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ジョエル・ホークストラ Whitesnake Greatest Hits Tour 機材解説

今年の Loud Park 2日目のヘッドライナーも決まっている、Whitesnake のジョエル・ホークストラがメディアのギア取材に応えました。ビデオではほぼ全ての機材説明をしており、Whitesnake のセッティングも分かりますので、なかなかに興味深いです。

日本のギター雑誌でよくツアー機材の取材記事がありますが、紙面の制限がある雑誌記事よりも格段に詳しくて、ジョエルの説明が分かりやすいです。機材好きな方にも私のような初心者にも楽しめる話と思います。

ジョエルのトーク概要を和訳してみました。(テクニカルな部分で誤訳があるやも知れません、そんな時にはそっと教えてくださいませ (;;;´Д`)ゝ )

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Guitars

まずはギターから始めよう。僕が Whitesnake に加入したとき、全て新しい機材やギターでやろうと思ったんだ。当時は Purple Album の製作中だったから、Whitesnake らしいレスポールの音だけではなくて、(リッチー・ブラックモアの愛器の)ストラトも必要だと思った。それで、FenderGibson それぞれのカスタムショップに連絡したのさ。

僕には Whitesnakeメダリオンをボディに埋め込むっていうデザインヴィジョンがあったのだけど、FenderGibson もそうすることを許可してくれたんだ。このメダリオンは鋳造所で作ってもらった。銅製のメダリオンでちょっと重さがある。

フロントとセンターのPUは50シングルコイルで、リアはダグ・アルドリッチのSuhr製 シグネチャー ハムバッカーだよ。このバンドに参加することになって、ダグが祝福して力になってくれたんだ。スタンダードなUSAストラトで、今のツアーではこのハムバッカーPUを使ってるよ、Slow An' Easy でスライド奏法をやってるんだ。Purple Tour では Mistreated や You Keep On Moving で使ってた。

(訳者注:昨年は Purple Tour だったため、ストラトサウンドが必要だった訳ですが、今年の Whitesnake Greatest Hits Tour では必要性が薄れるこのストラト。ジョエルはリハーサル時点で Whitesnake の楽曲の中でこのストラトが生かせる曲というのを試行錯誤しており、結果として Slow An' Easy に落ち着いたようです)

今回のツアーではこのストラトは1度しか出番がないんだ。それで白いストラトと交互に使ってる。去年は Deep Purple のヘヴィな楽曲が多かったから、もっと使ったんだけど。今年のプレイではPUはリアのダグ・アルドリッチ・ハムバッカーを使ってる、去年はリズムプレイで主にフロントとセンターのPUを使ってた。

このストラトには色違いの白いボディのパートナーがあって、仕様は同じだよ。同じギターを色違いの黒と白で作るっていうのが最初のアイデアだったんだ。

次はレスポールにいこう。こいつは新しく作ったギターの中でもお気に入りなんだ。黒のレスポールと全く同じものなんだけど、サウンドやプレイアビリティが微妙に違うんだ。そして、ストラトと同様にメダリオンが埋め込んである。ボディのステンシル・ワークはギブソンのアンソニー・バースによるものだ。こっちがパートナーの黒いレスポール

僕は Gibson Custom のサウンドが大好きなんだ。USA Gibson のヴィンテージ物と少しサウンドが違うんだよ。クラリティとかバランスがね、それによって音にパンチが出せる。キレや温かみとか僕がギターサウンドに求める音の全てだ。

弦は Ernie Ball パワースリンキーを使っている。ゲージは0.11-0.48だ。よく、0.11!(太いゲージ使ってるね)って言われるんだけど、Whitesnake に入って全部試したんだけど、Gibson のスケールは (Fender より)短いから0.11でも0.10や0.09(より細いゲージの弦)に感じてしまうんだよ。いいビブラートが欲しいから緩めに張るしね。

Img_1457次はこれ。小さなギターメーカーに友達がいるんだ。とても意欲的な人たちで、彼らが去年の Purple Tour にこれを作ってくれたんだ。ボディはスワロフスキー・クリスタルで覆われている。ハリー・ハワードが全部手仕事で付けていったんだ。凄いよね。PUはこれも Suhr のダグ・アルドリッチのハムバッカーだ。

インレイは全部星座のシンボルマークで僕自身のだったり、僕の人生に重要な人、息子のだったりするんだ。僕は別に占星術に興味がある訳じゃないよ、ただこうしたらクールかなと思ったんだ。こうすればギターにいい由来ができるし、パーソナルなものにできるよね。

