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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ Q&Aセッション@ MORC EAST 2016 グラミー賞での危機一髪!

クルーズ中には主要ギタリストの Master Class と Q&A がそれぞれありました。ヴァイ先生は Master Class でギター演奏をすること一切無く、Q&A形式で喋り倒していました。(他のアーティストは技法の解説などもしていた模様)

その中で面白い話がいくつかありましたので、以下に概要をまとめます。

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フランク・ザッパが初めてあなたの演奏を聴いて、あまりに感動して自分ではもうギターを辞めようと言ったというウワサは本当ですか?

ハハハ、本当だ。フランクは私がプレイするのを初めて聴いたときに、ギターを辞めて引退すると言ったんだ。これって今まで聞いた中で一番おかしな話だね。(笑)私はウワサ話を広めるのは嫌いなんだ。だって私の話をデッチ上がられるから。まぁ、時には自分で広めることもあるけど。(笑)だって、マスコミに真実だけを言う奴なんてどこにいるんだい?ちょっとした話のタネをまいておくと、暫くしたらとんでもないデタラメの話になっているんだ。(笑)

(注)ということで、ザッパがヴァイ先生のギターを初めて聴いて感動し引退を考えたという話は事実ではないそうです。

フランクは私が会った中で最も確かな自信を持った人だった。彼は何かアイデアを考え付くと、ただそれを自分で実行する。誰にもそれをやることを期待しないし、自分に何の言い訳もしない。私はその精神で自分のキャリアを始めたんだ。

メアリー・J・ブライジが歌った "Stairway To Heaven" のアレンジが変わっていて、ぜひその製作の話を聞きたいです。

この企画自体はプロデューサーやレーベル側が立てて、人を集めた類のものなんだよ。著名なA&Rで強力なプロデューサーが私の友人を通じて話を持ってきたんだ。私は最初断ったんだ。なぜなら、こういう名曲はオリジナルの聖域を壊してはいけないからだ。でも私は弱い人間でね、(笑)もし私が好きなようにやってもいいのなら引き受けよう、と言ったんだ。

それで私は24の異なるギタートラックを使って、新たな質感を加えた "Stairway To Heaven" を作った。メアリーも気に入ってくれたよ。でもプロデューサーには別のバージョンを作ってくれと言われたんだ。それでもう一度トライして、それが結果的にリリースされたんだ。メアリーとはその後アメリカン・アイドルをやったよ。

グラミーでもアメリカン・アイドルでも生放送で演奏するというのは大変なことさ。弦が切れたりすればお終いだからね。だから、私はグラミーの時に、念のため、アコースティック・ギターも設置してもらったんだ。グラミーのステージでは何もかもが猛スピードで進むんだよ。ステージセットが次々変わっていく。

早めにスタジオに入ってもリハーサルする時間はもらえなかったんだよ、何しろあの時はサイモン&ガーファンクルが数十年ぶりに復活するステージがあったからね。"Sound Of Silence" をやってた。彼らはそれでも楽屋で喧嘩してたんだよ、数十年ぶりだっていうのに。(笑)

それで彼らがサウンドチェックに何時間も使うから、私たち他のアーティストはサウンドチェックする時間ももらえなかったのさ!(笑)それにしても最高にクールだったのは、スティーヴィー・ワンダーと楽屋が同じになる経験だ。ワクワクしたね!

それで本番のステージだが、セットが次々に変わるために、私のアンプはセットの向こうにあったんだ。本番1分30秒前、と言われて、ギターを確認すると音が出ないんだよ!トーマス(ヴァイ先生のギターテク)を見ると、大丈夫だって返してくる。でもギターから音が出ないんだ!ステージの最前列を見るとマドンナやU2や業界の有力者が並んでるじゃないか!

どうしたらいいんだ?と思ってステージ脇のアコースティック・ギターが目に入って、ネリー(共演のシンガー)に「どうだろう?アコースティックでやってみてもいいんじゃないかい?」って言うと、彼女は「ちょっと、スティーブ、何言ってるのよ!」って状況で。それが30秒前さ。

アコースティックを取りに立ち上がると、ちょうどセットが変わり始めてね、目の前にはステージカーテンが出てきた。(笑)15秒前さ、その時の心境といったら、シューリアルで、もう何がどうなるか分からないって笑うしかない感じさ。「トーマ~ス!!(涙目)」って心で叫んでたよ。

私とネリーの名前が呼ばれて、ステージ中央に進んだ時にはまだ私のギターは音が出なかったんだ。その時さ、目の端で見えたのはトーマスがもの凄い勢いで走ってきて、アンプのスタンバイのスイッチを切ったんだ。でもアンプが実際に反応するまでに数秒かかるからね、会場には私の名前がアナウンスされたっていうのに、まだ、まだ、まだ、音が出ない!やっと出た!という訳さ。(笑)

(注)そこでステージにトーマスが登場して、ヴァイ先生からマイクをとって喋り始めました。

"Stairway To Heaven" について言うと、彼は来る日も来る日もこの曲を練習していて、それはもうジミー・ペイジが一生で弾いた回数よりも多いくらいだったんだ。(会場爆笑)

再びマイクを取ったヴァイ先生、

それでも私は1週間で忘れてしまったんだけどね(笑)ライブパフォーマンスと言えば、メアリーとの話をしよう。

アメリカン・アイドルという番組でチャリティ企画をやるビッグなショウがあって、それにメアリーやオリアンティと出たんだ。あの時もバンドでリハーサルをする十分な時間がなくてね、本番前に少ししか時間が取れなかった。リハではバンドを合わせるためにクリック音を使っていたんだが、本番ではその音が入ってしまう。しかも凄い視聴率の番組でのライブパフォーマンスで皆が緊張していた。

クリックのことは忘れて、私のギターについてきてくれと緊張しているバンドに言ったのさ。そして本番、私は "Stairway To Heaven" のイントロを始めた。イントロが終わってボーカルが入ってくるところなのに、バンドの誰も動き出さないんだ。いったいこれは何だ?とグラミーのトラウマが蘇りそうだったよ。

すると、聞こえてきたのは司会者が私の名前を紹介している声だったんだ。つまり私は演奏すべきでないところから演奏を始めてしまったのさ!まさにその状況で、ステージにライトが当たり、私は再び弾き始めて、それが上手く行ったんだ。Youtubeをチェックすると私の名前が紹介されている後ろで私が演奏しているのが分かるよ。(笑)

ビリー・シーンと一緒にやったのは何故ですか?

彼が私を David Lee Roth Band に推薦してくれたんだ。ビリーは非常に稀な才能をもったミュージシャンなんだよ。彼は完全に楽器を自分の一部にしている。シュレッダーという言葉があるが、彼は最初のシュレッダーなんだ。その言葉が使われ始めるずっと前からシュレッドしている。彼はヴァン・ヘイレンよりも前からシュレッドしているんだ。彼は非常にユニークで、シュレッドの権威なんだよ。私は彼の技術から随分と盗ませてもらった。(笑)

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身振り手振りを交えながら、楽しそうにお話されるヴァイ先生、最高潮にノリノリで面白かったです!ステージにトーマスが出てきてコメント加えるところも笑えた!