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スティーブ・ヴァイ 講演 @ Starmus 万物の創造的衝動が世界を変える

スティーブ・ヴァイが6月18日、ノルウェーで開催された第4回 The Starmus Festival でゲストスピーカーとして登壇しました!The Starmus Festival は科学と芸術の理解を一般に深めると共に称えようというフェスティバルで、科学者、作家、ビジネスリーダーらが登壇する講演会やコンサートが行われます。

このフェスティバルのメンバーであるDr.ブライアン・メイが今年参加できないために、ヴァイ先生がメイ氏の依頼を受けて登壇しました。なお、20日と21日の夜にはフェスティバル会場でコンサートも開催されました!

ヴァイ先生が登壇した18日の講演、タイトルは "Creative Manifestation" 、講演ビデオから主要な部分を和訳してみました。ヴァイ哲学の集大成のようなスピーチで、ヴァイ信者は必聴必読です。

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「インスピレーションの質」とは何か。それは自分の頭の中の思考の質のことだ。思考には2種類ある。

その1つはクリエイティブな洞察で、それは我々の内側から湧き上がるものだ。思考ですらない。それは「これだ!」という瞬間に湧き上がる。あなた方にも分かるだろう、それは興奮と共に湧き上がる。我々は皆、興奮の感情がどんなものかは分かっている。それは微かなときもあれば、強烈なときもある。でもそれらは常にあなた方のポジティブな価値観を内包しているのだ。

もう1つの思考は反復的で大抵はネガティブだ。我々の頭の中にある思考は殆どがエゴに基づいた認知によるものだ。ここでエゴという言葉を定義しよう。私は精神科医ではないから私の考えでの話だが、エゴというのは我々を分断するものだ。我々が持っている思い込みの仕組みであり、我々の心の反応の仕組みだ。我々の心の中で批判する性質の部分だ。思考の大部分は反復的で過去の出来事に基づいている。それによって我々の認知やアイデンティティも形作られているのだ。

エゴによって我々のアイデンティティは形成される、自分は何者かというように。それは名前も含めて、自分に何が出来、何が出来ないかということも。この思考は我々を激しく制限しており、我々はこの思考の元ではクリエイティブになることができない。しかしながら、我々が持つエゴに基づく認知を世界にもたらすとき、エネルギーを内包している。これは世界を見れば簡単に見つけることができる。我々のエゴが世界にもたらしたものを考えればいい。

その一方で我々には別の面がある。完全なるひらめきの状態だ。そこには思考がない。それは万物の創造的衝動であり、あなた方の体の中に流れようとしている。クリエイティブでユニークなひらめきはそこからのみ湧き出て、あなた方を通じて世界へ生み出されるのだ。新鮮で新しくポジティブなものがね。

それでは、どうやったらその状態になることができるのだろうか?先ほど言ったように、頭の中の思考によって私たちは世界を認知している。興味深いことに、2つとして認知がほぼ同じということはない。1人のスティーブ・ヴァイがステージに座っているが、1,500人のあなた方もスティーブ・ヴァイとしてステージに座っているのだ。これでは音符が多過ぎるな。(笑)つまり、あなた方も私と同様にそれぞれが異なる認知を持っているのだ。

全てのモノはあなた方の思い込みの仕組みを形成している。あなた方が見たものを真実と信じることでそれは現実になるのだ。そしてエゴというのは、それがもたらす認知によって見方を変えることを困難にするものだ。例えば戦争は基本的にエゴのぶつかり合いだ。エゴというのは面白いもので間違っていると証明されることを嫌い、最後までそう証明されないように抗うものなのだ。これも世界を見てみれば実に明白なことだ。

Vai_starmusさて、ではどうやって我々はユニークでクリエイティブな思考にアクセスすることができるのか?その答えは現在のこの瞬間に静寂を見つけることにある。基本的には思考を止めることだ。頭の中でいつも囁いている声、批判し評価し、いつでも回答を持っているような声。常に批判し、自分及び他人に対し苦悩を引き起こしているものだ。

感覚を研ぎ澄まし、思考の無い、自分の中のある次元を見つけ、今この瞬間の静寂に向き合うことだ。この思考の無い集中した状態というのは禅の状態とも言えるかも知れない。まず最初のステップは自分の頭の中の思考を認識することだ。なぜなら殆どの人は頭の中の思考が自分自身だと思いこんでいるからだ。しかし思考は常に変化しているのだ。

深層にある本来の自分自身にアクセスするには思考の無い認知した状態が必要で、これはアインシュタインも話していたことだ。彼が最高の解答を見つける時、彼は自分を静寂に置いた。静寂というのは身体と心にある。静寂とは思考の無い認知だ。そしてそれは今この場ですることができる。実のところ、今この瞬間にのみできるのだ。なぜなら今、それだけが存在しているからだ。

