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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

Angra ライブ@ Diamond Hall Nagoya 2018.11.05 「このバンドは俺の人生の正に一部だ」

3年ぶりの来日となる Angra 、前回との大きな違いはキコ・ルーレイロに代わって、ギターにマルセロ・バルボーザが入ったこと。キコさんの不在はバンドにとって痛いに違いないのですが、マルセロさんを得て、欧州北米とツアーして磨きがかかったであろう彼らのライブを観るのは楽しみです。

マルセロさんのことはキコさんの代役発表を聞いてからチェックしていたのですが、(関連記事はこちら)腕も立つし、インストではいいプレイを聴かせてくれている(彼のソロインスト曲はこちら)ので、彼のプレイを遂に観れるのは嬉しい。

今月は多くのアーティストの来日ラッシュとなっている中、月曜の名古屋公演。しかも前回よりも大きい会場というのはなかなかのチャレンジだと思っていましたが、やはり厳しい。開演の頃には6割~7割くらいになったので、前回の会場ならまずまずの入りだったと思います。

Img_angra2018

イントロが始まってスタートしたのは、前作 Secret Garden からの "Newborn Me" !新作でもなく、過去の代表曲でもなく、というのは驚きの選曲でしたが、ファビオ加入後の選曲に軸足が置かれても不思議じゃないと思い直しました。彼の声に合った曲が増えていくわけで、バンドは前進しているんだなと頷きました。上下黒い服のファビオ、喉の調子も良さそう、久しぶりに聴きますが、やはりいい声。しかも私の好きな曲。

マルセロさんは黒いベスト姿で長いドレッドヘア、ゴージャスな上腕二頭筋とダークカラーな Ibanez を構える姿が超カッコイイ!笑顔でこなす速弾き、ちょっと音が聴こえ辛かったけど、想像通りの凄腕だわ。

曲の中ほどアコースティック・ギターのパートではテンガロンハットを被ったラファエルが前回と同じくヤマハのサイレント・ギターでブラジリアンなフレーズを演奏、オーディエンスの歓声も沸きました。

新曲 "Travelers Of Time" も彼らの音楽性のオリジナリティ香る民族調なイントロ、続く力強いファビオの声といい、彼らの良曲。土台のドラムはいいし、ベースも聴かせるし、ギターハーモニーあり、ソロ分担あり、ラファはもちろん歌うしで、このバンドって実に全員野球。スターが一人引っ張るのではなく、技量の優れたメンバーそれぞれが貢献している感じ。いいバンドの形なんじゃないかな。

「ミンナニアエテウレシイ、ナゴヤ!日本に戻れて嬉しいよ」

とファビオの短い挨拶から "Nothing To Say" が始まると、一気にオーディエンスはヒートアップ。彼ら、南米のツアーではキーボードがいたように記憶しているのですが、日本までは帯同できないんでしょうね、その辺りは音源でカバー。

「次の新曲では皆に歌って欲しい、"Insania"」 

とファビオ。サビではオーディエンスも歌いましたが、少々力及ばずだったかも。曲のラスト、合唱が入るところを歌おうと、ファビオとラファの指導を受けました。

「いいかい、ここを皆で歌うんだ。心配しないで、絶対できるよ」

ラファのギター1本の伴奏とファビオのガイドボーカルに続けて合唱。曲の最後を合唱で締め、ファビオもOKしてくれました。

"Light Of Trancendence" に続いたのは "Upper Levels"。フェリペの6弦ベースのイントロが印象的な曲。前作 Secret Garden から何曲くらいやるのかも楽しみ。この曲も彼ららしい良曲。

そしてドラムソロの時間。前回は見事なソロを観て、若いブルーノの才能に驚いたのだけど、今回も期待どおりのパフォーマンスを披露してくれました。スピードとパワーとテクニックを魅せて楽しませる!バンドに加入して間もなかった前回よりもずっと自信に溢れて、益々磨きがかかったように感じます。今日はマルセロさんを観に来たのに、さっきから彼のドラミングの上手さ存在感にすっかり耳が半分持っていかれている感じ。いいドラマー見つけたね!

