11月2日にアラバマ交響楽団と共演したスティーブ・ヴァイが公演直前に地元メディアのインタビューに応えました。
長いインタビューでしたので、その一部を編集して和訳してみました。
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オーケストラとの共演であなたが最も音楽面で興奮することは何でしょう?オーケストラとの共演で最もロックンロールなことは何ですか?
(笑)五線譜を前に座り、100人のミュージシャンの全ての動き、全てのサウンドを支配できるんだ。音楽の言語を理解し、自分の内なるアイデアをその紙に記すことができれば、それはもう全ての瞬間がクリスマスの朝のように感じられるだろう。分かるかな?つまり、私はこれが大好きなんだよ。生涯やっていることだ。
しかし音楽を生み出すのは困難な仕事でね、時間がかかるし、譜面にして音楽を完璧にするのは大仕事なんだ。ミスが無いことを確認し、リハーサルに持ち込み、正しい音で演奏されなくては。それが一通りの仕事だ。
しかし、それぞれの段階にはハイライトがあるんだ。そうしてあるとき突然オーケストラが完璧な音を演奏し素晴らしいサウンドを聴かせると、次に私は自分のサウンドを調整し調整し、そして突然あのメロディを100人、80人のオーケストラと共に私はプレイするんだ。あれは実に奇跡のような感覚だ。
そしてロックンロールの面としては、音楽との繋がりを感じる瞬間にあるね。それは Generation Axe でステージに立つときもオーケストラと立っているのも同じ感覚だ。
作曲家としての私はコンテンポラリーでややアバンギャルドでもあるが、まぁそれで彼らは、"There's Something Dead In Here" (Flex-Able) をプレイする。とても分厚くて、無調とは言わないが、コンテンポラリーなサウンドだ。しかし、私は全音を意識したし、全てのコードの背後には意図があるんだ。この曲は私無しでオーケストラが演奏する。オーケストラとロックバンドさ。
それから "Kill The Guy With The Ball" はパワフルなオーケストレーションだ。それから "The God Eaters"。私がめったに演奏しない "Call It Sleep" なんだが、指揮者のカルロスがあの曲を演奏したいと言うんだ。とても嬉しいよ。だが、ステージに立って "Lotus Feet" を演奏するのは私にとって最高の時だね。
それにこのコンサートでは今までに数回しかやっていない "Fire Garden Suite" を全編演奏するんだ、実にクールだよ。"Bangkok" も含めて全てで13分ほどの楽曲だ。アルバム Fire Garden の曲だが、様々なメロディックな境地に誘い変化する曲で、オーケストレーションが必要だった。それで数年前にやったんだ。
2015年の Rock in Rio でのオーケストラとの共演映像を観ましたが、実にパワフルです。
あれに勝るものはない。あの映像は私も観たのだけど、音が良くなかったが、あれは最高の体験だったよ、8万人のオーディエンスを前にオーケストラと演奏したのだからね。
現在2018年において、複雑で速い演奏をギターでするのと、1音の大きく太いサウンドを弾くのとではどちらに満足しますか?
どちらもいいんだよ。私は予想もしていなかった何かが自分から生まれたときを一番楽しんでいるし、それこそが私のプレイの進化だと気付いたのだ。それはときには長く速いフレーズであり、ときにはただの1音だ。
Generation Axe でプレイした "Bad Horsie" のミキシングをちょうど終えたところなんだが、ソロセクションでの私のプレイは実に風変りで、いかにも"ヴァイ"なんだよ。あれを聴いて「これはどこで思い付いたんだ?なぜこのプレイをしたんだ?どうしたんだ?全く、とてつもなく奇妙で美しいじゃないか」と思ったよ。そういうのが大好きなんだ。
それはときには速いフレーズで、ときには1音に込められており、ただ特定の音に着地することだったり、ときには私がアームを握ってやる奇妙なことだったり、ときには大失敗も含まれるけどね。(笑)まあ、それは受け入れないと。
あなたがフランク・ザッパから学び、現在に至るまで、音楽において活用していることはありますか?
可笑しなことだが、私は当時あまりに若く影響を受けやすく、何が起こっているのか分かっていなかったのだよ。フランクと共にいた頃についてはいつも新しい発見があるんだ。それらは現在の私の助けになっている。
フランクから学んだことで最大のことは独立心だ。自分のキャリア上での取り組みにおいて独立心を持つこと。想像力を自由に使うこと。ビジネスの実践において流動性を持ち、公正であること、そして何時でも何かが起きるものであり、それを受け入れて進むこと。
Eat'Em and Smile アルバムを制作中にこれはヒットすると思いましたか?
世間が注目しているのは分かっていたよ。しかし、私たちが(デイヴの家の)地下で制作していたとき、そういうことは考えられない、どうなるのかなんて分からないのだから。「エドワードとどんなふうに比べられるだろうか?Van Halen 時代からのデイヴ、その彼の作品に期待する人々の期待に応えるクオリティのアルバムをどうやって創るか」そんなことを考え込んでいたら失敗するだろう。だから私はあらゆる期待を脇にやって、クリエイティブな瞬間に生まれる興奮に集中していたんだ。
"Shy Boy" みたいな曲をやっていると、これでいいと思えたんだ。「お前はヴァイでいい、それが最も安全だ。何か別のものになろうとすれば、ファンに見透かされるだろう。彼らはそういうものを1マイルも先から嗅ぎ分けるし、そういうことをするのは自分らしくないから自分でも楽しめないだろう」
自分自身でいるしか選択肢のない人はいるものさ。しかし、合わせる必要を感じる人はいるものだし、それはある程度は機能する。だが、自分の真の創造性と共鳴しないことに合わせていると、やがて最後には自分にうまく機能しなくなるんだ。たとえそれで多くの金を稼げたとしても。何かが欠けているんだ。
その例は私の個人的なもので言えば、私のソロ作品は私が在籍したどのバンドとも大きく異なるものだ。私はそれら全てに満足している。もちろん、経験から言ってもっと上手くできたこともあるが、私のオーディエンスは私がやるユニークな事を気に入っている人たちだ。一般の人たちには理解されないものさ。
私は広大な分野でのほんの小さな貢献者に過ぎない。しかしそんなことはかまわないのだ。一部の人にとって私の音楽は共鳴できるもので、彼らを満たすものだ。それは私にとっても満たされることなんだよ。
あなたが断った著名人のギグはありますか?
そういう機会はあったが、スケージュールが合わず断ったものはある。
誰のですか?
ミック・ジャガー、デヴィッド・ボウイ、ロバート・パーマー、Public Image Ltd、ジョン・ライドン、ロバート・プラント
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最後の質問の答えは驚きの名前が並んでいますね。
ヴァイ先生の楽曲をオーケストラが演奏するコンサート、日本でも開催されないものでしょうか。もちろんヴァイ先生も来日してオーケストラと共演して欲しいです。