このギターを受け取った時、素晴らしいけど、派手過ぎるからライブでずっと弾くのはオーディエンスの気が散ってしまうと思ったんだ。だからこれは僕の個別ギターソロの時だけ使っている。

これを見ると子供のころに DIO のライブに行った時のことを思い出すんだ。7列目でヴィヴィアン・キャンベルを見たんだ。ネオンのアウトラインが入ってて、凄くカッコイイと思ったよ。

このギターはショウ向けのものだけど、他のと同様にいい音がするんだ。だってプレイするんだから、そこは妥協できないよ。

ヘッドにはヒップショット・チューナーを付けてある。僕は普段こういうのは使わないんだけど、Whitesnake ではゲインが大きいから音がデカくなってしまうんだ。僕のソロではタッピングを多用するから、こいつで低音弦のE、時にはAもミュートするんだ。

皆が知っているように、レスポールWhitesnake にとって特徴的なサウンドだ。去年は Deep Purple だったから、ストラトも使ったけど、今年は Slow An' Easy とギターソロ以外は全部レスポールだ。

去年はUSツアーでは個別のギターソロがあったけど、UKではなかったから紫のアトミック・ギターを特定の曲で使ったんだ。(訳者注:You Fool No One で使っていました) さっきも言ったけど、あれを弾くとオーディエンスがギターに注目し過ぎてしまうから、あまり使わないんだ。

去年は Sailing Ships で、今年は僕のギターソロでアコースティックはこのTaylorを使っている。エレキとの持ち替えを素早くやらなくちゃいけないので、このスタンドを使って、エレキは背中にまわしたままで弾くんだ。子供の頃にアレックス・ライフソン(Rush)がやるのを見て凄くカッコイイと思ったんだ。Taylor とはずっといい関係で、とても頼りになるギターだよ。プラグインしたサウンドもいいし、僕にもこのギグにも合っているんだ。

Amps and more

次はアンプだ。友達の影響で Friedman を使うようになったんだ、3年くらい前だ。BE-100で、モダンマーシャルって感じなんだ、サウンドはマーシャルっぽい。ハイ・ゲインを使うギグでは、フロントエンドを押し上げるためにペダルを使わなくて済む。曲間のノイズを落とすためだよ、毎回PAからシーってノイズが聞こえたら嫌だろ? このアンプは凄くいいよ、2チャンネルあって、リードにはブーストをかけてる。おかげで、ナイスなクリーンサウンドも出すことができるんだ。満足してるよ。

こいつは (Fractal Audio System Axe-Fx II) 以前から使っていて、Rock Of Ages (ジョエルがブロードウェイで出演していたミュージカル)や TSO (ジョエルがツアー参加していた大規模ロックオペラショウ) みたいな、よりダイレクトなショウではメインで使っていたんだけど、今のツアーではディレイとリバーブに使っているだけなんだ。Whitesnake ではそれほどエフェクトを使わないんだ、とてもストレートなギグだよ。

こいつはとても便利なんだ。トミー・アルドリッジが各曲のBPM(テンポ)をくれるだろ、僕らはインイヤーでクリックは聞いてないけど、トミーは聞いているからね。だから例えば僕がリズムギターで8分音符の後で軽くスラップをやるときなんかもタイムを合わせて、こいつで曲ごとにディレイのレベルを設定できるってのはとても便利なんだよ。

Fractal の上には TC electronic がある。これはバックアップなんだ。ツアーでは何があるか分からないからね、バックアップは必要さ。

その上にあるのは Dunlop Cry Baby Rack Wah DCR-2SR だよ。これは凄くいいね。オートマティック・タッチコントローラーがフロントに付いているんだ。ペダルは僕のソロ用に足元とセンターステーションにあるんだけど、お陰で去年は Stormbringer がセットにあったから、(スタジオで大量のオーバーダブを使った曲)ライブで足先のペダル押しをやりながら、バックコーラスも歌わなくちゃと随分大変だったんだ。これがあると自動でできるから、僕にとってはギグには最高だよ。

その上にあるのは、Multi-Selector で、ギターによって4チャンネル使い分けてる。ワイヤレスで周波数が違うんだ。便利だよ。ホラ、ここに Slide って貼ってあるのは Slow An' Easy 用ってことさ。セットでは素早くギターを換えなくちゃいけないから、これがあると便利だ。1チャンネルだったらギターテクはギターチェンジの度に大変だよね。

