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ジョエル・ホークストラ Joel Hoekstra's 13 "Dying To Live" アルバム リリース!

Whitesnakeは今月来日しますが、9/30にはジョエル・ホークストラのロック・プロジェクト、Joel Hoekstra's 13 から アルバム"Dying To Live" 日本盤が世界先行リリースされました。(ワールド・リリースは10/16)

ヘヴィ~メロディック・ロックの多彩な楽曲がラッセル・アレンとジェフ・スコット・ソートのロック界を代表する実力派シンガーに命を吹き込まれており、クオリティの高いアルバムとなっています。

自分が影響を受けたロックを表現した

このアルバムの特徴はメロディック・ロックといいつつも、かなりヘヴィなものから、ライトなものまで、幅が広いということではないかと思います。彼自身、ロックを聞いて育つ中で、Black SabbathDIO を好きになり、やがて Journey や Foreigner も好きになっていったからです。

「同じような曲をアルバムに入れることはしたくなかった」という彼の狙いはそのとおりヘヴィ~ライトな曲の幅広さに反映されています。それでも、アルバム全体としての楽曲に違和感無くまとまっているところはグレートな仕上がり。

ちなみに、ダウンロード版のボーナス・トラック "Kill Or Be Killed" はヘヴィ過ぎる、日本版の "Never Want" はブルースがベースで他の曲と少し違うとのレコード会社の判断でボーナス・トラックになったようです。でも私は"Never Want"もなかなかに気に入っています。

2大シンガーの起用

ヘヴィ~メロディックな楽曲は2人のシンガーのおかげで聴き応えたっぷり。特にラッセルが歌う曲ではジェフがバック・コーラスを務めており、この2人の声を同時に聴くのは鳥肌ものの感激です。この顔合わせ自体エピックな出来事では?ジェフとジョエルがかなり親しいゆえに実現した、ジェフのバック・コーラス参加だと思います。
(Joel Hoekstra's 13とジェフについてのジョエルのコメントはこちらの記事で)

意外に弾いている・・・

曲を重視し、バンド・サウンドを心がけ、ソロを弾きまくったりはしていないというジョエルのコメントがあったので、弾きまくるギターには期待していなかったのですが、ジョエルけっこう弾いています。ハードなリフも8フィンガーもメロディックなリードもあって、ギタープレイも楽しめるアルバムです。彼の得意なアコースティックで1曲通して弾く曲はなかった代わりに曲の一部で効果的に使われていました。

個人的なプロジェクト

ロック・スターたちのプロジェクト・バンドが次々と生まれている昨今ですが、Joel Hoekstra's 13 はスーパー・バンドではなく個人的なプロジェクトがたまたまこういう形になったとジョエルは強調しています。

例えばレーベルが主体となって生み出されるバンド・プロジェクトは、最初から予算があり、プロデューサーがいて、作曲家がいて、と環境が整っていますが、ジョエルは当初全部1人でやったのです。

Joel Hoekstra's 13 はVHFというプログレッシブ・ロックのインスト プロジェクトでトニー・フランクリンと出会ったことが起点になります。ちなみにVHFはユニークなサイケデリックプログレッシブ・ロックでジョエルの作曲センスと演奏テクニックをチェックするのに相当オススメです。

トニーからドラマーのヴィニー・アピスを紹介され、バンドが固まり、シンガーにはTSOで共演したラッセル・アレンを迎えます。ラッセルとは最初、一緒に曲作りを始めたようですが、彼が忙し過ぎたため、ジョエルは全曲を自分で書くことに決めたそうです。(アルバム中、"Changes" だけがラッセルとの共作なのはそのため)

初めてのレコード契約

当初7曲をレコーディングしたジョエルは2014年秋頃からレコード・レーベルとの契約を模索していました。Night Ranger も Whitesnake も フロンティアと契約していましたし、彼らはメロディック・ロック作品を数多くリリースしていたことから、ジョエルは彼らに絞って話を持ち込みました。もし断られたら、7曲でEPを作ってセルフ・リリースするつもりだったそうです。何しろ彼はこれまでにレコード契約など結んだことがなかったのですから!

めでたくフルアルバムの契約をフロンティアと結んだため、ジョエルは2014年終盤ごろから追加6曲の作曲にかかります。それらはジェフに歌ってもらうことに決めていたそうです。TSOツアー、Whitesnakeのツアー準備の合間にレコーディングを終え、今年6月にはアルバムのプレスリリース、それからツアーの合間に手直しやプロモーションを行い、遂に発売まで漕ぎつけたのです。

アルバム・タイトルの "Dying To Live" についてジョエルはこう語っています。

「ダイイング・トゥ・リブ」というのは、自分がなりたいもののために、できることは何でもするっていうことだよ。

これって即ち、ジョエルのミュージシャン人生そのものを表している気がします。このアルバムのジョエルのコメント(EPK和訳)やインタビュー動画(日本語字幕付き)はこちらの記事でどうぞ。

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Joel Hoekstra's 13 のプロモーションで大量のインタビューが公開されていますが、いかにもジョエルらしいコメントがありましたので一部を和訳してみました。

多分、僕は子供の頃から控えめに育って、大志を抱くなんてことはなかった。自分にあまり自信がなかったんだ。自分で「これはできるぞ!」なんてことは思わなかった。

ショウビジネスの世界では「適時に適所にいること」っていう言葉のとおり、運を強調する風潮があるけど、僕は運だけじゃなくて、その運につながるチャンスを自分の努力で増やすことはできると思うんだ。

そのいい例が、ブロードウェイのミュージカルでの演奏の仕事だ。オーケストラ・ピットで演奏してた友人の代役を頼まれた。(ミュージカル、ターザンのことと思われます。彼のキャリアについて詳細はこちらの記事をどうぞ)それは大変な仕事なのに報酬は本当に少なくて、僕がその演奏準備につぎ込んだ時間からすれば、最低賃金に満たないものだった。

それでも僕は自分を駆り立てて、懸命に働いた結果、その仕事は僕にチャンスをもたらしてくれた。そこのキーボード・プレイヤーが Rock Of Ages のミュージック・ディレクターだったからだ。

僕が乗り越えなくちゃならなかった障害、自分に自信がなかったってことについては、Rock Of Ages の成功にもよるけど、物事が上手く行き始めたんだ。車のキーをもらって、あとは運転の仕方を学べばいいようなものだった。

僕は常に自分に問いかけてているんだ。常に精一杯働いているか、全てのパフォーマンスに自分の最高レベルのプレイをしているか。ファンは苦労して働いて得たお金でチケットを買って見に来てくれるんだってことを常に忘れちゃいけない。僕はこの仕事ができて信じられないほど幸運だよ。

 

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