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ウリ・ジョン・ロート @ Diamond Hall Nagoya 2019.1.22 トリプル・アニバーサリーは超スペシャル!

2016年のラウパ以来のウリさん単独公演が名古屋にやってくる!ということで行ってきました。トリプル・アニバーサリー・ツアーと銘打った本公演は前半後半に分かれた3時間にも及ぶ中身の濃いスペシャル公演となっており、長年のウリさんファンには涙モノのゴージャスなライブでした。

残念ながら私は半世紀に及ぶウリさんのキャリアには全く明るくない上に、Scorpions も余り聴いていない不届き者ですが、ウリさんのギターもライブも満喫しましたので、この日のライブを記録に残してみました。

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Img_1626ステージ背景には白いスクリーンがあり、ウリさんの美しいロゴが画面一杯に映し出されています。ステージ中央には3段程の階段のついた台が設置され、上手奥にドラムセットという変則ステージセットだったのに驚きました。ウリさん目当てだったので立ち位置のために、Blackstar アンプを探したのですが、ヘッドは全部 Marshall であれ?となりましたが、2台重ねの Blackstar キャビネットが目にとまりました。下手奥にはキーボードがあるのですが、ステージ両サイドのスピーカーにほぼ隠れる配置となっており、ステージの狭さに申し訳ない気分になりました。

ほぼ定刻にバンドメンバーが登場。クレジットによると、ニクラス・ターマン(g)、デヴィッド・ロシンスキー(g)、サイモン・フォスター(b)、マイケル・ウール(dr)、コーヴィン・バーン(key)だそうで、15年の来日時とはドラムスとベース以外は同じメンバー。

そして歓声の中登場したウリさんは、階段上のお立ち台へ!ウリさんは小柄だから、いいんじゃない、この演出は!今回は赤がテーマカラーのようで、赤いハチマキと着物の様な黒地に白い花の刺繍が施されたガウンの裏地の赤と右手のブレスレットの赤い石が見事にマッチしている!

黒いボディの7弦Skyギターは角部分にもノブが並んでいて、ブリッジ後ろのボディに何やら半円ドームの飾りがあって中のLEDが色を変化させながら光る仕組みになっていました。おおぅ~!壮大なるロック・ショウがスタートです。

「コンバンハ、ナゴヤ!トリプル・アニバーサリー・ショウにようこそ。今夜は1つではない、3つのアニバーサリーを祝うライブだ。ここで説明しよう。

まず1つ目に、40年前 Scorpions で初来日して中野サンプラザで "Tokyo Tapes" を録った。日本のオーディエンスはとても暖かく迎えてくれたね。名古屋でも演ったけど、そのときに居た人は誰かいる?(手を挙げた人を見て)君は若すぎるよ、(私のファンの)ニュー・ジェネレーションだね。

2つ目に78年に私のバンド Electric Sun を結成して、アルバム Earthquake をリリースした。

3つ目に、50年前、13歳のときにドイツで私が初めてコンサートでプレイした。

だから今夜は君たちを私のこれらの音楽を巡る旅に連れて行こうと思う。最初の曲はG3ツアーの為に作曲した "Sky Overture" だ。次は Electric Sun から何曲かいこう。まずは "Indian Sun"」

ウリさんのMCは長めでしたが、スクリーンに曲名や日本語訳が映し出されるのでオーディエンスにもわかりやすかったと思います。そういう配慮もしてくださるとは!

