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ジョエル・ホークストラ 「公衆電話ボックスの中でギターの練習をしていた」

現在TSOで全米ツアー中のジョエル・ホークストラ(Whitesnake)が、メディアのインタビューに答えました。ギター初心者向けのサイトでしたので、自分がギターを習い始めた頃の体験談と初心者へのアドバイスという内容です。ギター中級者以上の方にも響くメッセージがあると思います。和訳してみました。

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あなたはどうやって音楽の道に進み、なぜギターに惹かれたのですか?

11歳のときにギターを始めた。両親はクラシックのミュージシャンだから、僕が3歳のときにチェロを習わせたんだ、7歳のときにピアノも始めた。基礎的なことはそこから学んだんだよ。その頃は正直に言って音楽は僕にとってどうでも良かった。その年頃って Star Wars のフィギュアで遊んだり、野球選手になりたいものだろ?

MTVが始まった頃にAC/DCをテレビで見たことが僕にとっての始まりだった。僕が初めて真剣にプレイしてみたいと思った楽器がギターだったんだ。僕がギターが欲しいって言うと両親は「何だって?」って反応だった。僕がピアノを辞めてどうしても他の楽器をやりたいって言ったから両親はショックを受けてたみたいだった。

始めた頃はどうでした?

最初、少しの間は義母のアコースティックギターで始めたんだ。基本の教則本で教えてくれる人のレッスンを受けてた。最初にE、F、Gを習って、楽譜を読む練習さ。先生の部屋にはサイモン&ガーファンクルのポスターがあって、ひまわりの種を食べてる人だった。僕はアンガス・ヤングになりたかったんだから期待はずれだったよ。

遊び友達にロックのリフを沢山知ってる奴がいて、「ワォ!それどこで覚えたんだよ?」って聞くと「モールで先生から習ってるんだ。どんなロックソングでも教えてくれるんだ。カセットテープを持っていけば、先生は弾き方を教えてくれるんだぜ」と教えてくれた。

それで僕はその先生からレッスンを受けることにしたんだ。これはギターを始めるのにとてもいいやり方だった。ただ曲を覚えるんだ。楽譜を読むのには少しだけ役立ったけど、僕はチェロとピアノからその基本は身に付けていたからね。

そういった最初のレッスンで最も役立ったものは何です?

ギターを弾く身体的なスキルを身に付ける上で、しっかりした動機になったということさ。まさに僕がやりたかったことだから。あの年頃では「自分を厳しく鍛えよう」なんてことには夢中にならないからね、楽しむことが目的で、それこそ僕がやりたかったことだったのさ。僕にはぴったりで、そういう意味ではあの先生は最高だった。

あのレッスンでもう1つ良かったことは、先生は決して何も書いて渡さなかったことさ。彼はただギターで弾いてみせるだけだった。だから家に帰って直ぐに復習をしないとレッスンは全く無駄になってしまうんだ。1日経ったら覚えたことは忘れてしまう。

僕はモールでのレッスンが終わって母が車で迎えに来てくれるまでの間、公衆電話ボックスの中でギターの練習をしていたのを覚えているよ。できるだけ早く曲を覚えてしまいたくて。素晴らしい教育法だよ、先生は単にめんどうだったからかも知れないけど、分からないだろ?おかげで僕はとても真剣に練習したんだ。

今ではそういう能力は棚上げにされているね。オンラインでタブ譜はあるし、誰かがYouTubeで弾いて説明している動画もある。でもそういうことが怠慢を引きおこしていると思うよ。

次の段階はどうでしたか?

僕の他に2人の友達が上達していて、僕らは音楽理論を学んで、本当にリードギターを弾けるようになりたかった。それで地元のバンドの男にレッスンを依頼したんだ。彼はT.J.ヘルメリッチで、彼は素晴らしいキャリアを進むことになる。彼はGITの講師になってブレット・ガースドとフュージョン アルバムを出すんだ。僕は幸運だったのさ。

彼は素晴らしい先生で、僕は当時12歳か13歳でギターを始めて1年かそこらだった。僕はソロを弾けたし、彼はソロを採譜して僕に教えてくれた。音楽理論、スケール、モードがどう役立つのかとか、そういった全てのことを教えてくれた。

彼のような教師がいたのは素晴らしいことさ。僕は大都市の出身じゃない、シカゴの郊外さ。始めて直ぐに彼のような教師に出会ったのはとても幸運だよ。彼ら2人のギター教師のおかげで僕はいいスタートがきれた。

テクニックを身に付けるのは難しくなかったですか?どこで苦戦しましたか?

