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Green (@ribbon_bear) が毎週好きな音楽ネタを語ります! Since 2011

アンディ・ティモンズ 「自分にとって真に共鳴するもの、本物を創造しようとすること」

6月にトロントで行われた Cosmofest に出演し、多くのミュージシャンと親交を深めていたアンディ。主催者側のインタビュー動画が公開されましたので、その概要を和訳してみました。

機材トーク満載で苦労しました。誤訳かなと思うところがありましたら、勉強中の訳者に優しくレクチャーお願いします。:)

 

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あなたのトーンそしてプレイへのアプローチについてお伺いします。あなたは優れた技巧派でありながら、聴いたところサウンドにエゴがないのです。曲を引き立てるプレイですよね、あなたのソロへのアプローチ等をお聞かせください。

そんな風に言ってもらって嬉しいよ。そう受け止めてもらっているということは僕がやってきたことが成功したのかな。昨日も考えていたんだけど、僕は各地を飛び回って多くのギグやクリニックをやってきた。そこでよく質問されるんだ、僕のプレイのゴールはどこにあるのかって。思うに、プレイ中のある瞬間に捧げることにあるのじゃないかな。曲や音楽全般において。その瞬間に適したものは何か、それを尊重することだ。僕のキャリアの大部分はインストゥルメンタル音楽にあるのだけど、僕は多くのアーティストやシンガーのためにプレイしてきた経験もある。

何と言うか、自分の人生そのものとしてプレイしてきたんだ。プレイというのは自分だけの為のものではないんだよ。こんなこと言うと哲学っぽくなっちゃうよね、そういうつもりじゃないんだけど…(アンディ、照れまくって言葉を濁す)僕は常に非常に敏感なタイプの人間なんだ。そのせいで良くなかったこともあるんだけど。世間はそういう敏感さを受け入れてくれないこともあるからね。でも僕は自分の周囲の事を気に掛けるタイプなんだ。人間はもちろん自分のことを気に掛けるだろう、そこが強いと自己中心的ということだけど、僕は周囲の事にも気を配るんだ。それは音楽におけるアプローチも同じことだよ。

僕のバンドでは僕がメロディを弾いていて中心にいるのだけど、トリオだから、多くのスペースがある。別の状況では自分がどうその音楽に貢献できるのかを考えるよ。より大きな音楽の利益の為にということ。そんな言葉を使うとなんだか大げさになってしまうけど。(照れるアンディ)

キャリアの面でいうと、様々な異なる状況の中で、自分が役に立つよう心掛けてきた。ギグにやってきて弾きまくって自己宣伝するようなことではなく。そういう人とは誰もまた仕事したいとは思わないよね?

マイク・スターンがこう言っていたよ「批評を読んではダメだ。読むだろうけど、ダメなんだ」(マイクのモノマネを披露。僕は上手いんだよ、とノリノリ)マイクと知り合えて、彼とプレイできてとても光栄だよ、彼は僕のヒーローだ。彼は奇跡のような純粋な魂の持ち主なんだ。あんなにオープンでいることは敏感な彼にとっては同時に厳しくもあるんだ。

他のことに手を出さず、自分にとって真に共鳴するもの、本物を創造しようとすること、それを人が聴くのさ。僕は55歳(7/26で56歳になりました)で、もう50年ギターを弾いてきたことになる、これまでの経験を踏まえての話だよ。

もし誰かになろうという考えに囚われ過ぎると、常に結果は失望に終わるんだ。もし僕がウェス・モンゴメリーのように弾きたいと時間を過剰につぎ込んでも、もちろんそれは素晴らしい探求なのだけど、結果的にはただのモノマネに終わってしまう。ジャンゴ・ラインハルトでもそうさ。僕は去年から探求しているんだ、彼がどうやってあのプレイをしたのかってことを。「準備ができたのなら、私はここにいるよ」と彼の声が聞こえるくらいさ。彼が煙草をふかしながらね。(笑)

とにかく、そういう探求のとき、ウサギの穴に落ちないようにしなくてはならない。常に僕は僕自身なんだ。そう理解したのは5年ほど前かな。自分自身でいることが心地よいと思えるようになったんだ。自分がアラン・ホールズワースやショーン・レーンでないことにがっかりしないこと。