過去と未来は人間の心の中にのみ存在しているものだ。現実にあるのは今だけなのだ。もし今この瞬間に思考の無い集中をすることができれば、それは万物の創造的衝動に自らを繋げたことになるのだ。なぜなら、あなた方のクリエイティブな衝動が沸き起こるのを阻害するのはエゴによる世界の認知だからだ。

この思考の無い認知の次元にアクセスしようとすると、実に興味深いことが起こる。こうして頭の中には様々な騒々しい思考がある。しかし、思考の無い集中をしてみると、その瞬間これらを追い払うことができるのだ。私がいったい何を話しているのだろうと思うだろう。思考しなければ自分は存在しないではないかと。私はあれは逆だと思うのだよ、私が存在するから思考するのだと。

他にも思考の無い認知の次元にアクセスしようとすると、即座に頭の中に思考がやってくるのに気付くだろう。エゴは話すのが好きなんだ。他に恐怖の感情が沸き起こる人もいるかも知れない。これもエゴなんだよ。思考をシャットダウンすることは皮肉なことに死ぬことでもあるから、そこからこの恐怖が来るのだ。

しかし認知の革新を起こすことは、人類にとって次のステップなんだ。思考の無い認知のステップを経てそれを行動に移すことだ。それは刺激を受けた質の高い行動だ。思考、言葉、認知そして実行。なぜなら我々は何千年にも渡ってそれを実行してきたのだ。人々の心の集合体は強力に社会、信条、宗教、政治を形作ってきたのだ。これこそが我々の思考の集合体のやってきたことだ。こうしてその結果を現実として脳に刻み込んできたのだ。

しかし現在という瞬間には思考がないからそこにアクセスすることができるのだ。真実と現実には信じるかどうかの入る余地はない。信じることには一方で信じないことが入り込む余地がある。真実には信じるかどうか、また意見が入り込む余地はないのだ。だから真実には高度な集中をもって思考なしでアクセスすることができる。これは人生で非常に重要なことで、その瞬間にしかできない。それはただ一つの全人類が望むこと(心の)平和なのだ。

あなた方の人生を惑わせているのは頭の中の思考なのだよ。この思考の無い認知の次元が深まると実に見事なことが起こり始める。初めて見るものを見るようになり、初めて見る色に気付くだろう。初めての味に気付くかもしれない。ただ必要なのは今この瞬間に集中することだけなのだ。そうすれば創造のレシピを世界に示したも同然なのだ、「私はこれを創りたい」とね。どうしたら、と考えることではないのだ、ただ何をしたいかを考えるのだ。

その静寂の状態に辿り着いたのなら、急ぐことはない、ただ待てば良いのだ。そうすればそれは自然と湧き上がってくる。その静寂はそれ自身がさらに長く深いものになる性質がある。これがあなた方の人生での最も重要な責務だ。なぜならこれこそが世界を変えるもので、今もそれは進行している。今、あなたに起こっているのだ。そしてあなた方の認知が変わることによって世界は変わるのだ。

世界を変えるのにどれだけの人がその状態になる必要があるのか、それはあなたたった1人だ。私は多くの人に話しているように見えるが、実はあなた1人に対して話しているのだよ。なぜならあなたは意識の中で皆に繋がっているからだ。あなたがそれを皆と共有するとき、その高まりが分かるだろう。これがアインスタインの唱えた統一場理論だ。人間の認知意識、その集合体が現在の認知のレベルに高まれば、想像できないことはもはや想像できないだろう。あなたの身体から湧き出る創造性が世界に放たれるのだ。これで私の話は終わりだ。

いやー、難しかった。訳すのも理解するのも。まだ理解は半分くらいなんですけど(汗)
ここに先生の教義極まれりという感じでしたねぇ。

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ヴァイ先生は20日には Trondheim Symphony Orchestra とコンサート共演しました。ゲストでデヴィン・タウンゼント、ヌーノ・ベッティンコート、グレイス・ポッターが参加しています。

21日にはヴァイ・バンド(+キーボードにデレク・シュレニアン)をハウスバンドにして、前日と同じゲストが登場してのコンサートとなりました。当日のセットリストはこちら

この日の目玉はデヴィン・タウンゼントとの20数年ぶりでのVAI名義 "Sex And Religion" アルバムから "Here And Now" の共演ではないでしょうか。感激する方も多いハズ。こちらでその動画が見れます。

フィナーレは全員での "Get The Funk Out" でした。意外でしたが、楽しい締めくくりにぴったりだったかも。