ボーカルはニクラスさん。ステージ下手には若いレフティのデヴィッド君。前回はストラト使いだったと思うけれど、今回はネックが違う。ヘッドがウリさんのと同じシェイプなのでSkyギターかな、ボディはストラトみたい、と思っていたのですが、後で詳しい方に教えて頂いたところ、SkySuperStrat というアニバーサリーツアー用の新作だそうです。全フレットがスキャロップ仕様なのね。

相変わらず控え目なパフォーマンスのデヴィッド君ですが、ウリさんバンド歴も結構長くなってきたのでは。ウリさんとのハモリパートでは師匠の手元を真剣な眼差しで見つめていたのが印象的。

"Electric Sun" はウリさんが歌を。躍動感あるギターとお元気な歌声。64歳ですか、いつまでもお元気でライブをやって頂きたい。

「次の曲は最も重要な質問についての曲 "Why?" だ。我々がこれを正しい方法で、相応しい時、相応しい場所で使うならば、何か知恵を授かるだろう。今はそれが最も必要とされる時代だ」

ウリさんのボーカルと実に美しいソロのこの曲、青い空が似合いそうな清々しさがある。

「次はこのショウで特別な時間だ。弟のジーノ・ロートが書いた曲。このツアーを計画した時に日本へ行こうと彼に声を掛けていたんだ。彼はイエスと答えていたんだけれど、昨年亡くなって、それは果たせなくなった。彼の魂はここにあるよ。それで私は彼の最後のギターを持ってきたんだ。そして特別ゲストにオリジナル・シンガーのマイケル・フレクシグを迎えよう」

ステージ中央の階段の上に設置されたギターとスクリーンに映し出されたジーノ・ロート氏の映像にコアなファンの方々は涙でしょうね。合掌。

マイケルさんはどっしり大柄なおじさまでしたが、かなりのハイトーンまでこなす声の持ち主。この曲でのギターソロにはロート兄弟の魂が込められている。情感に溢れ、それはパワフルでスピリチュアルでした。

日本の曲という "Eastern Sun" と "Starlight" を歌い終えたマイケルさんがステージを去ろうとすると鳴り止まない拍手が会場を包みます。

「彼は後でまた登場するから大丈夫だよ」

ウリさんがちょっと驚いていましたが、この拍手はマイケルさんというよりも、ジーノさんの魂への拍手だったと思います。

「次の曲を各国で演奏するときは、その飛行機が何をしたのか説明しなくてはいけないのだが、日本ではその必要はないね。誰よりも良くわかっているだろう」

イントロで、悲しく美しく「Hiroshima~」と熱唱したのはベースのサイモンさん。歌えるんだ!しかもいい声!スクリーンに映し出される爆撃機の飛行映像はその先を知っているだけにかなり重いものがあります。他国での反応はどうなのでしょうね。米国あたりでは大喝采なのかも知れない… "The Sails of Charon" でショウの前半を終え、15分の休憩を挟みました。

後半のセット冒頭では、ステージ中央の台に上がり、椅子に腰を下ろしたウリさんが8弦のSkyアコースティック・ギターを構えました。そして始まった独奏の美しいこと。個人的にはこれが本日のベスト演奏だったのではないかと思っています。15年の来日ではアコースティック・セットにGodin を使っていたウリさんでしたが、今回は Sky8弦のアコギです。Sky ギターのラインナップは増えているんですね。

ギターを持ち替えたウリさん、見慣れぬギターを構えています。

「これは明らかに Sky ギターじゃないよ。これは実際に私が初めてプレイし、学んだギターだ。1968年に私が初めてコンサートでプレイしたのもこのギターだ。そしてそのコンサートでプレイした曲を弾こうと思う。この曲は多くのギタープレイヤーに影響を与えた。The Shadows の "Apache"」

そんなギターが今も手元に残っているってことが凄い!そしてそのギターをこの曲の為に持ってきたウリさんにも感激!コアなファンの方には涙ものでしょうに!曲は The Ventures を連想させるギターインストでした。サウンドも近い感じ。後で知ったのですが、イギリスの The Shadows 、アメリカの The Ventures が当時の両雄だったんですね。

