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エリック・マーティン 「デイヴの後任だなんて、とんでもない重責だ」

MR.BIGがニューアルバム Defying Gravity をワールドリリースしました。エリック・マーティンがカナダのロックジャーナリストのミッチさんのインタビュー(7月24日付)に応えたのですが、昔の話で興味深いことを話していましたので、その部分を和訳してみました。

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Eric_2Van Halen からデヴィッド・リー・ロスが脱退した後、1984年か85年にエディ・ヴァン・ヘイレンから連絡があったそうですね。

僕の長年の友人がエディのギターテクをしていたんだよ。それで誘われて彼らの自宅へ行ってジャムしたり話したりしたんだ。そこでエディが僕のことを知って覚えていてくれたのだと思う。僕のアルバム "Eric Martin" をリリースしてプロモーションをしていた時だ。家に帰ると留守電が入っていたんだ。

「エディ・ヴァン・ヘイレンだ。君に話がある。Van Halen のオーディションの話だ」

当時住んでたアパートの部屋でものすごく驚いて興奮したよ。また電話するって話だったから、探偵みたいにテープレコーダーを用意した。(笑) 数日後に電話で話した。まだカセットがあるんだ。

「やあ、エディ・ヴァン・ヘイレンだ。君の声が気に入った、君のアルバムは嫌いだけど。こっちへきてオーディションを受けて欲しい」

僕なんて緊張して(自分の声真似の高い声で)、「光栄だよ、ありがとう。そうだよね、僕のアルバムはクソだよね」ってもう、ただの変なファンみたいでさ。

ニール・ショーンとサントラの仕事がLAであって (映画 Teachers "I Can't Stop The Fire")、プレミアの仕事も終えて、ニールと帰りに空港でサミー・ヘイガーと会ったのさ。それで Van Halen のオーディションの話になって、サミーはオーディションに「俺が合格したと思う」って自信ありそうに言ってたんだ。この時に3人で撮った写真はまだ家にあるよ。

僕は怖気づいてしまったんだ。デイヴの後任だなんて、とんでもない重責だ。自分の中では、僕の方が上手く歌えるって思う気持ちもあったけれど、全く違うタイプのシンガーだ。デイヴは完璧に Van Halen にフィットしてた。彼はショウマンで素晴らしいフロントマンだ。歌もトークもできる。一方、僕はロック&ソウルのシンガーだ。とても僕には務められないと思ったのさ。

あれは雨の日だった。エディに僕にはできないって断ったのさ。彼は電話口で怒っていたよ。

「おい、どうしたんだ。俺の家に来い、できないってことないだろう」

今でも思うよ、もしあの時断っていなければ、もし最終的に合格していなかったとしても、凄い勲章が僕の名に付いていたんじゃないかって。実際は僕はやらなかったんだ。

でもいいんだ、その数年後にビリーが僕に電話してきてくれて、僕はロックバンドに入り、自分自身がオリジナルシンガーになれたんだから。

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エリックが TOTO のオーディションを受けた話は読んだことがありましたが、Van Halen に誘われていたとは知りませんでした!ロック界は狭いですね~、同じく Van Halen に誘われ、その後デイヴと一緒にDLRをやったビリーとその後 MR.BIGをやる訳ですから。

リックのインタビューでは他にも興味深い話が聞けるのですが、

その1) パットの病状を受けて MR.BIG のツアードラマーには素晴らしいドラマーであると同時に歌えるディーン・カストロノボ が当初の第一候補だったそう。彼も一度は承諾していたが都合がつかなくなり断られました。それで次にケニー・アロノフを考えたそうですが、ビリーの推薦でマット・スターに決まったそう。

その2) 「もしビリーと僕の衝突がなければポールはバンドを辞めることがなかったかも知れない。もし皆で MR.BIG を続けていたら、僕らは Bon Jovi ではないかも知れないけれど、それくらいビッグなバンドになれた。でも僕らはあまりにも長くシーンから離れてしまった。それはビリーと僕がきちんと話し合わなかったから」

これを語ったエリックの声には過去を乗り越えつつも後悔の念が伺えました。再結成後は出直している感覚だそう。

その3) MR.BIG の Actual Size 製作時、ビリーはスティーブ・ヴァイとツアー中で、前作よりもハード&ヘヴィな音楽を作ろうと毎日電話して言ってきていたが、リッチー・コッツェンとエリックはその時 "Shine" などAORポップ色の濃い曲を作っていた。

あのツアーでヴァイ先生の音楽をプレイしていたビリーなんだからそういうモードになるよね。リッチーと意気投合していたエリック側とはそりゃあ話が合わないでしょうよ…