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リッチー・コッツェン 「ギターは俺にとって白いキャンバスなんだ」

ソロツアー中のリッチー・コッツェンがカナダでメディアのインタビューに応えました。セットリストに関して、旅先で出会った変わった食べ物、愛器のテレキャスターについてと、興味深かった部分を和訳してみました。

リッチー曰く、1月公開のニューシングルMVに続いて、6月には新曲を公開するそうですが、既に3曲目のシングルの準備も進んでいる様です!

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ツアーの調子はどうですか?

とてもいいよ。去年はビッグなツアーをやって、アルバムのサイクルを終えたところだったから、今年は何をしようかと思っていたんだけど、ライブのオファーが入ってきたんだ。それでまず北米を周って、今はソロで初めてのカナダツアーだ。

ツアーは半分ほど終えたところで、この後ヨーロッパへ行って2ヵ月程のツアーに入る予定だ。ヨーロッパでは沢山フェスティバルに出て、国へ帰ってからは西海岸を周る予定。忙しくしてるよ、ニューシングルのビデオも少し前に出したし、この後も数曲リリースの予定だ。

あなたには21枚ものソロアルバムがありますが、どうやってセットリストの曲を選ぶのですか?

いい質問だな。皆が聴きたいと思っている曲を選んでいる。だからいつもセットに入っている曲はある。例えば "Go Faster" はいつもセットに入っている。難しいよな、俺には曲が沢山あるから。ファンから「あの曲が好きで」って曲名を言われても、何だそれ?となって、歌を聞いて、「ああ、俺が書いたんだった」となる。

それと、俺たちのバンドはトリオだから、このバンドで展開しやすい曲を選ぶ。このツアーでは初めて演奏する曲もあるんだ、"The Road" という曲さ。随分昔のシングル "Angry Boy" も暫くプレイしていなかったけど、今回のセットに加えた。セットリストというのは、俺が何をプレイするかっていうアイデアなんだ。その夜の俺の気分だったり、声の調子だったり、オーディエンスのヴァイブにもよって、その場で変わるんだ。

このバンドではセットリストが全く無いという時期もあったんだ。ただステージに出て、俺が曲名を言うだけさ。そうして1曲プレイすると、そこから次の曲に発展していくんだ。こういうのは面白いよ、このバンドは俺の作品を良く分かっているから。そういう時期が結構長くあった。バックステージで「今夜のオープニングはどうする?」「Bad Situation でいこうぜ」って感じで。彼らとはもう7年一緒にプレイしているんだ。

あなたの声の調子という話が出ましたが、あなたは1週間に6回もライブをやっていますよ。どうやってノドを保つのですか?

何日もオフがある方が調子が悪くなるんだよ。時折オフは必要だ、もちろんね。俺はライブを続けている方がいいんだよ。4日連続でライブして1日休みってのがノドにはいいんだ。1日ライブで1日オフ、それから2日連続ライブ、1日オフっていうのは嫌いなんだ。そういうのは俺のリズムが乱れるんだ。最高なのは3日ライブ、1日オフのリズムだけど、現実的にはそうはいかない。

あなたのボーカルスタイルはとてもアクレッシブだと思いますが、連続ライブでノドが痛みませんか?

分からないかも知れないけれど、俺はデカイ声では歌わないんだ。俺は自分の状態や感覚に注意している。ある晩、攻めの歌い方をしたら、翌日の状態を確認して、ノドに負担をかけないように難しくない曲にセットリストを変えたりもする。

でも大抵は、俺は正しく歌うことを学んでいるんだ。これはとても大切なことで、多くのシンガーが正しい歌い方を学んでいないがために声をダメにするのを見てきた。「正しい」というのは(発声時の)響きを置く場所、プレイスメントとブレスだ。プレイスメントはとても重要だ。ウォーミングアップも大切だ、それから十分な休養を取ることも。

去年のツアーでは声が出なくなったことがあった。ブラジルで乗ったバスの換気が不十分で全員が調子を崩したよ。ライブの前には1時間くらいのウォームアップをするんだけど、俺は歌えたし、85~90%の力で歌って問題なかった。

その後は日本へ行って、シンガポール、韓国、オーストラリアを周った。そこからドイツまでが長いフライトだったんだ。そこで鼻炎になって声が出なくなった。最初の3晩はどうなるのか分からなかった。そしてある時点で、ライブをキャンセルしなくちゃならなかった。

休んでから再開したけれど、声を失うというのは実に怖かったよ。俺の音楽は俺の声を中心にして創られている。俺はギタープレイヤーだけど、94年から俺が作曲している音楽というのは俺の声が中心なのさ。俺の声が出なければ、ライブは中止だ。

ちょっと変わった質問を。ツアー先で食べた最も変わった食べ物は何ですか?