それは個人差だよ。僕らは常に能力の限界を超えようとしているんだ。だから常に葛藤というのはあるものさ。早い時期に自分に何か確実に身に付くものを見つけるということが重要だと思う。僕にとってはそれが上手く行ったのさ。

僕はそれを僕自身の講師経験で生かそうとしたんだ。僕は20代の頃、多くの生徒を教えていて、生徒をギターに熱中させるものを探していた。その日の終わりに誰かが1時間練習していたとしたら、それが運指の練習になる。曲を練習することで指の練習をしているのさ、運指練習なんて本当はいらないのさ。

それにその段階では譜面を読む勉強なんて必要ない。プロのミュージシャンになりたければ最終的には必要だけどね。たとえそうだとしてもそこには疑問の余地があるよね、エディ・ヴァン・ヘイレンが譜面を読むとは思わないから。

ギターが上手くなる方法は沢山ある。ただ全ての人に共通して言えるのは、どれだけの時間を練習に注いだかということさ。上手くなりたければ、沢山練習するしかない。

そうする信念を持てるかということなのさ。誰しも熱中することを見つけてそれに時間を注ぐことは大切なことだと思う。1日の終わりに音楽演奏をしてすごすって最高のことさ。

生徒たちをどうやって励ましていましたか?

1日でも練習しないということは逆戻りすることだと言ってきた。ギターを始めて間もない頃に最も大切な事の1つは、継続性を身に付けることだ。今週は毎日20分練習して、3日休んで、次の日に1時間練習するなんてのはダメだ。そういう風ではうまく行かないんだ。

僕が生徒に言っていたのは毎日練習するということさ。たとえ2分だけとしても。そうすることで自分がギターをプレイすると自分に言い聞かせていることになる。たいていの場合はギターを手に取ることで、それに時間を割いて、2分以上弾くようになるのさ。

僕が生徒の親にしていた別のアドバイスエレキギターから習い始めることだった。(弦が柔らかいので)指で押さえやすいし、大きくないから全体を見やすい。ロックが好きなら動機付けには十分だ。

若い頃、人前で演奏するのにあがりませんでしたか?

最初のバンドでの初めてのギグで、僕は恐怖しか感じなかった。あまりに緊張して足を動かせなかったくらいさ!おかしなことだけど、ショウをやる前はいつだって少し緊張するものだけど、本番になると他のことは何も考えないんだ。自分が抱えている問題もショウの間は消えてなくなる。それがショウでプレイすることで最高にクールなことさ。今やっていること以外はどうでもよくなるんだ。

ステージ恐怖症はプレイしていくうちに消えていく。僕の友人ジェフ・ペート(Savatage, TSO)の言葉を引用しよう。「ミスったとしても自分が思うほど悪くはない。逆に自分が思うほど良いってこともないのさ」(笑)

ギターを始めた最初の1年で楽しかったことは?

Black Sabbath の "Paranoid" のリフを教えてもらったときかな。僕はあれを延々と弾いてたんだ。最初の週にはあれを毎日何時間もずっと弾き続けていたと思う。

パワーコードを習ったことも僕には大きなステップだった。家中にずっと音楽が溢れた環境で育ったから僕の耳は曲のリフを捕らえることができて、該当するパワーコードのルート音が分かったんだ。だからパワーコードを習ってからはもう止まらなかったよ。

初心者に対するアドバイスをお願いします。

好きな音楽をやるべきさ。そうやってヤル気になるんだから。ポピュラー音楽と音楽レッスンには溝があることがある。少なくともクラシックやジャズを学ぶ段階ではね。練習する限りどんな音楽をやったって構わないよ。

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ジョエルは2016年12月号まで Guitar World で毎月ギターレッスン コラムを連載していました。過去のレッスンも Guitar World の YouTube チャンネルで視聴できます。レッスンで使用したタブ譜も Guitar World のサイトに掲載されていますので、是非トライしてみてください。彼の凄いところは、この動画を見て YouTube に書き込まれたギターキッズのコメントに返信しているところです。彼のこういうところには本当に頭が下がります。