Stay Together

Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

G3 サトリアーニ、ペトルーシ、コリン トークセッション 「喜んで互いに知識をシェアし合うんだ」

2/7に今年のG3によるトークセッションがNYからライブ中継されました。冒頭で音が出なかったり、途中で配信が切れたりとトラブルがありましたが、3人揃ってのトークは珍しく、興味深い話が聞けましたので、一部概要を和訳してみました。

=======================================

君たちにとって今でもチャレンジだと思うことは?

フィル:曲やアルバムを作ることだな。足りないものを完成させていくのは、まるで巨大なジグソーパズルをしているような感じなんだ。そこが一番ワクワクする部分だね。多くのものを吸収して刺激されると、それだけ多くのものをアウトプットできるんだ。僕の iPhone はジャムやら曲の一部やら山のようなアイデアで溢れている。ただそれらに取り掛かる時間がないんだよ。

サッチ:私もそれに賛成だ。作曲が私にとって最重要だね。私はいつも感情を伝えるメロディを探求しているんだ。それはまるで目で見て触れるように感じるんだ、いつもそうやって自分を駆り立てて完璧なフレーズの探求を続けている。そして曲ができたらそれを表現するために自分で弾き方を考える、そこでテクニックが必要になるんだ。

ジョン:スタジオで思い通りの音楽を作ることもチャレンジだけど、毎晩のライブパフォーマンスで曲が求めるような完璧なプレイができたかというのがチャレンジだね。勝ち負けのようさ、上手くできた日もあれば、イマイチだった日もある。そんなときはその理由を考えるのさ、睡眠不足なのか、朝ベーグルを食べたのが原因かとか。とにかく毎晩継続して高いレベルのパフォーマンスをすることがチャレンジだ。

ジョー、君はサミーとグレンの両方と仕事をしたことになるけれど、どっちの話が面白い?

サッチ:それは難しいね。2人ともリードシンガーだから、黙っていることができないんだよ。サミーはあらゆる話をしてくれる。グレンはよりアーティストタイプだから、時々独り言なのか何かよく分からない時があるね。(笑)

ジョン、君のプレイにジョーの影響はあるのかな。特にジョーの初期のアルバムから。

ジョン:分からない?もちろんあるさ!ジョーのアルバムを初めて聞いた時には、彼のギタープレイだけでなく、曲にもすっかり圧倒された。この会場には俺の妻も来ているけれど、結婚式で使った曲は "Always With Me, Always With You" だったのさ。

だから俺が初めて参加したG3はジョーとスティーブ・ヴァイとだったけど、その最初のジャムで俺が弾いたリックは意図しなかったのにジョーのだったと思うよ。それくらい影響を受けているんだ。今ではジョークとして、ジョーの気を引くためにわざとやってるけどね。(笑)

フィル、君はどうだい?Def Leppard は確立されたバンドだけれど、彼らのギタープレイを聞いてどうとらえた?

もちろん刺激をうけたよ。長年のキャリアの中で常に成長していくことは難しいけれど、G3ではいつも刺激しあい学ぶ姿勢があるんだ。ショウのある日、ジョーは練習するのとは違い、本当にウォームアップしているんだ。ショウの日はやりすぎてもやらなくてもダメだ。ジョーのは完璧なバランスだよ。常に成長していくというのはそういうことさ。とても刺激を受けていて、もっともっと上手くなりたいと思っている。

ブルーズ音楽というのは常に君の中にあったものなの?それとも君の中で近年発展してきたもの?

フィル:初めてギターを手に取ったのはリッチー・ブラックモアジミ・ヘンドリックスジミー・ペイジの影響だ。彼らはエレクトリックのブルーズプレイヤーでただ大音量でやっていたのさ。ヴィブラートではバディ・ガイアルバート・キングのような人たちから学んだ。だから僕がギターを始めるとすぐに手にしたアルバムは素晴らしいブルーズプレイヤーのもので、ブルーズはずっと僕の中にあったものさ。

君はギターキャンプを始めたね。少し話してくれる?

ジョン:今年も去年と同じ場所でやるんだ。ゲストプレイヤーが素晴らしいんだ。アル・ディメオラが来てくれる。トニー・マカパインにアンディ・ジェームス、それにまだ会ったことないけど、ガスリー・ゴーバンも参加する。

ジョー:彼は恐ろしいくらい上手いんだ。

そういった機会では君もまだ他者から学んでいるのかい?