ルドルフ・シェンカーが紹介され、ステージに登場するとそれは凄いオーディエンスの熱気に包まれました。前日の東京と名古屋公演限定の出演でしたが、何か事情があったのでしょうか?帽子にサングラス、革のベストにダメージのチェック柄パンツとか、お歳を召しても生粋のロックンローラーの風貌がさすがです。ニクラスさんの声の出が悪いパートでマイクに近付きボーカルを取りそうになったのですが、それは一瞬でした。残念。

「更にスペシャルゲストだ。日本では初めてになる。"In Trance" と "Virgin Killer" のオリジナル・ドラマーのルディ・レナーズだ。もう一人のスペシャル・ゲストを紹介しよう。カナダから、フィル・X!」

沢山のスペシャル・ゲストに驚き。フィル・Xってこの方なのね、初めて見た。このライブのゲストは全員ウリさんのキャリアに密接な関係がある人だけど、フィルはどういう関係なんだろう?しかも歌うんだ。ハイトーン・シャウト系。

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ルドルフさんを再び迎えての "Pictured Life" ではフィルはギターに。これでステージにはギタリストが5人状態になりました。皆さん楽しそうに弾いているのですが、リフはデヴィッド君、ウリさん中心、ソロは当然ながらウリさん。ルドルフさんがもっと前面にフィーチュアされるのかと思っていたのですが、ステージ前で弾くこともなく、友情出演オンリーな感じ。

"Catch Your Train" のキーはニクラスさんには高くて厳しそう。この曲のボーカルは前回のツアーに帯同していたネイサン・ジェイムズの方が好きだなぁ。今回はデヴィッド君のソロタイムはないのかな、と思っていたら終盤でやっとソロ回しがありました。しかし、そこでも控え目な彼。ニクラスさんには回りましたが、ギタリスト全員には回りませんでした。

ゲスト全員がステージに集合してのゴージャスな "Send Me an Angel" でフィナーレを飾り、カーテンコールに応えていた一同、いい笑顔でした。オーディエンスの拍手と「ウリ・ジョン・ロート!」 のコールに応えたウリさんが、バンドに目くばせをして、アンコールが始まりました。

ソロを弾いたウリさんの目くばせでソロはフィル・Xとウリさんの掛け合いに。こういうジャムの雰囲気好きだなぁ。フィルもいい音だね。3時間近くも演奏してボーカルもとっているウリさん、お元気だわ。今夜はトリプル・アニバーサリーに相応しい、中身の濃いライブでした。ウリさん、どうぞいつまでもお元気で、至高のギターサウンドを弾き続けてください。

本日のセットリスト (Setlist.fm 参照)

Part 1

01. Sky Overture
02. Indian Dawn (Electric Sun song)
03. Electric Sun (Electric Sun song)
04. Sun in My Hand (Scorpions song)
05. Icebreaker (Electric Sun song)
06. Why? (Electric Sun song)
07. Don't Tell the Wind (Zeno cover) (with Michael Felxig)
08. Eastern Sun (Zeno cover) (with Michael Felxig)
09. Starlight (Sky of Avalon cover) (with Michael Felxig)
10. Enola Gay (Hiroshima Today?) (Electric Sun song)
11. The Sails of Charon (Scorpions song)

Part 2

12. Passage to India
13. Apache (The Shadows cover)
14. We'll Burn the Sky (Scorpions song) (with Rudolf Schenker on guitar)
15. In Trance (Scorpions song) (with Rudolf Schenker)
16. Virgin Killer (Scorpions song) (with Phil X on vocals, Rudy Lenners on drums)
17. Pictured Life (Scorpions song) (with Rudolf Schenker, Phil X, Rudy Lenners)
18. Catch Your Train (Scorpions song) (with Rudolf Schenker, Phil X, Rudy Lenners)
19. Yellow Raven (Scorpions song)
20. Top of the Bill (Scorpions song) (with Rudolf Schenker, Phil X)
21. Send Me an Angel (Scorpions song) (with Rudolf Schenker, Michael Felxig, Phil X, Rudy Lenners)
encore
22. All Along the Watchtower (Bob Dylan cover)