン・ヘイレンの3世代目だ。息子とプレイするのはどんな気持ちかって皆に聞かれるけれど、俺に言えるのは最高の気分だってことだよ。

ツアー後の長期的な計画はありますか?

流れに任せるだけさ。皆が賛成だったら、是非次のスタジオ・アルバムをやりたいね。このツアーが終われば、ウルフは彼のバンドのアルバムを完成させるだろう。後は様子を見るさ。俺たちはあまり先のことは計画しない。そうやってこのライブ・アルバムは出来たんだ。あまり先の計画を立てないのがいいのさ。