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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

リッチー・コッツェン 「俺がやることの90%は頭の中で聴こえるからさ」

9月から北米ツアーを開始するリッチー・コッツェンがメディアのインタビューに応えました。

ミュージシャン向けのサイトの為か、ギタープレイや作曲について詳しく語っています。インタビューの一部を和訳してまとめてみました。

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Rk_jpn17ミュージシャンの心得と史上最高のギタリスト

ミュージシャンとしてプレイするのなら、メジャーにしろマイナーにしろ、どのキーでもソロが弾けなくちゃな。特にハードロックの世界では別のスタイルでのソロを求められると急にギターを始めて半年みたいに聴こえるミュージシャンがとても多いんだ。イキがった迷惑な奴だよ、全く台無しだ。

ただひたすらAマイナーの狭いジャンルでプレイして、ずっとスクリームしてるだけだなんて、どうやったらミュージシャンが特定のジャンルでだけ上手くて、そこから外れるとそうでもなくなってしまうのか、俺には分からないね。1晩でロックプレイから(ジョン・コルトレーンの)"Giant Steps" を弾くようになれって言ってるんじゃないぜ。ロックからの程度というのもいろいろある。なのにそれもできないってプレイヤーはいるんだ。

俺はジャズ・ミュージシャンじゃない、ジャズのリックを真似るのは得意だけど、俺はジョージ・ベンソンにはなれない。誰だって彼のようなプレイはできないんだ。俺に言わせれば、彼は史上最高のギタリストだ、これで話は終わりだ。子供の頃初めて行ったコンサートがジョージさ、1週間後にはスティーヴィー・ワンダーがあった!俺はフィラデルフィアの郊外で育ったから、ラジオではR&Bとソウルがかかってた。だから俺はそういった音楽の影響を多く受けたんだ。

即興の鍵

即興の鍵は信頼だ。全ての雑念を振り払って、自分のできること、できないことを評価するのを止めなくちゃならない。恐ろしいだろうが、そうするしかないんだ。もし俺が耳に心地よいギタリストだとしたら、そうしているのは俺と楽器との感情的な結びつきだ

ピッキングがもっと正確だったり、もっとテクニックがあるギタリストなんていくらでもいる。それに俺のレガート・テクニックはさほど驚くようなもんじゃない。でもその全てがいいコードチェンジの上で結びついているかが重要なんだ。それが俺の魅せ方だ。俺はずっとアンサンブルで活きるタイプだし、その瞬間に入り込むタイプのプレイヤーだ。俺は4日かけて練り上げ、完璧に弾けるまで練習して、強烈なプレイで皆を驚かせるようなプレイヤーじゃないんだよ。そういうのには惹かれないんだ。むしろ誰かがそれをプレイしたのを観て楽しみたい方だ。

腰を落ち着けてひたすら練習するのはちっとも楽しくない、俺はクリエイティブなプロセスが好きなんだよ。ビリー・シーンは完璧な自己鍛錬型ミュージシャンの例だ。彼は何時間も完璧にできるまで練習する。彼についていく為にはマジで俺も練習しなくちゃならないって思わせるけど、俺はいつもバスケを見るか、何か他のことをやってしまうんだ。

音楽の核

俺の曲っていうのは、アコースティック・ギター1本にまで要約できる。俺の曲だけじゃなくて、全ての曲もそうであるべきだ。特に今のポップ音楽では、やたらプロデュースされた音楽に皆が慣れすぎちまってる。今のポップアルバムではありとあらゆるくだらない音や何かが入ってる。俺にとってはウザイけど、好きな人もいるんだろうな。とにかく、そういうくだらないものを全て取り除いたら何が残るかってことだ。

ギターかピアノ1本にまでそげ落としたら、本来の曲があったって気付くか、何もないってことになるかのどっちかだ。俺のライブでは、アコースティックのセクションか、俺1人で弾いて歌うところがある。時には全てそぎ落として、ただ曲をやるのがいいんだ。俺はギター1本の方が上手く歌えるようなんだ、音が良く聴こえるから。

自分のプレイの特徴

左手のプレイってのは俺にとってやり易かったからなんだ。俺がプレイするフレーズは親指と人差し指、中指でのピッキングの要素があるけど、その内側と前後にはレガート・プレイの要素がある。ハンマリング、スライドやプルオフなんかで、その組み合わせだよ。

