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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 「レミー、あなたは類い稀な人だ。心から感謝している」

昨年末から音楽界の巨星が次々と亡くなっています。今週もEaglesグレン・フライさんの死去が伝えられたばかり。デヴィッド・ボウイさんの訃報からもまだ日が経っていません…

昨年末、Motorheadレミー・キルミスターさんの死去はHR/HM界のアーティストに大きなショックを与え、多くの方が追悼の言葉を述べていました。

レミーのアルバムに参加したり、最後の誕生日パーティにも参加していたスティーブ・ヴァイFBで年末に長文のコメントを公表していましたので、和訳しました。

それにしても、ヴァイ先生の文章って本当にインテリ度高い…

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レミーはユニークという言葉の最上級の意味の人だった。皆が彼を好いていた。彼は我々が愛して止まないロックンロールの中心人物だった。

以前私がレインボー(LAの有名なバー)で彼に出くわした時に、「いつになったらMotorhead のアルバムで私にギターソロを弾いてくれって言ってくれるんだい?」というと、彼は「じゃぁ、水曜の昼に君の家に行くよ」と応えた。

ギターソロの録音はほんの数時間で終わったが、私たち2人はその後、座り込んで10時間以上も話したよ。

彼は大量の酒を随分な速さで飲んでいたけれど、酔うこともなく、機知あふれる物言いも変わらなかった。彼は常に鋭く、注意深く、常にその場に存在していた。私には不思議だった。

私がレコーディングしたのは "Inferno" で、数日後、レミーは文字を彫ったライターを私に送ってくれた。なんてクールなんだ。

彼の話は魅力的で、私は彼がいかに優れた人物なのかが分かった。なぜ皆が彼を愛し、尊敬しているのかがよく理解できた。

レミーは彼自身の繰り出すドラムビートで突き進む人だった。自分自身とその音楽に対する自信は強力で、恐らくこの業界で私の知る最も正直な人間だ。なぜなら、彼は表裏のない自分自身そのものであるがゆえに、他人に対しても彼らが自分自身であることを許し、そのことで何人をも批判することがなかった。

レミーは物事を真正直に口にする人だった。だから愚か者に対しては容赦なくはっきりと冷静に言葉の鞭を浴びせるけれど、鞭に値するモラルを持つ者に対しては、信じられないほど温かく、思いやりがあり、寛大でサポートしてくれる。

彼に話していると、彼はじっと注意深く聞いてくれる。これは相手に対する最高の思いやりだ。我々が彼を愛してやまないのは、彼と同様に、我々が独り立ちし、仕事に没頭するように彼がインスパイアしてくれたからだ。彼がそれを成し遂げたのは、驚くほどの強固で角のない、地に足の着いた自信、心の温かさ、機知ゆえだった。

彼が力の限りプレイしていたのは言うまでもない。厳しく速くいい訳の効かないロックの伝統の中で、彼の外見も声もベースも、彼独特のものだった。彼は完璧なパフォーマーであり、正真正銘の本物だった。彼がマイクを上から吊るしていたやり方でさえ、後世に伝えられるだろう。彼は唯一無二の存在だった。

私は彼とオジーとで オジーのアルバム "Ozzmosis" の中の "My Little Man" を書いた。レミーが歌詞を書いたんだ。この歌の歌詞をよく聞けば、彼の破天荒な外見の下にある深い優しさを感じ取ることができる。この曲はとても感動的で、彼の息子に会ったとき、この歌詞は偽りのないものであることが分かった。

(訳者注:今"My Little Man" の歌詞を読むと泣けます!父から息子への愛の歌!)

私の妻ピアが彼に会ったとき、彼の頬のほくろにキスできたのを覚えている。

12月25日に彼の70歳の誕生日パーティに招かれ、ウィスキー(ロスの伝説的ライブハウス)で演奏できたのは幸運だった。彼が亡くなるほんの数週前だ。ボブ・キューリックとレミーの息子のポール、彼はとても上手いプレーヤーだ、この2人とギターを弾いた。

ショウの後、一晩中バルコニーで座って見ていたレミーに会いに行った。衝撃を受けるほどに彼は痩せて衰弱していたけれど、変わらぬ注意深さで周りの出来事を観察していた。私は彼の震える手を取り、彼の息子とジャムできて楽しかったと伝え、彼の手にキスして「兄弟よ、神の祝福を。ありがとう」と伝えた。

これがこの世での最後の別れになると知りながら、さようならを言う時というのはあるものだ。悲しみを感じると同時に、レミーに対しては心からの敬意と、お互いへの深い尊敬と知り合えた喜びを感じた。

彼は最もクールな人であり、今彼の注意がどこに向いているにせよ、彼は私たちと共にいる。

レミー、あなたは類い稀な人だ。心から感謝している。

スティーブ・ヴァイ

(ライターに彫られた文字:レミーからスティーブ・ヴァイへ。2004年 "Inferno" での素晴らしい仕事への感謝を込めて)