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スティーブ・ヴァイ 「デヴィッドは私のショウに協力してくれようとしたんだ」

今週もスティーブ・ヴァイインタビューです。Whitesnake のデヴィカバ様との先日のエピソードを初めて語っています。精神世界論を話し出したら止まらない先生、ありがたいお話も満載。概要を和訳してみました。

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現在は Passion and Warfare の25周年ツアーの最中ですね。これらの曲を再びやってみてどうですか?ライブ演奏していなかった曲もあるのではありませんか?

そうだ。このアルバム再現のライブをやりたいという想いは常に私の中にあったが、恐れてもいたんだ。私のアルバムの作り方というのは、構築するという感覚だ。私はトラックを切って、ジャムしたりはしない。私はヴィジョンを持って作曲するタイプだから直感的にやる方ではないんだ。

当時の私はプロダクションの上で様々な実験をしていたから、ライブで再現するのは難しいものを使っていたんだ。不可能ではないけれどね。このツアーのアイデアが浮かんできたときに、ただアルバムを聞きこんだ。そして、必要なものを埋めるためのバッキングトラックを作った。曲を覚え直して「なぜ恐れていたんだ」と思ったよ。

何年も前に自分がクリエイティブさを持って製作したものを再訪するのはいいものだ。当時の自分がどうだったかを垣間見ることができる。その人物はまだここにいるのさ、自分自身の上に今の自分を築いてきたのだから。当時、主流派ではないようなアイデアを追い続けた自分がいかに勇気があって、恐れ知らずだったかを確認するのはとてもクールだ。

アルバムのレコーディングでの忘れられない思い出はありますか?Whitesnake にいた頃でしたか、それとも辞めてから?

いや。DLRバンドの頃にやっていて、Whitesnake に入ってからアルバムを仕上げたんだ。リリースされたのは Whitesnake のツアーに出ていた時だ。全てが上手く行ったのさ。

初めてアルバムを聞かせたのはデヴィッド・カヴァーデイルだった。このアルバムは変わっているから、あまり受けないと思っていたんだが、デヴィッドは「何を言っているんだ、スティーブ、全く違うぞ。これは素晴らしいアルバムだから、君は結果に相当驚くだろう」と言ってくれたんだ。

彼はそのツアーであなたが Passion and Warfare をプレイする時間を与えていますよね。

ああ、彼は信じられないほど寛大なんだ。Whitesnake のツアーでは毎晩自分をアピールする時間を十分に与えてもらったんだ。

Whitesnake に加入した時、短期の仕事になると思っていたのですか?アルバムのギターパートはエイドリアン・ヴァンデンバーグがやっていますが、あなたは自由にやれたのでしょうか?

どうかな、私の理解としてはこれはデヴィッド・カヴァーデイルのバンドだということだった。バンドは何回にも及ぶ変化をしてきた、このバンドは常に変化するんだ。だが、デヴィッドが親玉で、彼自身がWhitesnake なんだよ。

いいミュージシャンたちとプレイするいい機会だと思った。特にデヴィッドは素晴らしいからね。私には様々な音楽的アイデアがあったから、キャリアとして私向きではなかったかも知れないが、私の心地良いと感じる範囲を逸脱することはなかった。先日ちょうどデヴィッドに会ったよ。

見ましたよ。彼はWhitesnakeでツアーに出ていますね。

彼はとても元気そうだった。彼は私のショウに協力してくれようとしたんだ。今の私のツアーでは友人たちにビデオで参加してもらって、一緒に演奏しているんだ。Whitesnake の曲をちょっとした短いバージョンにしたのだけど、このツアーをまとめるのにあまりに時間がなくて完成させることができなかったんだ。デヴィッドはビデオ出演に乗り気だったんだが、機材手配での問題があった。今後の機会にやりたいね。

今後、著名ボーカリストのバンドでプレイするということについてはどう思いますか?

否定はしないけれど、それに大きな時間をかけるとしたら、私にとっては相当に特別な状況だろうと思う。

私が12歳で Led Zeppein を聞いたとき、状況が一変した。ジミー・ペイジには多大な影響を受けたのさ。私はリードシンガーの横にいるサイドマンが良かった。その考えに長い間固執していたんだ、 Passion and Warfare の後も。

自分のバンドを作るというのは私には居心地が良くなくて、Sex And Religion でもシンガーにデヴィン・タウンゼントを迎えた。でもそれをやっていくうちに、自分でフロントマンを務めることを楽しみ、上手くやれると思うようになった。今はその状態なんだ。

そう言いつつも、良い状況が揃ったらリードシンガーの横でプレイすることも否定はしない。けれど、スーパーグループを結成するなんてことには全く興味がない。

あなたは非常に厳しい勤労倫理をお持ちのようです。あなたにとっては音楽が人生の全てですか?趣味を楽しむための時間はありますか?

