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ロン・"バンブルフット"・サール 「ロックは死んじゃいない!大丈夫さ!」

いよいよ Sons Of Apollo の初来日ツアーが週明けから始まります。楽しみで仕方ありません。

彼らのUKツアー時に行われたロン・"バンブルフット"・サールのインタビューから一部を和訳してみました。音楽ビジネス全体について、ロンさんの見解が興味深いです。

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Img_3992Sons Of Apollo では各メンバーが音楽的影響を受けたバンドの要素を持ち込んだことが明らかですね。それらスタイルのミックスが上手くいかなかったりすることはなかったですか?

僕らは僕たちの音楽をやるだけさ。僕たちのプレイをして、僕たちのライティングをする。何かあるとしたら、それは真逆だと思う。どんなバンドにもありのままの自らの個性があるはずだ。バンドのメンバーは全員が独自の個性を100%貢献しなくてはならない。僕らに影響を与えインスパイアしたものとはその一部なんだ。

僕らのアルバムに関しては、リスナーに聴こえるのは僕らだけではなく、僕らをインスパイアしたもの、例えば Van HalenThe Who の瞬間が聴こえるのさ。僕らは最初から僕らの音楽をやっただけだ。

一握りの男たちが部屋に集まり、ジャムをしただけだ。「ワォ!そいつはクールだな。次にこのパートへ行ったらどうだ?」とか「いいじゃん!このパートやろうぜ!そしてちょっと戻るんだ!」といった具合に。そうして1日の終わりには曲がレコーディングできてた。とても自然に、考え過ぎず、直感に従ったんだ。

Guns N' Roses を経て今は Sons Of Apollo とは、控え目に言っても素晴らしい経歴ですよね。

いいや!僕はそういうことは考えないんだよ。僕が考えるのは「しまった!洗濯した靴下はあったかな?」とか「トイレ行かなきゃ!」とか「朝ごはん何にする?」とか、普通のことさ。今、目の前にある人生をすごしているのさ。

僕は過去を振り返って自分をねぎらうこともないし、責めることもない。僕らは Van Halen と同世代に生きた宇宙の塵の1つに過ぎないのさ。僕はそんなことは考えないし、全く何の意味もない。ただ今を楽しみ、人を楽しませ、命あるときに生きることを謳歌するのさ。

現在の音楽業界において、あなたは今、満足できる環境にいますか?

言えることは、僕らは素晴らしいレーベル Inside Out Music とやっているということだ。僕らはチームだし、始終話しているし、彼らはとても僕らを気遣ってくれる。レーベルがこうあるべきというお手本だよ。他のレーベルではそうはいかない。予算が無くてバンドが自己資金でレコーディングしてできたものを販売するようなところで苦しんでいるのさ。僕らの状況は違う。

要はこういうことだよ。このビジネスにはとても多くの進行する部分がある。機械の部品が沢山あり、多岐にわたる鎖がつながっているのさ。そのために簡単に悪い方向に行ってしまう可能性がある。何かが上手くいかなければ、それに関わっている多くの人が失敗してしまう。

それが音楽ビジネスを難しくしている元凶だよ。もしこれほどまでに多くのモノが絡んでいなくてシンプルだったなら、これほど困難で難しいことにはならなかっただろう。そのせいで皆が失敗したのさ。10%のいいことが起こるために90%は拷問に耐えるようなものだよ。

今回のツアーが Sons Of Apollo 全員での初めてのツアーですね?

ああ、全員がいびきに耐えてるよ!(笑)僕はバスのエンジンの音が好きだし、バスの揺れも、小さな僕の棺(寝台)も好きだ。熟睡できるよ。ずっとジョークで言ってるんだ。家の寝室に寝台を造って、このバスの音を録音しようって。大人のベビーベッドって呼んでるのさ。だって、バンドってのは子供の集まりだから。10歳の頃の自分たちになってしまうんだ。それが音楽の仕業だよね、子供の心を引き出すんだ。

現在のロック/ギター音楽全体の状況について伺います。状況は好転もしくは悪化していますか?

技術が変化することによって、新たなスタイルが生まれるだろう。そしてそれが新たなものであれば、音楽に関心を払っている人たちにとっては新たなスタイルとなる。それが彼らを代表する最新のものだと感じ、共鳴するんだ。

だから、確かに今はエレクトリック音楽が全盛だ。若い子たちが聴いているのはそれだと思う。でも、僕がウーバーを使っているとき、20代の子が運転していたりするのだけど、彼はオールディーズのチャンネルを聴いていたりして、理由を尋ねると、「今の音楽って簡単に浪費されるけど、これは本物だから」と言うんだ。

だから、もし皆が芸術を芸術として味わいたいのなら、それに実体と味わいを加えるだろう。もしギター音楽が死んだのなら、もしくは「実体のある音楽」と言おうか。なぜなら、その音を奏でるには楽器を弾かなくてはならない。そこで地球上のどこでもいいからロック音楽をやっている学校に行くと、多くの10歳の子供がイカした演奏をして、バンドをつくり、曲を書いているんだ。そこで分かるはずだ。「ロックは死んじゃいない!大丈夫さ!」ってね。

主流の音楽は金をつぎ込んでいるっていうことかな?まあ、それ程ではないのかも。多くの理由があるけれど、問題の1つは資金集めはかつて程ではないということさ。2つ目は今聴かれている音楽というのは最新のものではないということ。でもそれは決して消滅しない。だって今でもそれが実体のある音楽の最新の形態なんだから。ロックとメタルの後からやってきたのはエレクトリック音楽だけなんだ。ロックとメタルはまだ現在の音楽が到達した高みにあるんだよ。

クラシック、ブルース、カントリー、ジャズ、ロックンロール、クラシック・ロック、その多くは技術が進化することで変化しただけなのさ。ロックは死に絶える音楽なのか?いいや。人々が手に楽器を持ち、音楽を創り、自分自身の真の延長として自己表現をする限り死なないのさ。

Gibson の件(破産申請後、経営再建中)については驚きましたか?

変化ということなんだろうね。何と言っていいのか分からないよ。経済構造かな。今の音楽業界の経済からいって、彼らが築き上げてきたものを維持するのは難しいということなのかも。

全ての物には繁栄と衰退がある。また昇ってまた落ちるのさ。今はただ衰退のときが来ているのかも。だって少し前には誰も Les Paul を手に取らなかったことだってあったんだ。流行じゃないから。でもたった1つの素晴らしいバンドがあるタイプのギターを使えばそのギターは復活するんだよ。

プロのミュージシャンとしての活動を振り返って、誇りに思い、達成したという思い出を1つ挙げると何ですか?

難しい質問だ。(長い沈黙の後)そうだな、僕らの最近のライブから。両親と最前列でライブを観ていた子供が2人いたんだ。それで彼らにピックをあげたんだけど、そういうときかな。特に子供に何かをあげたとき。

初めて観たライブって忘れないだろう。ちょっとしたことでいいんだ。そういう機会があったら、ステージに上げたり、僕がフレットを押さえてるから、子供に弦を弾かせてあげたり。ピックをあげるとか、何か彼らを参加した気持ちにさせてあげること。そういう思い出は忘れないんだ。そういうことが出来るときは、僕も楽しんでいるよ。