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アンディ・ティモンズ vol.2 「ミュージシャンにとって最も重要な武器は耳だ」

11/18から21日までの来日公演が決まっているアンディ・ティモンズのインタビュー続きです。止まらないアンディのギタートークサウンドの探求や Danger Danger オリジナルメンバーリユニオンのライブに向けて自分のギターパートを練習した話など興味深い話が沢山。概要を和訳しました。(元インタビュー記事はこちら

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次に起こるギターの革新は何でどんなことができるでしょうか?

確かだと思うのは表現力の進化で(リスナーの感情と)より深いつながりが出来ることだと思う。ジェフ・ベックの凄いところはそこさ、彼は60代後半だけど、常に進化している。彼は同じアルバムを繰り返したりしない。彼はとんでもなく素晴らしいアルバムを出したと思ったら、簡単に次のアルバムを作ってファンの欲求を満たしてしまうけど、そのアルバムは前のものとは全く違うんだ。彼は常に進化していて変化している。

僕は音楽に関してはこれまでにないくらい幸せだよ、なぜって僕は学生の気持ちに戻ったからさ。カレッジ時代の僕は週に3~4回はギグをやってた。マイアミ大にいた頃は週に6晩はギグをやってた、学校では一日中さ。そしてそれのどれでもない時には友達とジャムしてアイデアを交換してた。

人生が進むと、忙しくなって自分のキャリアにおいて音楽が全てではなくなる。いろいろなことを考えなくちゃいけなくなる。でも僕はある時、以前の自分に戻ることができたのさ。毎朝一番にギター練習をして一日を気持ちよく始められる。そうすることで僕は自分の才能を認め、ほんの数週間前にはできなかったことがこの楽器で出来るようになっていることを感じるんだ。

思うのだけど、ジェフ・ベックパット・メセニー、それに多くの歴史的ミュージシャンは楽器に関して掛け金を出来る限り上げてきたんだ。そして僕はさっき言ったようにまだまだ表面を引っ掻いているようなものだ。僕が頭の中で聞いている音楽、そして僕が現在楽器でできることというのは密接に繋がっていて、時には「ああ、僕は本当にまだまだだな」と思うことがある。

でもそれこそが果実なんだ。それが僕のエネルギーとなって、もっと上達したい、し続けたいと思うんだ。それを実現することが現在の僕にとって人生の幸せの核になることだ。成長し続けること、学び続けること、上達するために努力することさ。

即興というのは座って何かを何度も練習して完璧にできるまでやるということよりも重要でしょうか?

そのどちらも有用で大切だと思うよ。長年ジャズを演奏してきて、そこには即興でなくてはならなくて、毎回異なる感覚というのがあるんだ。でも僕の中の作曲家の部分ではそれと相反するんだ。

だから僕は何度も練習して完璧な感情表現ができるようにしたいのさ。僕が心地よくそうできるところに到達するには何年もかかった。"Resolution" は僕にとって100%作曲した最初のアルバムなんだ、ソロについてはスタジオセッションで即興で弾いたものもあるけれど。

でも僕は最終的にはそれらを全て捨てて、自分のプレイの気に入っているところを覚えて、その部分を作曲したんだ。だからあのアルバムを聞くと、全ての音は僕が聞きたかったとおりに完成している。

新鮮な臨場感については失ったものがあるかも知れないが、ニューアルバムはその一種のコンビネーションでもあるんだ。きっちりと作曲した曲もあるし、即興でやった新鮮さのある曲もある。皆の反応を待つとしよう。

あなたが探求している音を出すために、ギター以外では一番重要な機器は何でしょうか?

何か1つと言っても分からないな、サウンドに影響をもたらすものはあまりに沢山あって、それが繋がっているのだから。ギターのフレットの上で動く指が明らかに最も重要さ。それから何にせよ繋げているエフェクターなんかだよね。でも言わせてもらうなら、そういう機器ではなくてこの耳がサウンドを形作る上で重要なんだ。

僕は理想のサウンドを頭の中で想像するかマイクからのディレクションを聞く必要があるんだ。自分がどんなサウンドに仕上げたいかということなんだ。そうでなければそんなこと達成できないよ。ゴールがあって、そのためのディレクションがあってやっと達成できることさ。

ミュージシャンにとって最も重要な武器は耳だとアドバイスする必要があるね。ギターや指の前に、何を聞きたいのかという意図、どういうサウンドにすべきなのか、自分の楽器からどんな音を出したいのか、それは機器によって決められてはいけないのさ。それを自分でコントロールするには何年もかかるんだ。

あなたはギターを弾き始めたときからそれができましたか?

