6月9日、故レス・ポールの100歳の誕生日を記念して、レス・ポール財団が1年間に及ぶ記念事業を開始しました。
その開始イベントとして、NYのタイムズ・スクエアにあるハード・ロック・カフェでのオール・スターによるライブが行われました。そのジャムの模様は下の動画のとおり。
今回のライブに参加したジョー・サトリアーニがギブソンによるインタビューでレス・ポール氏との思い出を語っていましたので、和訳してみました。
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あなたが初めてレス・ポールさんと接点をもったのは80年代終わりか90年代初めに電話で行ったロング・インタビューでしたよね、どうでしたか?
僕はナーバスになってた。インタビューは「これは彼のアンソロジーに収められる予定です。彼の時間は2時間押さえてあります」ってことで僕のところに持ち込まれたんだ。「どうしよう、電話で2時間も話すなんて、多分12歳以来のことじゃないか?」(笑)って思って、たっぷりリサーチをしたんだ。聞くべきことを質問して、彼の謎の部分を解き明かそうとした。
でも僕は彼がとんでもなく面白い人だってことは知らなかったんだ。彼は頭が良くて、ユーモアにあふれた人。愉快で、心の温かい人なんだ。おかげで素晴らしいインタビューになった。
その時のことで特別に印象深いことは何かありましたか?
ああ。インタビューの最後で彼があの親しげな声でこう言ったんだ。「よし、ジョーイ、君に言っておこう。君のインタビューはとても良かったよ。君は音楽界でのキャリアを考えるべきだ」
僕の頭に最初に浮かんだのは「なんてことだ!彼は僕がギター・プレイヤーだってことを知らないんだ!」だったんだけど、直ぐ後で彼が僕をからかってるのが分かったんだ。それ以降、彼にはいつもからかわれたよ。
彼のユーモアのセンスが一番の驚きでしたか?
ああ。彼は強力かつ真摯に取り組んだ革新者で、素晴らしい創造者だった。その一方で根っからのパフォーマーでもあって、うろたえることを知らないんだ。それでいて、彼は寛大で心の優しい人で、ファンとも良く接していて、他のミュージシャンともそうだった。
彼と一緒にプレイしたのはいつが最初でしたか?
数年前にNYのIridium(というjazzライブハウス)で。僕が彼と接点を持ったのは多分全部で3~4回なんだ。彼の90歳の誕生日にカーネギー・ホールで彼とプレイした。あと、その翌年にLAでも彼の誕生日イベントでプレイしたんだけど、彼は肺炎で参加できなかったんだ。
彼があなたのギターのアームをからかったという話がありますね。
それがIridiumの時さ(笑)彼はとてもくつろいだ気分にさせてくれたんだけど、僕はステージに立ったときまだ緊張していたんだ。「ワォ!レスと同じステージに立ってる!」
そしたら彼が「それで、ジョー、それは何だい?とてもしゃれてるじゃないか?」 ってギター・アームを指して言うから、僕は熱心に特徴を説明して終には、「見てください、これでこんなことが出来るんです」ってアームでノイズを出したんだ。
そしたら彼ときたら「うわ、こいつはヒドい」って。僕は笑い過ぎて目が潤んじゃったよ。そこから先は何をプレイしたかも覚えてないんだ。
彼はそうやってジョークを飛ばしてから、何かアドバイスしたりするのですか?
いいや。彼はいつも僕のプレイが大好きだと言ってくれた。人を褒めるのが上手いんだ。それで僕はこれまで自分がやってきた様々なクレージーなことが全部良かったんだって思えた。自分の仕事に誇りを持てたんだ。そう理解できるよう彼が導いてくれた。そういうところが素晴らしいんだ。