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スティーブ・ヴァイ 「ギターを演奏することは私にとってとても難しいんだ」

スティーブ・ヴァイがブラジルでのマスター・クラスの際にインタビューに応えました。これは今年の6月に行われた Alien Guitar Secrets Master Class のツアー中に撮影されたインタビューです。今回もありがたいお話が聞けましたので、その一部を要約して和訳してみました。

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あなたのライブDVD、"Stillness In Motion" が発売されて成功していますね、いかがですか?

前回のツアーは2年かけて52ヶ国を廻り、253回のショウを行った素晴らしいものだった。毎回ファンのために何か作ろうとするんだが、毎回同じことをするのはイヤでね、それで今回はボーナス映像として3時間40分の "The Space Between The Notes" を付けたんだ。全都市で撮影した映像が収められている。

これを見ると我々がどれほどツアーを楽しんでいるかが分かるよ。その都市を訪れた興奮が伝わってくるだろう。これは感謝の気持ちを表した映像だ。ぜひ見て欲しい。

あなたは高い技術の演奏で知られていますが、あなたが演奏を習得していく過程で技術面と音楽面のどちらを優先したのでしょうか?

おそらくどちらにも気を配っていたと思う。私には当初技術面のことよりも音楽面について知識があった。なぜなら、私はそれが何なのかを理解するよりも前から音楽が好きだったからね。音楽においての技術面というのは2つある。1つは音楽理論などの学問的側面を理解するということ。

この理解には2つのアプローチ方法がある。つまり、ある音の名前は知らないけれど、それが何かは分かったので、私はギターの練習を始めるよりも前に音楽を学び始めたんだ。私は実際にギターを演奏する前から作曲していたんだ。もうひとつは、音楽を自分がどう感じるかということだ。

それから私は長いことかけてそれこそ集中して技術面を習得していった。私は楽器演奏に関しては天賦の才があった訳ではないんだよ。ギターを演奏することは私にとってとても難しいんだ。私には音楽的才能として備わったものはあったけれど、演奏の才能は違ったんだよ。

(マスター・クラスで教えていると)生徒の中には事も無げに高度な演奏ができる子がいて驚かされる。私はこう思っているんだ。誰でも私と同じくらいの時間をつぎ込んでギターの練習をすれば私と同様またはそれ以上の演奏技術を習得することができるだろう。

しかし、それだけでは優れたミュージシャンにはなれないんだ。もちろん演奏力は必要で、私はあらゆる演奏を軽々とこなしたいからね。高い演奏力を身に付けることで、より優れた音楽性を創造できる、と私は思っているのだよ。

でもそれは1つのケースであって、人によって違う。例えば技術面が高くない演奏者であっても、彼の音楽にそれが必要十分であればそれでかまわないんだ。コードを弾くことでも十分ということもある。

一方で、高い技術を持った演奏者であっても、音楽的要素には関心がないというケースもある。テクニカルな演奏をすることだけが好きで、そもそも作曲さえしないという人もいる。彼らは他人の曲を演奏するので十分なんだ。主にクラシック演奏者に見られるね。

音楽性というのは一般的な水準があって、何かが上というものではないんだ。皆に分かってもらいたいことはそこなんだよ。何が自分にとって重要なのか、自分が何を選択するのかということなんだよ。

高い技術面を求めるのではなくて、音楽性を重視するのか。それを選択するのなら、それでいい。別の選択をするのであってもそれでいいんだ。しかし、他人のそれを批判するということは幻想の中にいるということさ。それは自分が何が好きなのかも分からないということだからね。

あなたのキャリアの中で最高の瞬間を1つ選ぶとしたら何でしょう?

はは、皆がその質問をするんだけど、決められないよ。

私にとって最も重要だった瞬間は、自分は他人のしていることを気にしなくてもいいと気が付いた時だ。自分にとってこれがいいということ、それで十分なんだ。それこそ私が発見すべき最重要のことなんだ。

つまり、グラミー授賞式で演奏することは素晴らしいかもしれないが、それは私に重大な影響を与えることではない。著名なミュージシャンと共演したり、大観衆の前で演奏することは素晴らしく、光栄なことだが、やはりそれ以上ではないんだ。内なる自分自身と繋がって、真の自分自身を解き放つ自由を手に入れること、それこそが重要なんだ。