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ビリー・シーン The Winery Dogs ニューアルバムのファンク要素

ビリー・シーンが The Winery Dogs のニューアルバム "Hot Streak" の発売にあわせ、メディアのインタビューに答えました。なかなか興味深いことを話していましたので、一部を要約して和訳してみました。

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"Hot Streak" が今年のベスト・アルバムと言うには少し早いでしょうか?

嬉しいね。俺たちは1年半ほどツアーして100以上のショウをやってきたから、それがポジティブに働いていると思うよ。

アルバムに収録されたよりも多くの曲ができているのですか?

何も残ってないんじゃないかな。2曲くらい未完成のものがあったかも知れないが、完成した曲は全てアルバムに収録されてる。日本用のボーナス・トラックがあるくらいだよ。なぜそれをやるのかって言うと、日本のレーベルが安い輸入盤に潰されないようにするためさ。どのバンドでもあることだけど、その国のレコード会社がその地域用にボーナス・トラックをつけてスペシャルなアルバムにして、安い輸入品に対抗してるんだ。

「日本のためにはそういうのやるのに、俺たち(米国)のためにはやらないじゃないか!」ってよく言われるんだけど、俺は日本のレーベルを助けたいんだ。彼らは本当に俺たちのために良くしてくれた。俺たちが日本にツアーで行くと、彼らは随分経費を負担してくれてる。だから俺は彼らが売上で成功するのを見ると嬉しいんだ。今のところそれも上手くいってるから俺たちはとても嬉しいよ。

ニューアルバムを聴いて、明らかにファンクの要素があることに気付きました。普通のロックバンドとは違うところはそこだと思います。あなたのファンクのルーツはどこからきているのでしょう?

その質問は初めてだ。いつも同じ質問ばかり受けるから、この質問はとても嬉しいよ。

俺は素晴らしく幸運なことにデニス・チャンバースってドラマーと長い間プレイしてきたんだ。彼は P-FunkParliament Funkadelic なんかで何年もプレイしていて、スティーリー・ダンの伝説的なライブ・アルバムでも、ジョン・マクラフリンともプレイしている。彼はついこの間6年間やってきたサンタナの仕事を終えたところで、これはちょっと彼にしては商業的な仕事だったけど。彼はたいていもっと第一級のジャズやファンクのプレイヤーと仕事しているからね。

この年月を振り返ると、デニスが俺に新しい刺激を与えてくれたんだ。俺はずっと白人のロックバンドでプレイしていて、俺たちレベルでのファンクのテイストはあるんだけど、実際のファンクは全く違うものなんだ。

ファンクには他のラテンやフラメンコ音楽みたいに民族性が少々あるんじゃないかと思うんだ。デニスのような人とプレイして実際に本物のファンクに触れたことは俺にとって大きな収穫だったよ。自分の快適なゾーンから飛び出して、新しいことを学ぶことによって、ロックに戻ってきたときによりロックという音楽への理解が高まり、自分の表現の引出しが増えるんだ。

"Hot Streak" には確かに、ファンクぽさがあるね。あの曲は俺のベースラインからできたもので、元はスタンリー・クラークからいただいたんだ。彼はジャズで有名なベース奏者だけど、いろいろなものをプレイしているんだ。俺が弾いたのは彼が弾いたテーマのバリエーションだったんだけど、マイクがビートを叩き出して、リッチーがそれに合わせてプレイしたんだ。

面白いよな、リッチーは何年か前にスタンリー・クラークとプレイしている。皆はリッチーが Poison でプレイしたってことばかり言うけど、リッチーはアラン・ホールズワースに代わって、スタンリー・クラークレニー・ホワイトとプレイしたんだぜ。彼がこういう違うジャンルの音楽を演ったってことはもっとクレジットされるべきだと俺は思うね。

なぜなら、リッチーはスタンリーとプレイしたことで強い影響を受けているからさ。俺はスタンリーとプレイする前と後のリッチーを知っているけど、スタンリーとの共演後のリッチーのプレイは以前と変わったんだ。良い方にね、素晴らしいことさ!(リッチーとスタンリー・クラークのエピソードはこちら

あなたはテクニカルなギタープレイヤー、リッチーやポール・ギルバートやスティーブ・ヴァイとプレイしています。彼らのプレイの中で弾くのは難しくないですか?

俺の第一の仕事はドラマーと同期するってことさ。人は表の部分しか見ないけれど、音楽の骨組みで重要なのはドラムとベースだ。俺たちが完璧だと、ギタープレイヤーがソロを弾いてるときにその下で俺が自由にメロディックに動けるんだ。

ロックとポップ音楽では低音はドラムと同期して、きっちりとビートを固めることが基本だから、ドラムに対して程には俺はギターには集中していないんだ。でも時には俺とギターで一緒にプレイする時がある。ギターがふっと下がって、ベースとドラムが聞こえる時がくる。ベースが前に出て違うところに聴衆を連れて行き、やがて戻ってくるんだ。まるで映画で監督がクローズ・ショットを使ってからカメラが戻り、次には会話やカーチェイスが始まるみたいさ。

音楽の2大要素はタイムとメロディだろ?だから、ドラムだけがプレイしていると、クールなビートだなってなってもキーは分からない。でもベースが入ることでキーが分かる。これでボーカルとギターが入ることができる。俺は曲のサポートにまわるのが好きなのさ、でも時には前に出てクレイジーなことをやるのもいい。

今回のアルバムで一番弾くのが大変な曲はどれですか?

"How Long" だね。このインタビューが終わったら、数時間練習して自分の手があの曲をライブで弾ける準備ができてるか確かめなくちゃいけない。あれは難しいのさ。俺はいつでも大量の音数をあちこちで弾いてるんじゃなくて、多くの小さな連続した音を1つのモノのように弾いてるのさ。

前回のツアーでは "You Saved Me" が大変な曲だった。俺は2つのことを同時にやって、しかもずっとそれを間違いなく演奏しなくちゃいけなかった。失敗したら、観客全員が俺を見ただろうな。それくらい間違ったらはっきり分かってしまうところだから。ありがたいことに、俺は一度もミスらなかった。

だって毎回「よし、来たぞ。なんとかこれをやりきって、失敗するな」って自分に言い聞かせてやってたからな。心配ではあったけど、なんとか乗り切ったよ。

プロのミュージシャンとして一番重要だと学んだことは何でしょうか?

俺の演奏を見に来てくれる人たちと自分の間に壁を作るのは良くないってことさ。彼らと親しくしていることで、常に彼らの反応が分かるから、必要な時には方向性の修正もできる。俺は彼らをファンじゃなくて友達として考えるようにしているんだ。大勢のファンの前に出て行くって思うより、大勢の友達に会うんだって思ったほうがずっと楽しめるだろう?結果的には世界中に友人ができて、会話することで皆の反応が分かるし、それ以外にもいい事が沢山ある。