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ジェフ・スコット・ソート 「現代にはもはやムーブメントなんてものはない」

Monsters Of Rock Cruise でジェフ・スコット・ソート率いる SOTO のライブを見て、すっかり彼らがお気に入りバンドの1つになりました。(SOTOのライブレポートはこちら

バンドメンバーを見ていくとこのバンドが少々変わった生い立ちであることが分かります。それは現在のミュージック・ビジネスの現状を垣間見るような興味深いもの。ジェフの最新インタビューからそのあたりを探ってみました。

上はSOTOのニューアルバムから "Unblame" のビデオです。このビデオ、iPhone6で撮影しているそうですよ!

SOTOのバンドメンバーは以下のとおり

ホルヘ・サラン (g)    出身:スペイン 
BJ (key, g)        出身:ブラジル
デヴィッド・Z (b)     出身:アメリ
エドゥ・コミナート (d)  出身:ブラジル

彼らは元々、ジェフのソロ・ライブバンドとして何年もツアーをやってきました。SOTO の1stアルバム "Inside The Vertigo" は当初ジェフのソロアルバムとして製作をスタートしていたため、多数のゲスト ミュージシャンとの共作曲で構成されており、バンドメンバーの貢献度は良く分かりません。デヴィッド以外のメンバーは演奏には1部参加しています。

1stアルバムのサウンドがヘヴィ過ぎる、とジェフにはAOR路線を期待していたレーベル(フロンティア)が契約を渋ったため、怒ったジェフが別レーベル(イヤーミュージック)と契約し、ソロ名義ではなく、バンド名義でアルバムはリリースされました。

1stアルバムの製作時に多くのアイデアがあったようで、熱気そのままに、あまり間を空けずに2ndアルバムのレコーディングも進めたようです。2ndではソングライターとしてメンバー全員のクレジットがあります。(前作では、エドゥとホルヘのみ)

メンバーが世界各地に散っているといろいろ大変そうな気がするのですが、インタビューでジェフが興味深いことを話していました。以下、2つのインタビューの1部を和訳してまとめてみました。

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バンドメンバーがインターナショナルなのに不都合はない?

SOTOのメンバーが国際的なのには理由がある。俺はソロツアーで欧州や南米を周ってきたけれど、全部アメリカ人のバンドでツアーをやるには金がかかった。それで欧州や南米でミュージシャンを雇って、今のメンバーになったんだ。結果的に彼らは俺のバンドへ音楽的に新しい要素を持ち込んでくれた。
(なお、デヴィッドはNY在住で、ジェフとはTSOのバンドメイトです)

距離は問題ではなくなった。Talismanの時代はプロツールもインターネットもMP3もなかった。バンドのいるスウェーデンと俺のいるアメリカでデモテープを郵送し合いながらアルバムを作っていた。テクノロジーの発達は大変な恩恵だ。一瞬で送信できて、まるで一緒の部屋にいるような感覚で仕事ができる。

今は皆が忙しくてアルバムのために実際にバンドが一緒に集まるなんてことはできない。俺にも他の仕事があるし、ホルヘだって自分のソロやなんかの仕事がある。でもテクノロジーのおかげで時間を有効に使えるんだ。

SNSが氾濫し、Amazonのレビューやネットでいい事も悪い事も書かれる、そんな現在の風潮に対してどう思っている?

俺はテクノロジーが大好きだ。常に進歩についていきたいと思っている。俺が嫌いなのは変化を受け入れず、現状に留まることだ。

80年代のヘアメタル全盛をグランジが潰したって言われているけれど、俺に言わせればヘアメタル自身が潰したんだ。余りにもバンドが多過ぎたし、見た目も音楽も似通っていた。あれは変わらなくちゃいけなかったんだ。

音楽には、70年代、80年代、なんとか90年代があった。90年代は何もかもが速くてシーンにやってきては消えていった。グランジもラップも。ところが現代にはもはやムーブメントなんてものはない。バンドが多過ぎるのさ。70年代にはこれというバンドが一握りいた、それが今では山ほどある。競争が激し過ぎるんだ。

SNSは確かにチャンスを与えたけれど、もうこれ以上の発展はない。発信し続けないと自分が消えてしまうという唯一のネガティブ サイドがある。ポジティブなところは待たなくていいことさ。40,000のバンドのうち、気に入るのはどうせ30か40くらいなんだ。

SOTOの音楽は気に入っているよ、クラッシックだけど新しさもある。

ありがとう。俺はコンテンポラリーなものがやりたかった。リスナーを不安にさせない程度にね。彼らが気に入る要素は残してある。メロディはあるし、ジェフ・スコット・ソートらしさはあるけれど、違いを出した。俺が聞きたかった音楽だ。

ホルヘ・サランはギタープレーヤーとしてどうですか?

彼に会ったとき、彼はまだほんの子供で、自分の作ったCDを持ってきて、これを聞いてくれ、俺に歌って欲しいと言ってきたんだ。俺は彼のガッツに感銘を受けた。そうやって上を目指して戦う姿は数十年前の自分の姿を思い出させたんだ。

今どきのSNSで簡単に注目を集めようとするやり方や American Idol みたいなのとは違って、彼の姿勢は昔ながらの、一から這い上がろうとするやり方だった。

2009年に俺のソロバンドとして彼に弾いてもらったとき、彼はワールドクラスのミュージシャンだと確信したよ。彼には何度も言っているんだ。俺はニール・ショーンイングヴェイ・マルムスティーンなど世界最高のギタープレイヤーたちと仕事をしてきたけれど、彼も同様のクオリティを俺の音楽に持ち込んでくれた。

彼とはとてもウマが合うし、いい反応が起こせる。ツアーでも楽しくやれるんだ。俺のそう長くない残されたキャリアの最後はホルヘと迎えたいんだ。

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動画のインタビューはスペインのメディアが行ったもので、質問によってはネイティブのホルヘが答え、ジェフ向けの質問で言葉が分からないものはホルヘが英語に訳しています。

「お前と俺のキャリアの最後を迎えたい」こんなこと言われたら泣いちゃうよね、 ホルヘ。彼が感動している姿もじんとします。でもジェフにはあと10年は歌ってもらわないと!まだまだですよ。

もう1つ、注目したのはジェフのTシャツ。ミッキーマウスクルーズではジョエルのステージでスヌーピーTシャツ着てたよ!アメリカンな可愛いキャラクターものが好きなんでしょうか?(笑)