いいかい、音楽は私の人生の全てではなく、音楽とは私が人生において取り組んでいることだ。人生とは自分がそこで何をするかということよりもずっと深いものなのだよ。私の場合は、音楽を創ることに力を注いでおり、それが私の愛することなのだ。

昨日は妻とマンチェスターを散歩してまわったよ、素晴らしかった。家で作曲しているときと同じくらいに楽しんだよ、それから映画を見に行った。これも同様に楽しんだ。そしておかしなことに、ホテルへ戻りながら、ライブのセットについて話していて、どうやってもうあと数曲を特定の形で使えないかを話していた。「よし、部屋に戻ったら直ぐに曲を書くぞ」と言ってギターを手にしてとてもいい曲が書けたんだ。

これは私が取り組んできた発想の仕方さ。すべての瞬間において自分が行っていることを楽しむ方法を見つけるという発想だ。

あなたはくつろいでいて、おおらかで、落ち着いている人物のようです。あなたが嫌い、またあなたを怒らせるものはありますか?

私の人生を通して、大きなフラストレーションや怒りなどを引き起こした様々なことがあった。しかし、これらの感情は全て苦しみの形態の1つなのだと気付いた。人生においてこの苦しみを引き起こすものは、それぞれが選択した結果の思考の性質によるものだ。実に精神的な発見だったよ。気付きなんだ。

私が人生で望むものは地球上の誰もと同じで、心の平安なのだと気付いた。気持ちよく、幸せでいたい、それなんだ。この考えに対しては必ず誰かが「しかし」を差し挟むだろう。「私だって平安が欲しい、でも、これこれこうで上手くいかない」とか「この状況では」というようにね。

それらは全て頭の中の思考によるものなんだ。本当に平安が欲しいのなら、頭の思考と自分を切り離し、それを観察することだ。思考を変える方法を見つけるのだ。これが本当の勇気だ。我々は思考に囚われているからとても難しいのだよ。

君は私を怒らせるものは何かと聞いたが、ほとんど何も無い。私は今でも時折、怒りを感じることがあるが、そんな時はその感情を創りだしている思考を見極めることにしている。これは訓練だ、私はもう何年も実践してきた。怒りを感じるとき、時としていい気分にもなることに気付いた。なぜならそれはエゴを満足させることだからだ。そして結局苦しみに終わるのだ。

私は人生でそんなものはごめんだと思ったよ。私は怒りなど感じたくない。怒りとは恐怖の別の顔なんだ。フラストレーションやその類のものは皆、恐怖の別の顔なんだ。全てがエゴに基づくものなんだよ。

あなたは多くのことを成し遂げてきました。まだ実現したいことはありますか?

もちろん。だがそれらが私の優先的事項ではない。私が人生で優先して取り組むことは、今行っている物事だ。分かるかい?今この瞬間を楽しむということだ。それ以外全てのことは2次的なことで、夢や欲望に終わりはないんだ。これらは創造力を刺激するもので、それこそがこれらの真の姿だ。そのために我々は生きている、クリエイティブであるために。

世界は様々な形で拡大しており、その1つは我々、そして我々の創造物によるものだ。馬鹿げているほどに明らかだと思わないかい?我々はこの世に生を受けた。そこから切り離すことはできないのだよ。我々が行うことはその延長線上なんだ。そして人間に欲望が不足することはない。しかし、肝に銘じておかなければいけないのは、欲望に固執してしまうことが人間の本質だということだ。

誰かに1対1でインタビューできるとしたら、誰にしたいですか?

エックハルト・トール
(訳者注:カナダ在住の精神世界分野の著者、ヴァイ先生がこの方の著作を読み、影響を受けているのではないかと思われます)

Passion and Warfare のツアーでは世界を周るのですか?

それほどでもない。今は欧州を周っている、比較的濃縮した欧州ツアーとアメリカツアーだ。レガシーツアーというか、私は過去の栄光の焼き直しみたいなことはあまりしたくないんだよ。

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5月にデヴィカバ様と再会を果たしていたのは写真で見ていましたが、まさかまさか、ヴァイ先生の現在ツアーで使うビデオ出演の予定があったとは!しかもそれが実現していれば、ステージでほんの少しにしろ、Whitesnakeの曲が演奏されていたのかも知れなかったとは!

考えてみれば、"For The Love Of God" のナレーション音声はデヴィカバ様ですしね、アルバムへの協力者として登場してもいい人物。実現したところが見たかった!

スーパーバンドには興味のないヴァイ先生ですが、DLRバンドのリユニオンについては、ツアーの可能性まで別のインタビューで言及していましたので、機が熟せば、奇跡が実現するかも知れません!

そして最後の質問の回答に涙をのんだ日本のヴァイ ファン多数です。今年の2月にヴァイ先生に聞いたところでは「来年日本に行く」とのことだったので、てっきりPAWツアーでの来日だと思っていました。これは次のアルバム(3ピースのギターアルバム)発売後の予定という意味だったのでしょうか…、それにしてもPAWツアーも見たかった。(涙)