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ロン・"バンブルフット"・サール 「僕が果たすべき義務の優先順位はオーディエンスにある」

Sons Of Apollo でツアー中のロン・"バンブルフット"・サールがメディアのインタビューに応えました。

マレーシアでの大冒険や音楽ビジネスへの取組、自動車事故後の苦難など、興味深い話が沢山ありましたので、和訳してみました。

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Ron_tky2017これまでに体験した最も大変な冒険は何でしたか?

冒険なら沢山あったね、退屈する暇なんて全くないよ!(笑) 今思い出したのは、2年前にマレーシアの大きな音楽フェスティバルでゲストとしてバンドと演奏したときのことだ。ショウが始まる90分前にプロモーターから、入国管理官がフェスティバルに来て、僕が演奏するのを認めないと言っているということだった。

どうやら3年前に僕がマレーシアで一緒にプレイしたバンドに何か問題があるようで、僕ら全員が「演奏不許可」のリストに載せられているようだったんだ。僕はこれまでに何の問題もなくマレーシアには4回来ているから驚きだったよ。

プロモーターが考え出した妥協案というのが、僕はプレイするが、誰も僕の名前や僕の以前のバンドの名前をライブの間中言ってはならないというものだった。それは構わない。でもショウが始まるというときに、プロモーターから「できれば姿を見せずに、ステージに登場せずにプレイできないか」と聞かれたんだ。

入国管理官がまだフェスティバルにいて、僕はプレイしてはならないと言って聞かないからと言うんだ。そんなのは僕にプレイをするなと言っているか、又は数千人のオーディエンスに悪いショウを見せろと言っていることだと、彼らに言ったよ。

僕は管理官に会って話そうかとプロモーターに言ったのだけど、彼らはそんなことをしたら、もっと事態が悪くなるというのさ。けれど終いには、僕が正しいと思うことをやってくれ、結果については対応すると彼らが言ってくれた。

機材もセットされ、いよいよショウが始まり、ステージに出ようとした直前に、「演奏したら逮捕されるかも知れない」と言われたんだ。僕が果たすべき義務の優先順位はオーディエンスにあるから、プレイしたよ。ライブの中頃には警官たちがステージの裏手に待機していて、僕の演奏が終わり次第に連行しようとしていたのさ。

プロモーターは僕の演奏する権利を主張して、警察をステージエリアから誘い出した。そしてショウが終わると、プロモーターが僕を捕まえて「直ぐに出るんだ」と待たせておいたバンに僕と僕のギアを押し込み、ホテルへ直行させた。1時間後、メッセージが届いて、僕はこの国から逃げなくてはならないかも知れないと言われたんだ。

彼らはドライバーを手配して、その夜のうちに僕をクアラルンプールからシンガポールに連れて行き、翌日シンガポールから出国させようとしたんだ。僕は一か八か、クアラルンプール空港から出国したいと彼らに伝えたよ。結果的には問題なかった。それ以降も何度も行っているし、素晴らしい友と音楽とドリアンとで楽しくすごしているよ!

人生とは1つの大冒険なのさ。驚きが止むことはないし、この先には最大の冒険が常に待っている。人生とは余すことなく生きるものなんだ。

最近「現在、世界最高のロック・ギタリスト16人」に選ばれましたが、人生で最低の状況からどう立ち上がったのか、あなたの物語を聞かせてくれませんか?

人生とは試練に満ちていて、それはテストなんだ。むしろテスト以上でそれを機会に、より賢く、より強く、より謙虚になり、周囲のことを理解するんだ。20年以上も前、僕はレコード契約の元でクリエイティブな権限が制限され、何年も収入がなかったし、曲に関する権利、レコーディング楽曲の権利の全てを失い、何も無かった。

諦める替わりに、僕は自分のレコードレーベルを作り、自分の楽曲をリリースできるようにした。そして他のバンドにも同じやり方を教え、自分で管理し、僕が陥ったような状況にならないようにしたんだ。

僕には取引する世界中の小売り流通業者がいたし、新たに成長しつつあった独立のインターネット流通業者と組んで、僕の音楽をテレビ番組やビデオゲーム、インディ映画に提供したんだ。そのとき初めて、僕は自分の音楽で生計を立てられるようになったんだ。

この過去の経験から、僕は自分の望みとそうでないこと、自分がやりたい(又はやりたくない)ビジネスの種類を学んだよ。試練はそこから学び成長して、自分が望む人生にするチャンスなんだ。

プロミュージシャンが音楽だけで生計を立てることは可能でしょうか?あなたは過去、そして現在どうやっていますか?

世界にとって価値のあるものを提供できるのであれば、それは可能だ。しっかりと、そして早く仕事をすること、多様性を持つこと、自分のすることに秀でていること、上手いだけではなく、特別であること、我々皆が持つユニークな才能を隠さないこと。自分の金融状態、ライフスタイルに対し賢く、責任を持つこと。他者から得ることではない、他者に与えることが重要だ。世界に自分が持つ才能を提供するんだよ。

事故の後遺症で脳へのダメージが残り、数年にわたって非常に激しい痛みに苦しんだとのことですが、当時のことを少し話してもらえますか?

あれは試練だった。僕は腕を上げることも、手のひらを閉じることもできず、話すのも遅くなり、認知力が限られ、常に激しく、止むことのない痛みに襲われた。けれど、心も肉体も精神も回復力があった。集中してそれらと協調し、治療プロセスに全力を尽くせば、望みはある。

僕は理学療法に全力で取り組んで、動作力を回復したけれど、激しい痛みは止まらなかった。医者たちは多量の投薬をしたから、少しばかり問題を隠したけれど、僕の全般的な健康状態は悪化していたんだ。

生きるのも辛い1年を経て、遂に効果的な治療を見つけたんだ。それは最も自然でシンプルな治療さ。僕は医者の処方する痛み止めを止めて、代わりに食事を変えた。糖と加工食品を摂取するのを止めると、炎症が治まり、痛みも治まった。そして人生を取り戻したんだ。自動車事故の試練によって僕はこれまでの人生で最も健康になり、感謝している。

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壮絶な闘病体験に絶句してしまいました。恐らく、痛み止めの為に多量の投薬を受けていた時期に自殺を試みたのだと思います。(昨年のソロライブ時に本人が語りました)その後ロンさんはガンが発見されて、ガンとの闘病もあったのですよね。数多くの試練を乗り越え、それをチャンスにより強く、より良い人間に成長する彼には頭が下がるとともに、強くインスパイアされます。9月の Sons Of Apollo での来日が楽しみです。