今年3月の話ですが、ジミ・ヘンドリックスの類まれな音楽を称えて度々行われてきたエクスペリエンス・ヘンドリックス・ツアーに行ってきました!もちろん、ジョー・サトリアーニを観るためです!
これはヘンドリックスのバンドメイトだったビリー・コックスとミッチ・ミッチェルをベースに、様々なジャンルのミュージシャンを迎えたオールスター・コンサートで、これまでにも多くの著名ミュージシャンが参加しています。
今年のヘッドライナーはジョー・サトリアーニ!過去にもこのツアーに出演したサッチですが、今年はこのツアーの為にトリオ・バンドを組みました。ドラムスに Chickenfoot の2回目のツアーでチャドの代役を務めたケニー・アロノフ、ベース&リードシンガーに Kings X のダグ・ピニック。演奏曲が全てジミヘンということを考えるとダグとケニーのチョイスは最高な予感でした。サッチがインタビューで語っていましたが、ダグのことは彼のバンドのビデオを観て知っていたそうなのですが、ダグが大のジミヘン好きでトリビュート・アルバム Tribute To Jimi Often Imitated But Never Duplicated を出していたことは知らなかったそう。
そして今年大きな話題を呼んだのは初参加のデイヴ・ムスティン(Megadeth)。彼がこのツアーに?と意外でしたが、ジミヘンは聴いてきたでしょうし、サッチのことも好きだったそうで、何だか嬉しい。
他にもこのツアー常連のザック・ワイルドはオジーの体調不良により日本でのライブがキャンセルされ、ツアーに合流できることになりました。ザックのことは昨年11月に Generation Axe でも観ているので、あれから2ヵ月後にまた観ることができました。常連といえば、エリック・ジョンソンとドゥイージル・ザッパもこのツアーの常連です。彼ら2人を観るのは初めてでとても楽しみでした!
Generation Axe で雑談したギタヲタのお兄さんたちが口を揃えておススメしていたこのコンサート、ギター好きにはたまらないものになりそう。会場はポンパノ・ビーチの野外劇場。3月のフロリダは晴天続き。気温もこの日は夕暮れ時で25度くらいはありました。半袖Tシャツで心地よいくらいです。座席は前から2列目中央で視界も良好。最前列のオーディエンスはリストバンドをしており、彼らだけは席を立ってステージ前の柵まで行けるという仕組みでした。それ以外の人が柵前へ行こうとすると、セキュリティさんに押し戻される仕組みで、なるほど、これなら規律が保てますね。最前列のチケットが売り切れていたことが悔しいけれど。
日が暮れた午後7時半ほぼ定刻にライブスタート。私はあまりヘンドリックスには詳しくないのですが、"Freedom" "Foxey Lady" と続くオープニングナンバーは有名曲だから知っているし、オーディエンスも盛り上がっています。ドゥイージル・ザッパを初めて観た!共演者が多いからか、サポートにまわって共演を楽しんでいるという感じ。ボーカルをとっているアナ・ポポヴィックさん、ブルージーなハスキーボイスでかっこいいストラト弾きです。スライド奏法も聴かせてくれました。ドゥイージルはSGのイメージがあったのですが、ストラトぽいのを弾いていました。基本的にドラムとベースは固定で、曲ごとにギターと時折ほかの楽器(ラップスチールとか、鍵盤とか)のプレヤーが加わるという感じ。ステージにはドラムセットが2つ(ハウスバンドのとケニー・アロノフの)あって、その前に並んだ多種多数のギターアンプのラインナップは壮観です。
客層は30~50代くらいが中心でしょうか。デイヴやザックがいるので、メタラーもそこそこいましたが、全体的にはロック&ブルースのファン層かと思います。私はサッチTシャツを着て Steve Vai ロゴ入りのバッグを持っていたらギタヲタ系お兄さんに「そいつはクールだ!」とお褒めいただきました。
遂にエリック・ジョンソンが登場!遂にあのトーンを生で聴くことができました。美しい!ツアー初日でしかも野外劇場だったため、サウンド面ではPAもアーティストも調整に少々苦労している様子だったのですが、エリックは最初から完璧にあのトーンでした。ボーカルをとり、ソロでは流れるようなフレーズを弾きこなす、始終下向きかげんな姿。ここでドゥイージルとの共演も実現しました!更にサプライズだったのは "Are You Experienced" ではザックが登場してあの大きな体で鍵盤の後ろに座って弾いていたこと。そうだ、ザックは鍵盤弾きでもあったんだ!その後はギターに持ち替えたザックの土壇場に。パワー200%の弾きまくりザックは Generation Axe の時と同様に客席に降り、ほぼ会場を1周してオーディエンスの熱狂を誘っていました。こういうレビューショウにはザックは必要不可欠だね。これだけ客席を温められるアーティストはそういない。
ここまで1時間半弱ほど。ザックの後で休憩タイムが入りました。
ここまででも多数のアーティストの登場に興奮して頭も胸も一杯になってしまいましたが、まだまだ登場するアーティストは目白押しです。
ドイル・ブラムホール IIを初めて観ました。テキサスのブルース・ギタリストでプロデューサーとしても活躍しているそう。ホロウボディのGibsonプレイヤーのよう。いい声でしたが、途中で弦が切れてちょっと苦労していました。ちなみに彼は後日、エリック・クラプトンのバンドとして日本公演に参加していたようです。
演者の中では断トツで若そうなジョニー・ラング。アコギで登場して歌いだした彼のボーカルには圧倒されました。何この若者!めちゃ歌が上手い!彼のことはチェックしなくては!
