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キップ・ウィンガー ミュージカル 『Get Jack』コンセプト・アルバム完成!

昨年キップは「俺はこの2年半をかけて2時間15分の音楽を作曲している」と語っていましたが、遂にミュージカル『Get Jack』コンセプト・アルバムが完成したと発表されました!プレオーダーはキップの誕生日である6月21日に開始され、7月19日に世界同時発売されます。
オフィシャルサイト http://GetJack.com  CDのプレオーダーはこちら

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本ミュージカルは舞台脚本家/監督のダミアン・グレイと作曲家キップ・ウィンガーのタッグにより制作がスタートしました。切り裂きジャックの物語をベースにしたオリジナル脚本で、ジャックに殺された5人の女性が彼に復讐するというストーリー。

多額の制作費が必要となるミュージカル制作。まずは脚本/音楽を完成させ、コンセプト・アルバムをリリースすることになりました。本アルバムの制作費用を補うために、2017年9月にクラウドファンディングKickstarter が始まり、無事に資金が集まったようで、17年10月にはNYで業界関係者と寄付者を招いての役者による脚本読み合わせやコンサートが行われました。しかし本番はこれから!コンセプト・アルバムの反応を手掛かりに舞台化は正念場を迎えます。既にブロードウェイの実力者を制作陣とキャストに迎えることができたようなので、今後のプロジェクト進行を見守りましょう!

ミュージカルでは、ダミアンの書いた歌詞=セリフにキップが音楽を書いたそう。ミュージカルではセリフではなく役者が歌を歌ってストーリーが進みますから、ミュージカル楽曲は独特です。しかもキップが女声向けに作曲したのは初めてなのでは?ロックでもポップスでもクラシックでもない新たな音楽ジャンルに進出したキップの作品はいかに?

私は Kickstarter のキャンペーンに参加しましたので、コンセプト・アルバム完成の報と共に音源のダウンロードができました。キップの言ったとおり、2時間超、36曲の楽曲!全曲を聴くのにも気合が要ります!全曲を聴いて感じたことは、キップ天才!ということ。これがミュージカル作品デビューとは思えない!

ミュージカル独特のセリフの詰まった歌詞、複数のキャラクター色を活かした楽曲、多声コーラスやミュージカル独自の形式、そういったものがクラシック音楽とロック音楽の世界を自在に行き来するキップの手によって見事なミュージカル音楽作品に仕上がっているのです。

クレジットを確認すると、作曲は全てキップ、脚本と作詞はダミアン。オーケストレーション、プロデュース、エンジニアも全てキップ。

楽器のクレジットですが、これまた興味深い。ベース・ギター・ピアノ・シンセ・バックコーラスがキップ。リズム・ギターはジョン・ロス、ギターソロは "Theatre of Blood" "King Of Saturday Night" "Agony In Red" をジョン、"Get Jack" がレブ・ビーチです。あとバックコーラスに奥様のポーラ・ウィンガーさんも参加しています。

36の楽曲は第1幕と第2幕に分かれており、楽曲一覧(上部画像参照)を見ると、"Get Jack" は第1幕の最終曲。第1幕では女性5人の殺害が描かれ、これから被害者5人の復讐が始まる!と第2幕へ導く重要な曲。この曲でレブがソロを弾いているというのもニクイ。クールなレブのソロが聴けます。他の曲を聴いていても、クールなギターソロに耳が反応するとそれはジョンのプレイだったり。Winger ファンには嬉しい。

スタジオのクレジットを見ると、主な楽器はキップのスタジオで、ボーカルレコーディング等はNYで、オーケストラはプラハで録音したようです。以前こちらのインタビューでキップがプラハのオーケストラの素晴らしさ、コストの安さに感嘆していましたね。

さて、このアルバムをプレオーダーすると特典があります。(詳細はこちら)特別のペインティングが施された Get Jack ギターが抽選で当たるそうです。現実的な特典はそれよりもキップが歌う "Requiem For Nothing" をダウンロードできる点ですね。この曲はアルバム収録では役者さんが歌っています。キップが歌うのを2月に聴きましたが、怪しくダークで時に力強いキップの歌声が素晴らしい曲でした。

 

昨年末にダミアン・グレイがコンセプト・アルバムの第1幕を聴いた感想を「キップが革新を起こした!」SNSに投稿していたように、この楽曲集には素晴らしい可能性が詰まっています。クラシック音楽の作曲でグラミー賞にノミネートされたキップですが、トニー賞にノミネートされる日がやってくるかも!

アルバムがレコーディングされてからワークショップを経て舞台が発展し、過去の出来事を語る形式で音楽が制作されたものの、舞台版のミュージカルでは事件がリアルタイムで進行する形式になったそう。その変更により、アルバム収録された曲のいくつかは舞台では使用されないそうです。当ブログの過去記事でキップがその話をしていました。

「先日、20分ものの作曲はカットされてしまった。オーケストラ用に編曲されていたんだが、脚本の変更に合わせることになった。1ヶ月の仕事が消えたのさ。それに加えて脚本の読み合わせが始まって、このキャラクターにはこれが要るとかって脚本の手直しが始まったんだ。全く、これは終わらない仕事だよ、何てことに頭を突っ込んでしまったのだろうと思った。でも最高なのさ、楽しいよ。俺の最高の作品になるだろう」

2018年の2月頃そういうことが起こっていたのですね。他にもキップが Get Jack についてこちらで語っています。完成したミュージカルのプレミア上演の日が待ちきれません!