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スティーブ・ヴァイ 「 "Mighty Messengers" は Alcatrazz にと思った」

スティーブ・ヴァイが "Modern Primitive" についてメディアの質問に答えました。この25周年アルバムについては数多くのインタビューをこなしたヴァイ先生ですが、少し切り口の違う質問に機嫌よく回答されていますので、一部を和訳してみました。

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この長い年月、あなたの演奏技術は継続して発展しています。ベンドやスライドの技術はその1つの分野です。このアルバムではその技術がもはや人間業ではないレベルにまで到達しています。そのことについてお聞きできますか?

ありがとう。私はいつもそこかしこで少しずつ私のスタイルを進化させるよう取り組んでいる。それは可能だと分かっているし、誰だって望めばそれは可能なんだ。でもそこに誰かが気付いてくれたことは嬉しいね。ライナーノーツに書いてあるとおり、当時の録音を使っている部分はあるが、ギターソロは全て新たにレコーディングしたものだ。

私はソロに対して様々なアプローチを取る。ただ弾いてしまうこともあれば、様々なテイクを録り、それらをまとめることもあるが、常に自分がこれまでに弾いたことのないものを探しているのだよ。多くの場合、私はソロを一部ずつ録っていき、何か新鮮なアイデアが生まれるのを待つんだ。そして見つかったら、それを大げさにやってみる。

"And We Are One" という曲では、ソロを分割して録っていたのだが、新しい"声"を見つけるまで満足できなかった。このアプローチでは鈍角のアームテクニックを使っている。まだアームテクニックのほんの入口にいるような気がするよ、とてもいい気分だ。

"Pink And Blows Over Part III" では今までに聞いたことのないあなたのプレイが聞けます。ジャズサックスのような。バンブルフットかガスリー・ゴーヴァンがゲストで弾いているのではないかと考えた程です。あのようなタイプのプレイをどうやって演奏できたのでしょう、恐らくあなたもバークリー時代以降は弾いてなかったのではありませんか?

その通りだよ、あのような演奏はバークリー以来していなかった。あの曲は私がバークリーにいた頃に作った曲だ。いわゆる型どおりぽくないある種のジャズは好きなんだよ。私はコードチェンジ上でプレイするのが好きなんだが、ジャズのコードチェンジはちょっと都合が良過ぎる気がするんだ。とは言え、これが私のジャズ・フージョンだ。

ハーモニーに関しては、私はただコードチェンジ上で弾くのが好きなだけでね。コード上で上手くいくコードと音の構造というのがあるのだが、ジャズにおいてはほとんどがそれだ。でも私には自分がコード構造に厳格に従わずともコードチェンジ上でプレイしているのを心の耳で聞いたのだよ。とても早くコードはチェンジするが、私はソロで弾く音を主役にしたかった。コードに支配されるのではなくてね。両者は完璧に調整がとれている。

だから、あれは楽しい取組みだった。自由なソロを作り、3楽章の基礎になるメロディを反映しながらシュレッドする。私はクリーンなサウンドのプレイヤーじゃないから、やり易かったよ。私の内なるビジョンを具現化させるという取組みだった。

あなたはここで13分にもなる曲をやっていますけれど、このようなアルバムと"主流派"のスティーブ・ヴァイの音楽アイデアをどう区別しているのですか?

"Modern Primitive" はある意味罪深い喜びだった。トミー・マース(The Classified のキーボードプレイヤー)のような人物がスタジオに来て彼の才能を披露してくれるんだから、フィルターをかける方が愚かだよ。彼があの曲にやってくれたのは私の人生でも神聖なことだったのだから、完成させるのは純粋な喜びだったよ。彼がくれた3時間もの音源があったのだから、13分にすることが難しかったね。

私のアルバムが"主流派"であるとは考えたことはなかったが、君の言っていることは分かる。22-26歳の私はとてもナイーブで無邪気な子供だった、"主流派"ぽいものに関して。私がこれを完成させようと決めたのは、その感性を貫いて若い自分を称えたかったからさ。

不思議なことに、私には"主流派"になるようなアルバムのアイデアもあって、それも同様に私を興奮させるのさ。

あなたが"ステッカー・ストラト"を使ったのはどの曲ですか?

当時あれを使ってレコーディングしたのは "Upanishads", "Fast Note People", "Lights Are On", "No Pockets" だ。"Mighty Messengers" と "The Lost Chord" もあのストラトを使ったがレコーディングは今回のものだ。

"Mighty Messengers" は Alcatrazz に書いた曲のアイデアのような気がするのです。グラハム・ボネットが歌っているところを想像できます。当時グラハムの歌唱スタイルに影響を与えたのではありませんか?グラハムとデヴィン・タウンゼントの "Sex & Religion" の歌に類似点を多く感じます。

これは興味深いね。実際に "Mighty Messengers" は Alcatrazz に聞かせようかと思ったのだけどそうしなかった。これを書き終えたときにこれは尊重しなくてはと思ったからだ。

Alcatrazz でグラハムと仕事ができたのは楽しかったよ。特に彼と一緒に曲を作るのは好きだった。私がリフや時にはメロディや詞を思いついて彼に示すと、彼は直感的にメロディを作るのがとても上手かった。あのアルバムで彼の歌を私が録音することはなかったから、彼はどうにか私がレコーディングスタジオのガラスの向こう側でボーカルのパンチインの指示を出すっていうトラウマから逃れたみたいだ。

私は自分の音楽でシンガーを使うときには、ピッチ・タイミング・フレージングなどなど多くの指示を出すんだ。でもデヴィンが歌うときには、ただ彼に歌ってもらえばいいんだ。

このアルバムでデヴィンに "The Lost Chord" を歌ってもらったのは本当に良かった。彼には完全に録音したトラックを送って、最初のバースのいくつかでボーカルを入れてもらうつもりだった。彼が送り返してくれたものに驚いたよ。彼の音楽的本能は更に高まっているのだよ、彼と "Sex & Religion" をやったときよりも。