オルタネート・ピッキングはできるけど、もっと滑らかで狡猾なフレージングのサウンドが好きなんだ。アラン・ホールワーズからきてるんだろう。実のところ、彼を聴いて「何だこれは!とんでもない!」って思ったのさ。アル・ディ・メオラや他のオルタネート・ピッキングのプレイヤーを見て素晴らしいと思ったけれど、同じようなサウンドのプレイヤーはとても多いと感じていた。まぁ、明らかにアルがオリジナルだ。

それから、シュラプネル・レコード出身のプレイヤーは皆が凄い右手プレイだったけど、俺はそういうサウンドには惹かれなかったんだ。俺は自然なスタイルのプレイヤーだし、指や頭でいいと思ったプレイを何でもやったんだ。それが1番さ、他の誰でもない、自分だけが自分のサウンドを見つけられるんだ。

フィンガー・ピッキングに替えたことで違う思考を自分に強いることになった、それが俺をプレイヤーとして成長させたんだ。音楽を感じ、本能的にそれを身体から引き出すことと、そうしないことの違いは分かる。文字通り、俺の身体から音楽がほとばしるライブ映像がネットにあるんだ。俺にはあの感覚が分かるし、パフォーマーとしてはあの感覚が毎回欲しいのさ!

作曲のアイデア

The Winery Dogs では "I'm No Angel" って曲を書いたが、面白い効果を狙って開放弦でベンドを使ったんだ。なぜそれを思い付いたのかは分からないけど、カントリーのリックじゃないのにカントリーのフィールがあって、ただ思い付いたのさ。こういう発想を身につけたら、そういうフィールが近づくのを感じるようになる。そうしたら後はその瞬間をつかみ取るだけだ。その場で取り組むか、後で発展させてもいいけど、少なくともアイデアを記録すべきだ。

俺のスマホには今のところ175件のボイスメモがある。曲になるアイデアはこういうメモを見直して見つけるのではなくて、いつだって頭の中にある。でも時にはこのヴァースに合うコーラスを考えてるときにそこから見つけることはある。

音楽理論よりも

正直に言うと、スケールでプレイを考えるってことは全くないんだ。ペンタトニックのボックスの方に親しんでいて、例えば急に詰まったときには、これらの形に助けられないか考える。困った時にはブルースに戻るんだ。ネックを眺めてイオニアンだとかそんなことは考えないんだ。ギターを弾くってことは正しい音を知るってことが大切で、それは半音上げるか下げるかってだけだ。どのキーがどんな感じの音かも知っているし、特定のコード上である場所に長く居すぎると、いい感じだったのが悪くなってしまうのも分かってる。

こうしたことの理論的な理由は知らないんだ。五度圏とかトライアドとかのことも。俺がやることの90%は頭の中で聴こえるからさ。俺はそれと同時に手をネックに置いてプレイできるんだ。頭の中に聴こえる音を俺は楽器で現実世界に引き出したい。俺にとってはそれだけなんだ。ダブルストップを使うにしろ、クロマチック・アプローチ・ノートを使うにしろ、それは結果なんだ。俺はここでは意図的に Bマイナー フリジアンスケールを弾こうなんて考えないんだよ。そんなこと考えてる間に曲は次のコードに進んでしまう。皆はそういうのにとらわれ過ぎなんだよ。

ライブでプレイできない曲

俺の新しいシングル "The Damned" を聴くと最初は凄く簡単に思えるだろう、ギターラインと同じものを歌っているんだから。でもそれは直ぐに変化する。それで今、俺は歌いながら弾けないんだよ。頭がこんがらがってしまう。ツアーに出るまでに自分の曲を歌って弾く方法を見つけなきゃならない!(笑)

ゆっくりと区切りながらやるつもりだ。そしてスピードを上げていく。分解して最終的にはスピードを上げる、それしか方法はないんだ。あと唯一の方法は、初めから歌って弾けないギターパートを書かないことだな、大変だ!(笑)

ミュージシャンと議論したことがあるんだ、ライブでプレイできない曲を書くってことについて。いつも思うんだよ、「これをライブでプレイできないかも知れない。アルバムを出す頃には死んでるかも知れないからな!」って。

それに俺は正しいって確信してる。スタジオに入って曲創りするときには、曲の為に良いのなら何でもやるべきだ。いつだって曲の為に最高の選択をするべきだ。例えそれでギターパートやボーカルが難しくなったとしても、練習してプレイする方法を見つけるんだよ。