ジョニーがエレキに持ち替えると遂にヘッドライナーの1人、デイヴ・ムスティン氏の登場でした!Tシャツに黒いジャケット、ジーンズという姿は Megadeth のステージ衣装のイメージしかなかった私にはとても新鮮に見えました。でも残念だったのは、ギターの音が小さめで、ずっと下を見て演奏していたので、あまり顔が見えませんでした。普段と勝手の違うステージに馴染めていなかったのかも知れません。
さていよいよ、サッチバンドの登場です。ここまではハウスバンドにギタリストが加わるというスタイルでライブが進んできましたが、サッチは自身のトリオバンドを率いてきました。サッチのギターが唸る!サッチもエリック・ジョンソン同様に最初から完璧なサッチのトーンで登場。やっぱりサッチのようなギタリストはどこでプレイしても際立つ。ケニー・アロノフとダグ・ピニックのリズム隊とのマッチングも素晴らしい!パワーとフィールがあって、ダグのボーカルはヘンドリックスの楽曲にぴったり。3人は全員上下黒を着ていて、スキンヘッドにサングラスという、外見も完璧なマッチングでした。(笑)それにしてもダグの手の長さは驚異的!
サッチを観に来てサッチ曲を1つも聴けないのは心残りではありますが、サッチが敬愛するヘンドリックスを弾くとこういう完璧なロックンロールになるんだなと感激。もちろんサッチのアイコニックなアーム使い他、奏法などはそのままでサッチ節を聴かせてくれました。ヘッドライナーに相応しく、サッチバンドは30分ほど連続で熱演を繰り広げてセットを〆ました。今回の3ピース・バンドは超クールだったので、ツアーやオリジナルorカバーの音源リリースとか、是非サッチの課外活動バンドとして続けて欲しいなぁ。
ライブ終了時には全出演者がステージに揃ってのカーテンコール。拍手の中、出演者の皆が退出しても、ザックだけはステージ先端に残り、ファン達と握手したり、ピックをあげていたり、ファンサービスに努めていました。根強いザック人気はこういう人柄が理由なんだろうなと、感心しました。
なお、Experience Hendrix は今年10月からの西海岸ツアーが発表されました。ムスティン氏とザックは今回含まれていませんが、スペシャル・ゲストが今後追加発表されるようです。ギターファンならきっと楽しめるライブイベントなので、私からもオススメ!
本日のセットリスト (別日のリストですが、多分同じ)
01. Freedom (Billy C/Chris L/Dweezil)
02. Foxey Lady (Mato/Chris/Billy/Henri/Chuck)
03. Can You See Me? (Chris L/Kevin/Dweezil/Ana)
04. House Burning Down (Dweezil/Chris L/Kevin/Ana/Henri)
05. The Sky Is Crying (Chris/Kevin/Mato/Calvin/Chuck)
06. Power Of Soul (Chris L/Kevin/Henri/Eric)
07. Love Or Confusion (Chris L/Kevin/Henri/Dweezil)
08. Bold As Love (Eric J/Chris L/Kevin/Dweezil)
09. Are You Experienced? (Eric/Chris L/Kevin/Zakk)
10. Rock Me Baby (Chris L/Kevin/Zakk)
11. Like A Rolling Stone (Chris L/Kevin/Zakk)
12. Little Wing (Chris L/Kevin/Zakk)
intermission
13. Come On (Let The Good Times Roll) (Doyle/Chris L/Kevin)
14. Izabella (Doyle/Chris L/Kevin)
15. Angel (Doyle/Chris L/Kevin)
16. All Along The Watchtower (Jonny L/Mato/Chris L/Kevin/Zakk)
17. Wind Cries Mary (Jonny L/Chris L/Kevin/Eric)
18. Spanish Castle Magic (Jonny L/Chris L/Kevin/Mato)
19. Fire (Chris L/Kevin/Henri/Dave/Jonny)
20. Stone Free (Chris L/Billy/Henri/Dave/Mato)
21. Purple Haze (Chris L/Kevin/Henri/Dave)
22. Hey Joe (Mato/Henri/Chuck/Billy C/Jonny)
23. Them Changes (Mato/Henri/Chuck/Billy C/Jonny)
24. Crosstown Traffic (Joe/Doug/Kenny/Henri)
25. Manic Depression (Joe/Doug/Kenny)
26. I Don't Live Today (Joe/Doug/Kenny)
27. If 6 Was 9 (Joe/Doug/Kenny)
28. 3rd Stone From The Sun (Joe/Doug/Kenny)
29. Voodoo Child (Joe/Doug/Kenny)
30. Red House (Mato/Chuck/Calvin/Billy C)