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映画「スパイナル・タップ」 ロックファン必見のあるある!

「あなたの ‟スパイナル・タップ・モメント” は何?」

海外のHR/HMアーティストのインタビューを読んだり聞いたりしていると、何度も遭遇した質問だ。 ‟スパイナル・タップ・モメント” ?とグーグル先生に訊いてみると、1984年にアメリカ公開されたカルト的人気のロック・モキュメンタリーなるものに行きついた。映画のタイトルで、架空のバンド名なんだな、ということは分かったものの、それがどういうことを指すのかは分からなかった。

そこで冒頭の質問へのロック・ミュージシャンたちの回答をチェックしてみた。

「ライブ中にギター回しをやったら、ストラップが外れてギターが客席に飛んでいった」

「ギターを弾きながら膝でスライドしたら、止まれずにステージから落ちた」

「後ろ向きに下がって弾いていたら、モニターに足を引っかけて転んだ」

等々のちょっと恥ずかしいステージでの失敗談が続々。「ライブでのとんでもない失態」を指す言葉が ”スパイナル・タップ・モメント” なのか?

ロック・ミュージシャンたちには一般常識として使われているこの言葉、おおよその意味は掴んだけれど、元ネタの映画を確認したいと何年も思っていたところ、何故か今頃になって日本で劇場公開するらしい。

なぜ今なのかはさっぱり分からないけれど、B級の香りがプンプンする予告編を見ながら、これは ”スパイナル・タップ・モメント” の疑問を明らかにしなくては、と思っていたところ、6月16日の一般公開に先駆け、幸運にも映画を見ることができた。

結果、腹を抱えて笑いながら、幾重にも張り巡らされた “ロックバンドあるある” を堪能することに。スパイナル・タップ・モメント” の疑問は映画に盛り込まれた様々な “ロックバンドあるある” ですっきり ”ガッテン” させてもらいました。(腹痛い) ”スパイナル・タップ・モメント” とはこの映画に出てきたようなシチュエーションの実体験を指すものだろうが、この言葉を使いこなすには、やはりこの映画は観ておきたい。

抱腹絶倒のライブシーンでは、バンドのフロント3人のパフォーマンス以外にも、ドラマーとキーボード・プレイヤーのカットでも、視聴者をクスクスさせる元ネタ香るシーン含め、 “ロックバンドあるある” がてんこ盛りなので、ロックファンには笑いのツボがノンストップだ。

この映画、数多くのロックバンドから集めた大量のエピソードを元に作られているのでは?と思う程、全編にリアル感がみなぎっている。(実際に、ビリー・シーンがこの映画のことをリアル過ぎるって言ってましたねw)当時のロックバンドに詳しい世代の人なら、全項目の元ネタ対応表も書けてしまうかも知れない。(笑)

もう一つ。今年4月にこの映画でベーシストのデレク・スモール役で登場したキャラがソロ・アルバムをリリースしている。タイトルは Smalls Change (Meditations Upon Ageing) 。(‟スモールも変わる、加齢を想う瞑想” とでも訳すのか、笑)映画公開から34年後にソロ・アルバム?参加アーティスト一覧を見てさらにびっくり。スティーブ・ヴァイジョー・サトリアーニ、スティーブ・ルカサー、ラリー・カールトン!!!何だこれ?

アルバムを聴いてみると、年老いたロック・スターの悲哀とジョークに満ちた楽曲を大真面目に豪華アーティストたちが演奏しているというもの。アルバムの日本盤が出たら、訳詞を読んでもうひと笑いできそうだ。アルバムからのシングルがMV公開されているので、映画を見てからチェックするとさらに笑える。

MVのクレジットを見ると、「このビデオは The British Fund For Aging Rockers (年老いたロッカーの為の英国基金)の助成金で作られました」とあるので、え?そういう団体があって、これはチャリティだからビッグネームが参加しているのか?と思い、ちょっとググってみると、更に笑える展開が。

どうやらこのアルバムはクラウドファンディングでできたようなのだが、寄付金に応じてもらえるグッズの一覧に、「デレクが The British Fund For Aging Rockers に寄付を求めて出した手紙のコピー」とか「デレクの元妻の弁護士からの送金依頼の手紙のコピー」とかがある!(笑)どこまでもロック・モキュメンタリー!この悪ノリぶりに脱帽!(笑)

Stp

スパイナル・タップ
6月16日(土)新宿武蔵野館他全国ロードショー
配給:アンプラグド
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