ジョン:もちろんだよ。G3でもキャンプでもそうだけど、皆が凄くオープンで探求的で、エゴが邪魔することなく、喜んで互いに知識をシェアし合うんだ。G3でも多くの刺激を受け学んでいる。例えばインイヤーモニターの使い方1つでも、彼がやっている方法を試してみようとか。素晴らしい機会さ。

G3のツアーに出てしばらく経ったけれど、プレイするのが難しい曲は何かな?

ジョン:俺にとってはアルバム Suspended Animation の曲、"Damage Control" かな。クレイジー変拍子があるし、テクニックも要求される。とにかく集中力がいるんだ。

ジョー:"Damage Control" はステージの袖で聞いているとトラウマになるよ。彼のプレイを見て何かを学ぼうとするんだけど、とても緻密なんだ。しかもあれは彼がギタープレイヤーとして成し遂げたもののほんの氷山の一角なんだよ。

あれはプレイするのが難しいだけではなく、オーディエンスが聞いて楽しめるものなんだ。だからあれをうまく言葉で表現するのは難しいのだけど。でも毎回曲が終わる頃になると、冷や汗をかいて、楽屋に戻ってウォーミングアップしようかなと思えてくるんだ。(笑)

プレイするのが難しい曲ということだけど、曲にはプレイヤーの集中を要する部分というのがある。速いとか、変わった指のストレッチが必要だったり、変拍子だったり、エフェクターの切り替えでペダルダンスが必要っだったり。でも私にとってはシンプルな曲が難しいんだ。なぜなら、エフェクターや派手なテクニカルプレイでオーディエンスの気を引くことができないからね。

きっちりと完璧なテンポで、正しい音を弾く、それだけだからだ。だからシンプルなバラードほどとても神経を使う。それにショウでプレイしている "Supersutition" はハーモニーの要素がとても少ないんだ。だから毎晩私たちはそこに合わせて即興を加えていかなくてはいけない。"Highway Star" と違ってパートが少ない。不思議なことに、軽めの曲というのが実は難しかったりするんだ。

ジョン:ジョーがプレイするバラードは毎晩素晴らしく完璧なんだ。感嘆するよ。

フィル:ジョーの言うとおりだ。シンプルな曲、"Hysteria" のソロは口笛で歌えるようなものなんだ。とてもシンプルだけど、僕とヴィヴィアンがプレイするとき、毎晩どちらかがミスをする。なぜか、あれ?というところでミスしてしまう。

(オーディエンスの質問)ジョンにお聞きします。2nd ソロアルバムの予定はありますか?

ジョン:やだなぁ、その質問はいつも聞かれるんだ。曲はあるし、ライブでプレイすることもあるからいつか出したいと思っている。でも Dream Theater のツアーやアルバムの制作なんかで時間をみつけるのが本当に難しいんだ。

ジョー:言い訳は要らないよ。

ジョン:まぁ、言い訳ばかりだけど、いつかやるよ、素材はあるんだ。G3ツアーが終わったら Dream Theater の方はスタジオに入るから2019年の前半にはニューアルバムをリリースする予定だ。次作は前作のようなコンセプトアルバムではなくて俺たちらしい超絶クールな作品になる。

(オーディエンスの質問)ジョーに聞きます。ギタープレイヤーへのアドバイスをお願いします。

サッチ:前半に話したような粘り強く真剣に練習して技術を磨くということに加えて、私自身も音楽ファンだから、その人独自の物語を伝えるような音楽が聞きたいんだ。その人の人生からのね、それが私にとっては全てだよ。だから決して誰か別の人間になろうとしてはいけない。

君自身が自分の人生を語るんだ。なぜなら誰もが人生とは何かを考えていて、何か助けになるような他人の考えを聞きたがっている。だから君はそれを理解して、私たちミュージシャンは人々のために音楽を作っているんだ。彼らが人生の中でその音楽を使えるように。だからそのコンセプトを理解しなくてはいけない。

音楽を作るというのは君が何かをギターで成し遂げるというのとは違う。それはミュージシャンになるということのとても小さな部分に過ぎない。大きな視点でみれば、音楽というのは私たちが人生を過ごしていく中で使われるものだ。だからそれは何かについてのことでなくてはならない。君が持つ最高の武器は君自身がとてもユニークであるということだ。それをすべてに注ぎ込むんだ。そうすることで、皆が君を認めるだろう。

===========================================

最後のサッチのアドバイスがもうさすが!というお話で感動しました。G3で来日して欲しい!

G3_2018_2