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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

ミュージシャンがフォロワーの数で判断される?

Img_0022楽しみにしていた今月の Young Guitar! 彼らは私の期待を裏切ることなく、Generation Axe を表紙にする他、28ページもの特集記事を掲載してくれた!ありがとうYG!今週はYGを読んで思ったことを好きに書いてみました。

ザック、ヌーノ、トシン 3者座談会

特集記事はライブレポ+ザック、ヌーノ、トシン3者座談会+機材レポでしたが、中でも座談会の話題はなかなかに興味深かった!

現在のギターキッズが成功するのが以前と比べて環境的にどうかというテーマでは、ヌーノの話に驚きました。優秀な女性シンガーが有力者にデモを聞いてもらおうとしたら、フォロワー数を聞かれて、それでお終いだったという話 「今やミュージシャンは音楽でなくネットでキャリアを築いていかないといけない」 のか?

確かに、ツイッター界では海外のミュージシャンで明らかにフォロワー稼ぎのフォロー&リムーブを繰り返す人も多く見かけます。そういう手法だけではフォロワーは増えないので、今のバンドはウェブ・マーケティングも出来ないといけないのです。これが上手い人には簡単便利な世の中ですが、そういう音楽外の能力が要求されるミュージシャンも大変です。

音楽ではなくフォロワーの数で判断される世の中もおかしいと思うし、ヌーノの否定的な受止め方には共感したのですが、ザックが現代の良い点を挙げて前向きだったところは意外でした。

確かに、レコード契約が無くてもYouTubeで世界中に音楽を発信できるし、iTunesで販売もできるし、レコーディングだって昔とは比べ物にならないくらいの安さで自宅にいながら高いクオリティの録音が可能な時代。

ザックもトシンも現状の悪い点を悲観するのではなく、ネットの利便性をポジティブに捕らえているところに適応力やしなやかな強さを感じました。

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ニタ・ストラウス

Generation Axe から続いたYGの特集は The New Generations で次世代のギタリスト特集でした。

これもなかなか興味深い。ヴァイ先生が推すダニエレ・ゴッタルド、プリニが取上げられているところもなるほどでしたが、私が注目している若手女性ギタリスト、ニタ・ストラウスとニーリー・ブロッシュのうち、ニタが入っていました!ニタちゃんは今年のLOUDPARKAlice Cooper Band として来日します。

Img_0028YG発売日前にニタちゃんが自身のInstagramで今回のYGに掲載されたことを写真付きで取上げ、コメントしていました。

「このページのギタープレイヤーたちを見て、この特集で私の写真があるなんて、驚きよ。これまでただ写真やタブ譜を見るために、この雑誌を何冊オーダーしてきたか分からないくらい。素晴らしいプレーヤーたちと共に掲載されただなんて感謝の気持ちで一杯だわ」

素直に喜びを語る彼女がキュートだったので、YG誌に掲載されていた彼女のリックのタブ譜の写真を付けてタブ譜が見たくてあなたがYG誌を注文していたかも知れないけど、今ではあなたが採譜される側よね!」とツイートしたら、彼女から返信が来て

「そこにあのタブ譜があるなんて知らなかったわ!ワォ、何てクールなのかしら!写真を送ってくれて本当にありがとう!」と喜んでくれました。

実にキュートな人。私が彼女のことを知ったのは Iron Maidens のライブビデオか何かを見た時でしたが、その時は確かに上手いけど、胸の露出具合にうーん、となっていたのでした。その後、オリアンティが脱退した Alice Cooper Band の新ギタリストとしてニタちゃんが発表されました。

当時の報道で知ったのですが、2015年の Monsters Of Rock Cruise で Iron Maidens のライブを見たキップ・ウィンガーが Alice Cooper のプロデューサーであるボブ・エズリンにニタちゃんを推薦したということだったのです。

SNSのフォロワー数などではなく、音楽業界の昔ながらのステップでこのビッグチャンスを手にしたニタちゃん。 Alice Cooper Band に入ってからは外見も露出控えめな、メタルギタープレイヤーらしい服装になり、きっちりとリードギタリストの仕事をこなしています。最近は We Start Wars という女性メタルバンドを結成し、本格活動も始まろうとしています。

彼女は若いのでSNSの使い方も上手いです。自分の近況をファンに知らせると共に、自分の考えや周りの人への感謝の気持ちも長文でしっかりと綴っていて、ポジティブなバイブを発信しています。

性格が良くて頭が良い人なんでしょうね、だからファンも寄ってくる。それゆえか、このステージのギタープレイヤーとしては多めの10万超のInstagramフォロワーがいます。

多数のフォロワーがいるので、エネルギー飲料、化粧品、食事サービス(ダイエットに成功してからは食生活にも気を配っているよう)などのスポンサーも付いているよう。ミュージシャンの恋人(初インスト曲"Pandemonium"のビデオでドラムをプレイしています)はカジュアル衣料品ブランドを立ち上げ、彼女やジョニー・デップがその服を着ていたりします。

ニタちゃんはネットとの親和性が高く、正にニュー・ジェネレーションのギタープレイヤーという気がします。

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The Dead Daisies

私がチェックしている範囲でSNSの使い方が優れていると思うのは The Dead Daisies 彼らには専任のプロPRがいるのは明白。アーリーステージにあるバンドのSNS使いのお手本は彼らでしょうね。音楽が売れない時代、普通のバンドではプロの専任者など資金的に雇えませんが、なぜ The Dead Daisies はそんなことが出来るのか?

オーストラリア出身の知人によると、バンド設立者のデイヴィッド・ローウィーさんはオーストラリアで知らない人はいないほどビッグな百貨店(他多くの事業)のオーナーだそう。

ビッグネームではないバンドのツアーと言えば米国や欧州では過酷なツアーバスですが、 彼らが要所でプライベートジェットを使えるのはそういう背景があったのですね。資金のあるバンドだからこそ、ミュージシャンが音楽に集中できる環境を用意できるし、プロのPRを雇ってSNSとウェブマーケティングも戦略的に展開できる。

彼らは積極的にミーグリをやっていますが、全て無料です。ミーグリでファンからお金を取るなんてことはしないというのがデイヴィッドさんの信条のよう。こういうカッコイイ信念を貫けるのもミーグリからの収益を頼る必要がないという資金事情が背景なのでしょう。

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次世代のアーティストは音楽的才能はもちろん、ネットを駆使できるクリエイティビティも必要で競争が激しく大変な時代ですが、その分、才能さえあればレーベル契約に頼ることなく、自分が作りたい作品を作り、プロモートできる。悲観するだけでなく、状況に適応して賢く活動することが必要なよう。もちろん音楽が最重要であることは変わらないと思いますが…