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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

スティーブ・ヴァイ 愛車は1985年製 Nissan Turbo 300 ZX (フェアレディZ)

Passion and Warfare 25周年コンサートで北米ツアー中のスティーブ・ヴァイがメディアのインタビューに応えました。かなりのヴァイフリークなインタビュアーのもと、ヴァイ先生がご機嫌よく珍しい話をしています。インタビューから一部の概要を和訳しました。

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Modern Primitive の音楽の多くは80年代当時のあなたのバンド The Cassified にて書かれています。どの曲に手を入れてアルバム収録するかの基準は何だったのでしょう?

それは簡単だったよ、私は当時15曲ほど書いていた。そこから録音したのは6、7曲だった、もう少し多かったかも。作曲家にとっては、作曲時に特定のエネルギーを感じるもので、それには力がある。完成させようと引き込む力だ。

そして作曲家には完成曲に対する基準のようなものがあり、その曲がどうなるのか、大まかな感覚がある。そうやって私はModern Primitive の曲を選んだのさ。当時私にとって重要であったもの、当時の私を特定できるような曲をね。

音楽的にもテーマ的にも Flex-Able との繋がりが感じられます。何か同じ冒険色、ユーモアがあるというか。ミュージシャンも同じですよね、クリス・フレイザーが新しいバージョンの "Fast Note People" でもドラムを叩いてる。彼はオリジナルバージョンのこの曲でも叩いていますよね。Western Vacation のアルバムで。
(訳者注:Western Vacationは2010年にヴァイ先生のレコードレーベルからリリースされたアルバムのこと。詳細はこちら)

その通りだ。リサーチしてきてくれてありがとう!

ライナーノーツに「うなり声」のクレジットがキャシオピアとあります。これは誰ですか?
(訳者注:Marpran Cassiopeia Vai とライナーノーツに記載あり)

ペンブローク・コーギー犬を飼っているんだ。名前はキャシー。キャシーの鳴き声で「アルグラ」って言っているように聞こえるのがあって、それを言わせてみようと思ってね、キャシーの声をたっぷり録音したんだ。その音が気に入ってね、アルバムで聞こえるんだよ。

つまり、最新の "Ya-Yo-Gakk" という訳ですね。

ハハ、そうさ!

おかしな声といえば、"Lights Are On" にもクールな電子音声が入っていますよね。「注意して進んでください」って言っているような、まるでリスナーが車を運転しているような感じです。あれはいったい何なのですか?

それは面白い話なんだ。私が今日ここに運転してきたのは1985年製のNissan Turbo 300 ZX だ。私はあまり運転しないんだが。私がこの車を買ったとき、日産がデジタル表示のダッシュボードを創った最初の年で、「左側のドアが開いています」「ライトが点いています」「キーがイグニションに残っています」とか車が喋るんだよ。

それで、この曲を書いているときに、曲の元のタイトルは "Printed Spirit"  だったんだ、私がバークリーで学んでいた時のハーモニーの課題だったんだ。それで私は車を買った時にタイトルを変えたんだよ、ドアを開けた時の車の声が気に入っていたからさ。

それでネットで調べてみたら、私の車と同じ車用に創られた沢山の録音を見つけたんだ。それで、それを編集して使ってみたという訳さ。

他にもあなたはライナーノーツで "Upanishads" について、あなたがどれほどリディアンモードが好きかを語っていますが、モードの違いについて、リディアンがなぜ好きなのか教えてもらえますか?

ああ、現代音楽ではメジャースケールが使われているだろう。7音で調律された音階のことで、「メジャー」の響きはルート音に基づきそれに続く音階のことだ。そのメジャースケールを第二音から始めるとそれはドリアンスケールという。マイナースケールの6度の音を半音上げた音階だ。

第三音から始めるとそれはフリジアンスケールになる。第四音から始めればリディアンスケール、というように続く。そしてこれらのモードはそれぞれ、最初の音をベース音、つまり中心音だ、として使うと、そして呼応した音階を弾くと、他のモードとは完璧に異なった風味、調律、雰囲気がでる。

リディアンモードはメジャースケールの4度の音を半音上げた音階だが、私にとってはただたまらなくいいボタンをたっぷり押す感覚なのさ。

"Upanishads" はリディアンモードですが、シンプルにエキゾチックで東方の地域の音楽と言うのがいいですね。

そうだよ。

"Pink and Blows Over" が最後の曲ですが、この3楽章はスタイルも大きく変わります。最初の2楽章でジャジー・ジェームスがボーカルにクレジットされていますが…

ジャジー・ジェームスは第1楽章のシンガーだ。変わった子守唄のパートだ。そしてあのみだらなメロディに入っていく(笑)。ジャジーは私の友達で、素晴らしいアーティストだよ。彼女の声はこの曲にぴったりだったんだ。彼女がこれを歌ってくれてラッキーだったよ。

第2楽章はまるで13分のクレイジーな曲で、第3楽章は全く異なるサウンドです。まるで"lounge act" にステロイドを打って増強したような、あなたとバンドは弾きまくっていますね。

そうさ、それがバークリー・スペシャルなんだ!ああいったことを私たちはいつもやっていたんだよ。

あなたにデイヴ・リー・ロスのアルバムSkyscraperでの "Hot Dog and a Shake" のギターソロについて聞いてみたかったんです。あなたがパートを弾いた後で変わったブレイクがあるのですが、急にあなたがミスでもしたように演奏を止めるのですが、その後速弾きに戻ります。今なら編集されてしまうでしょうが、あれはあなたが意図的に残したように聞こえます。何だったのでしょう?

空白というのはメロディラインに輪郭を与えるような物なのだよ。私がここで休みもせずにひたすら話していると君は退屈して、たとえ私が宇宙の神秘を語ったとしても気にもとめないだろう。君はとても退屈しているからだ。私の言っていることが分かるかな?

つまり、何が演奏されているにせよ、空白がなければ単調になってしまう。空白というのはメロディにアクセントを付けることになる、だから多分そうしたんだろう。

あなたのトレードマークの1つが「しゃべる」ギターです。Eat 'Em and Smile では「しゃべる」ギターと「笑う」ギターをやりましたけど、新作でもやっていますね。あれはどうやって生み出したんですか?

私がフランク・ザッパと仕事をしていた時にやった2曲があって、"Story of the Jazz Discharge Party Hats, Part Two" "The Dangerous Kitchen" なのだが、その時に人間の声の模倣を始めたんだ。

全部を採譜してね。音の振動があるものなら何だってできる。でも音を読み上げたとしても、受け手の解釈によって結果どんな音に聞こえるかは変わってしまう。

え、採譜したんですか?難しいでしょう!

そうだな、とても難しいところがあるね。音だけではなくてフレージングを取り込まなくてはいけないから。人間の話し声には全ての音節に音があるんだ。でもその音は上げたり、句読点があったり、子音があったり母音が伸びたりする。

だから話し声を模倣するにはそういった全てのフレージングを心得ていなくてはいけない。音だけでなく、半音上げたりアクセントを付けるタイミングなども。だからとても難しいんだ。

"The Lights Are On" に面白いギターソロの部分があるんだ、私がマイクに向かって叫んでいるんだよ、怒ったようにね。それをギターで模倣したんだ。

あそこを聞くと、ギタープレイヤーが普通出したとは思えない音だが、自分が普段しないことを付け加えるにはいい方法なんだ。私はそういうことを常に求めているからね。私が普段はしないことだけれど、私が普段することにしてしまうんだ。(笑)