「"Arch Enemy" のアリッサ・ホワイト・グラズは知ってる?彼女は僕らのニューアルバムに参加したんだよ。"Black Widows's Web"」

とラファが言い、この曲やるんだ!ゲスト・ボーカル部分はもしや音源使うの?と驚いていたら、"Let me tell you ~" とラファが歌いだしたので、もっと驚きました。そうきたか!でも音源使うよりずっといいや。デスヴォイスはどうするんだろうと思っていたら、そっちはファビオが声音を変えてやっていました。

間奏セクションにギターとベースの3人がフロントに並んで弾くシーンは何度もあり、迫力ある見せ場。3人とも左足をモニターに乗せて弾く姿が壮観。ラファとマルセロさんの動きを合わせた横ノリはちょっと笑いを誘うんだけど。(笑)

"Silence Inside" の後に始まったファビオの合唱コーナー。面白かったのですが、前回のオペラの方が良かったなぁ。それに Sons Of Apollo でジェフの素晴らしいボーカル・パフォーマンスを観てしまったので、こういう演出に対して私の中の評価のハードルが上がってしまったのかも。

"The Bottom Of My Soul" ではフェリペが冒頭のリフをサイレント・ギターで担当。ラファのボーカルもいいと思うんだよね。ファビオが休めるし、ショウに変化を付けられるから。

本編最後を締めた "Magic Mirror" はインスト・パートが魅力。プログレ色が強く、演奏力が前面に。原曲のピアノ、バイオリンパートが音源になってしまうけれど、そこ以外はバンド演奏を楽しめました。ただちょっと本編の〆にするにはキメ感が足りないかも。

アンコールで戻ってきたのはラファ1人。マイクをとって話始めました。

「ドモアリガトウ。とても久しぶりに戻ってこれてうれしい。今回はマルセロを入れた新しいラインナップで初めての日本公演で、とても特別なものだ。ニューアルバムの Omni は気に入ってくれた?」

Angra を始めて27年になる。このバンドは俺の人生の正に一部だ。これまでバンドのメンバーだった人たち全員に感謝したい。彼らのおかげでバンドは成長して飛び立ち、何年にも渡って存続してきた。そして現在の優れたミュージシャンたちと共にプレイでき、紹介できることを本当に光栄に思っている」

多くのメンバー交代を経ても存続し続けた Angra。オリジナルメンバーはもうラファただ1人だけれど、世界的に変化した音楽業界の荒波の中で存続し続けたことは凄いと思う。それを引っ張ってきた彼の情熱がこの短いスピーチに凝縮していたように思います。

「一番新しいメンバーを紹介するよ。キコ・ルーレイロの代わりを見つけるのは簡単じゃない、だってとても難しいパートを弾かなくちゃならない。でも俺は素晴らしいプレイヤーを見つけたんだ。秘密兵器、セクシー・ビスト!マルセロ・バルボーザ!」

最後のセリフには笑ってしまいましたが、メンバー1人ずつの紹介はとても心がこもっていて、現在のバンドがとても良い人間関係とケミストリーに包まれているのだろうと思いました。

これを受けての "Rebirth" (選曲のタイトルがいいね!)から〆は "Carry On/ Nova Era" の流れは前回と同じ。彼らのキメ曲にオーディエンスの盛り上がりは最高潮に達していました。

私が思うに、今夜もっとも光っていたのはブルーノのドラム。ギター目的の私の耳をすっかり捕らえた彼のドラミングは強力でテクニックもあってグレイト。どうか別のバンドに引き抜かれませんように。

最終的にはニューアルバムから7曲+過去アルバムから数曲ずつという、ニューアルバムのツアーに相応しいセットリストだったのでは。欲を言うと "Angels Cry" は聴きたかったなぁ。

ラファはLPとESPとヤマハを使っていましたが、マルセロさんはギター3本、全て Ibanez の Prestage RG と思います。ブルーのモデルが美しかった。彼のインスタ動画で見ましたが、日本に来てから新しいパープル&ブラックのRGを受け取ったようで、早速この夜のライブ終盤に使用していました。マルセロさんの益々の活躍を祈ります。

本日のセットリスト

01. Newborn Me
02. Travelers Of Time
03. Angeles And Demons
04. Nothing To Say
05. Insania
06. Light Of Trancendence
07. Upper Levels
08. (drum solo)
09. Black Widows's Web
10. Spread Your Fire
11. Omni - Silence Inside
12. The Bottom Of My Soul
13. Lisbon
14. Magic Mirror
encore
15. Rebirth
16. Carry On/ Nova Era

ところでこちら↑の今年9月11日バルチモアでのライブ動画、マルセロさんのギターをラファが弾いているんですよね。同じギターをバンドで使いまわすのって珍しくない?ちょっと驚きましたが、仲良くないとこれはできないですよね。