とんでもないよ。パフォーマンスと勢い、自分がプレイしている音、それが全てだった。(自分の理想とするサウンドは)何年も経験を積んでただ適応していくことで得られるのだと思う。プレイすればするほど、自分独自のサウンドを発展させることができるんだ。

その要素は楽器演奏に注ぎ込んだ時間であり、もう1つは耳の訓練で、好きなギタープレイヤー、あらゆるギターサウンド、曲でもなんでもいい、自分の音楽感覚に取り込むことだ。そういったもの全てが蓄積され、自分の考えやサウンドの嗜好の方向性を形作る一助になるんだ。

例えばそれがスティーヴィ・レイ・ボーンやジミ・ヘンドリクスのコピーであったとしてもね。でも僕のゴールとしては、僕は彼らが大好きだけど、彼らと同じ音に聞こえるのは嫌なんだ。僕は彼らから学びたいんだ、彼らには常に最高位の敬意を払っているけれど、僕は自分のプレイをもっとユニークなものにしたいんだ。

ジェフ・ベックパット・メセニーウェス・モンゴメリー、サトリアーニ、ヴァイ、エリック・ジョンソンら全ての僕のギターヒーローらのプレイを学び、それらを全て統合して僕自身の考える最高のギターサウンドやパフォーマンスを創り上げたいんだ。

あなたの Danger Danger 時代のプレイについては今のあなたのプレイと比べてどうですか?若く未成熟だったのでしょうか?

いやいや、あれを創るには良い時だったと思うんだ。残念ながら多くの音楽は未成熟なんだよ。多くの素晴らしい音楽があって、僕はずっとそれらにオープンだった。あれは当時の音楽であり、その頃の心理が反映されている。

僕らは数年前に数回のリユニオン ショウをやったんだ。僕は実現するとは思っていなかったのだけど、本当に実現してとても楽しかった。でもあれは本当に興味深かったよ、僕は25年前の自分を訪ねなくちゃいけなかった。難しかったよ、だって僕のプレイは当時から随分と進化していているだろうから、25年後って僕の人生の半分だからね。

自分がどうプレイしていたのかを思い出すのが大変だったけど、楽しくもあったんだ。時には真剣に覚え直さなくちゃいけないところもあった。直ぐに思い出したものもあったけど、中には自分のプレイを確認するために採譜する機器を使って覚え直した曲もあるんだ。

あなたの楽曲の中でライブ演奏するのが一番難しい曲は何ですか?またその理由は?

ビートルズジョージ・ハリスンの曲 "Within You, Without You" での僕のアレンジだろうね。彼のボーカルの抑揚とオーケストラとシタールの音を再現するのは技術的にとんでもなく難しいんだ。でもそこが楽しいのだけどね。

初めて会ったロックスターは誰ですか?

カウント・ベイシーとフレディ・グリーンだよ。ああ、正確にはロックスターじゃないけど、ジャズアイコンとしてとてつもなく影響力のある人だ。僕はまだ彼らのサインを持っているよ、僕が初めてもらったサインなんだ。

僕のヒーロー達に幸運にも会えたときには個人的にLPレコードのジャケットにサインをもらっていて、そのコレクションはかなり凄いんだ。リンゴ・スター、ブライアン・ウイルソン他、僕のヒーローほとんど全員さ。まだ会えていない唯一の人がポール・マッカートニーなんだ、いつか会えますように!

あなたにとって、「ここにいるなんて信じられない」という最初の瞬間はどんな時でした?

1990年に Danger Danger でKISSのオープニングアクトで一緒にツアーした時だね。KISSは僕が初めて行ったコンサートなんだ。13歳だったから、1976年で、"Destroyer" がちょうどリリースされた時だ。

あの日に僕は自分の人生は音楽に捧げるんだと確信したのだから、それから14年経ってその子供の頃のヒーロー達とプレイして旅する気分がどんなか分かるだろう?ジーン・シモンズとポール・スタンレーは僕らにとても良くしてくれた。僕らは彼らから多くの事を学んだよ。