食べなかったんだけど、最もクレイジーだったのはあれだな。何年も前、MR.BIGビリー・シーンと中国で夕食に出かけたときだ。俺の失敗だったんだけど、本物の伝統料理が食べたいって言ってしまったのさ。

そしたら、ボール一杯のから揚げにしたハトの頭が出てきたんだ。彼らはそれをポップコーンみたいに食べるんだぜ。次に出てきたのはボール一杯の鶏の足だったよ。腹ペコで死にそうだったのに、その夜俺が食べたのはライスだけだった。(笑)
日本では牛タンだな。ゴムを噛んでるみたいで、あれは不味かった。

楽器は何種類弾けますか?独学?それとも習いましたか?

ギターは2人の先生に習ったよ、子供の頃だ。俺は楽器は何でもやってみるタイプなんだ。俺の曲 "Walk With Me" はテルミンを聞いて、ソロを入れたくなってやったんだ。実のところ、どうやって演奏するのかも、何も知らなかった。それでテルミンを買って、まともに聞けるものをレコーディングするのに何日もかかった。

まぁ、俺は自分をギタープレイヤーでシンガーだと考えてる。キーボードは作曲に使える程度、コード進行上で即興のソロが弾ける程度にプレイできる。ベースについては上手いと言われたことがある。自分でもプレイするのが大好きだ。

ドラムは楽しいね。ドラムについてはいい理解ができてるんだ。シンガーとして俺は作曲時にどんなドラムビートなのか、即座に分かるんだ。メロディを書くときに最初に俺の頭に聞こえるのはドラムビートなんだよ。

Richie2017ギターは何本持っていますか?

本当に必要なギターは5~6本だと思う。でも多分家には150本くらいある。家の奥に長い階段があるんだけど、その階段と踊り場の壁にギターを掛けたんだ。多分30本くらい掛けてある。あとは地下に100本くらいかなぁ。要らないんだけど、どうしたらいいのか分からないものもあるんだ。

特別にアルバムカバーをペイントした2本とか。捨てられないよ、価値のあるものだろうし。俺は物に愛着を持つタイプじゃないから、普通の物は壊れたら捨てるけど、ギターやアンプはちょっと違う。俺がプレイしているテレキャスターはもう10年同じものだ。

これは俺のシグネチャーモデルで、誰でも店で同じものが買える。ただ、これはネックにやすりを入れてドロップDチューニングにしたもので、ずっと俺のメインギターだ。それと、ヴィンテージのアコースティック・ギターが1本あって、曾祖父のものなんだけど、まぁ数ドルくらいの価値だろうな。それからヴィンテージのテレキャスターがあるけど、4,000ドルくらいで大したことないな。

俺はあまりヴィンテージの楽器は持ってない、そういうのに価値を見出すタイプじゃないんだ。何を弾いて何を創り出すか、その方がずっと意味があるんだ、物を沢山持ってるってことよりもね。

ロック・スターぽくないですね。

俺は違うんだよ。ギターは俺にとって白いキャンバスなんだ。俺はストラトが好きだよ、弾くとストラトって音がするし、まぁ俺の音だ。でもテレキャスターだと、まるでギターが目に見えなくなって、俺だけが残るんだ。その透過性がいいんだよ。

実に興味深いですね。 テレキャスターは以前、ブルース・スプリングスティーンThe Rolling Stones という感じのサウンド・イメージでしたが、今は John 5 も使っていますよね。

ああ、最高の例だよ。カントリー・ミュージシャンもテレキャスターを使ってるし、一方で John 5 はロブ・ゾンビでメタルをプレイしている。そして俺は自分の音楽をプレイしている、俺のは R&Bからハード・ロックってとこだ。テレキャスターにはとても多様性がある。

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言われてみれば、テレキャスを使っているミュージシャンの幅は意外に広いんですね。カントリーやポップスのイメージでしたが。テレキャスを弾くとギターが透明になるという感覚、リッチーと一体化するということなんでしょうねぇ。実にアーティスティックだわ~。

もう一つ、リッチーが来日したら、誰かが本当に美味しい牛タンを食べさせてあげて欲しい。ゴムみたいな牛タンの記憶でもう食べてくれないかしら…