ラックの上にあるのは、昔ながらの Ground Control Pro で、ここのはエース・ステーションさ。これがマスターの役割をする。曲ごとに 今夜のオープニングは Bad Boys だから Bad Intro って表示されるんだけど、これでたっぷりのオクターブやディレイなんかのエフェクトがプリセットされてる。そして Bad Rhythm にセットするとリズムギター用のセットさ。

(ギターテクの)エースはこれで僕の代わりにエフェクトを切り替えてくれるんだよ、僕が自分のボードの前から外れてロックポーズをとっていたりするときにはね。ほとんどの切り替えは自分でやるんだけど、ステージ中央から戻れないときなんかに助けてもらってる。

そしてこのボタンを押していくとセットリストの曲順に切り替わっていくんだ。全曲についてリズムとかリード用のパッチが入ってる。例えば Judgement Day ではスティーブ・ヴァイがやってたエフェクトがセットしてあるのさ。Eventideのピッチシフターを再現出来る様にしてある。 その時には Fractal Audio System Axe-Fx II をディレイやリバーブ以外に使っているんだよ。

Control board and others

じゃぁ、僕のステーションを見に行こう。さっきあっちで Judgement Day を出してたからこっちにも出てるよね。同じコントローラーだから、こっちにも曲ごとのセットがしてある。個別にエフェクターのスイッチもあって使うよ。昔ながらの Boss のクロマチックチューナーがある。でもエースがとても信頼できるから、自分でそんなにチューニングしなくてもいいんだ。Whitesnake でツアーするからこその贅沢だよね。プロダクションが整っていて素晴らしいクルーと仕事ができる。だから僕はパフォーマンスに集中できるんだ。

これがスライドホルダーで、 Slow An' Easy や Still Of The Night で使ってるよ。これが僕の投げ用のピックだ。(訳者注:ジョエルが演奏でメインに使うのはスチール製のピック) Star Access Pick がいつもクールなピックを作ってくれるんだ。ピック投げってファンと繋がれるいい方法だって長年のステージ生活で分かってきたんだ。使わないけどピックを集めるのが好きな人いるよね。

そしてこれがマイクなんだけど、クールなのはモーション・センサーが付いてるってこと。正面に立った時だけスイッチが入ってマイクがオンになるんだ。だから演奏中のデジタルノイズとかがマイクに拾われないんだ。おかげで僕のインイヤーミックスの音がクリアになるから助かるんだ。ドラムサウンドやアンプノイズがマイクに入らないんだから。

それからさっき話したけど、これが Cry Baby のワウコントローラー。踏んでみるとほら、オンとオフは軽くタッチすればいいんだ。あと、マイクの横のこの位置にも Cry Baby のワウコントローラー があるんだ。ずっとマイクの後ろでプレイしていたら、せっかくチケットを買ってきてくれたあっちの方の人たちにステージの端っこで弾いてる奴にしか見えないからね、ここにあることで少しセンターに出れるんだ。

これでほぼ全部説明したかな。また皆に会えるのを楽しみにしてるよ。

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ジョエル最新情報

その1)
8月26日に発売される Stryper のフロントマン、マイケル・スウィートのソロアルバム、One Sided War にジョエルは "Radio" "Who Am I" "One Way Up" の3曲で参加しています。また、"Radio" ではMVにも参加しています

その2)
9月3日にはルーマニアで開催される Ziua Chitarelor 4 というギターイベントに参加します。
こちらのイベントは今年で4回目、複数のギタリストによるマスタークラスとオールスターギグで構成されています。今年のラインアップはフランク・ギャンブル(スウィープ奏法の元祖)、バンブルフット(7月はポール・ギルバートのギターキャンプにも講師参加していました)、トシン・アバシ(Generation Axe でもお馴染みのテクニカル多弦弾き)らで、テクニカルな方々。これにジョエルが呼ばれるって嬉しい。

マスタークラスではジョエルの過去2枚のインストアルバムからの演奏が行われるようです。やはりギタリストはこういう時のためにインストアルバムが必要よね!本人もこのギグは楽しみにしている様子。普段の彼のショウとは客層が違って、テクニカル志向のギタリストが多いと思われるので刺激になりそう。

Ziuachitarelor4