あなたは自分自身のサウンドを持っていますよね。

僕にはそれを真に受け止めることがとても難しかったんだ。僕は人生を通じて様々な優れたプレイヤーを崇め、憧れてきたから。(ギタープレイに)僕自身の声があると言われるけれど、それを受け入れるまでに時間がかかった。でも考えてみれば、人間は誰もが自分自身の声を持っているんだよ。それは人の身体的特徴による弦の押さえ方、ピッキングを通して現れる。弾けば弾くほど、その特徴は識別できるようになる。楽器に取り組む時間を長く持つことさ。そして、できないこと自体も僕らのアイデンティティを形作るモノになるんだ。なぜなら、できないことに対して別の自分のできるアプローチをとることになるからだ。

あなたのトーンについて伺いたいのですが、あなたのトーンはクリーンで、エリック・ジョンソン的に思うのです。

わぉ、彼は僕の特大のヒーローさ。(僕のサウンド創りには)ゲインが大きいね。ドライブとプッシュの調整さ。真空管のサチュレーションを使うにしろ、アンプのドライブを使うにしろ。僕はラウドでクリーンなアンプに惹かれるんだ。そしてフロント・エンド・ゲインを全て上げようとする。その方がアティキュレーションや細部をしっかり表現できると感じるんだ。僕のペダルボードを見ると、とても大きいのがわかるよね。それをインスタグラムに載せたら誰かが、「トーンは手に宿るんだw」なんて書いててさ、「そしてケーブルにもね 笑」って言った位さ。(笑)

僕には様々なサウンドのイメージが頭にあって、それを再現しようと様々な試みをやっている。ボリュームノブを下げて、僅かなゲインで得られるサウンドが好きなんだ。Blues Driver でも Xotic でも何度も試したよ。とてもマイルドなブーストなんだ。Blues Driver では高音域ではとてもクリアなサウンドが得られて、好きなんだよ。フルゲインでは使ったことはない。こうして(PUセレクターをネック側へ)ボリュームとトーンを調整して、高音域を保とうとする。そして指板上の指によって全ての繊細なニュアンスを表現するんだ。

とは言え、ステージに上がってあの(大きな)ペダルボードがあると、サチュレーションが起こる。ゲインが大きすぎるのさ。僕はいつもエリック・ジョンソンのようなファットで暖かいサウンドを追求してきた。高音域にも耳障りのないような。とても難しい道のりだ、ゲインを下げると高音域のノイズが増えるからね。でも僕のJHS ATペダルは素晴らしいんだ。ゲインが大きくてもエリック・ジョンソンのような、マーシャルっぽい、ヘンドリックス的な、クラプトンみたいなトーンが得られるんだ、MESA Lone Star のクリーンなアンプでね。あの小さなエフェクターペダルでこれを得られるのは便利だよ。まあ、ゲインとの最適なバランスを見つけることかな。

もちろん、前提として指板上の指とピッキングのタッチによるね。どれだけ楽器練習に時間を注ぐかということだと思う。僕は最初の頃(レコーディング)では Zoom (マルチエフェクター)からコンソールに繋げていたんだ。1stアルバムではそうだよ。僕はただ最高の演奏がしたかった。サウンドについてはエンジニア任せだったんだ。それが2006年のアルバム『Resolution』制作にあたって、真剣にサウンドの探求をしたんだ。エリック・ジョンソンのようにね。

あの道を進んでいくと、(エリックについて言われていることは)迷信ではないとわかってくる。彼はあの道に魂と時間を注ぎ込んだんだ。僕にはそれだけの忍耐はなくて、プラグインしたら直ぐにプレイしよう!と思ってしまう。でも『Resolution』はギター1本とベースとドラムだけだから、いいサウンドは必須だ。だから何週間もかけてこれというサウンドを探求したんだ。

そうやっていたら、「わお、エリックが言ってたことは本当だ!」となったのさ。彼がやっている Alien Love Child というサイド・プロジェクトのライブを以前観に行って彼のペダルボードを見たのだけど、彼のドライブ・ペダルが板の上で変わった角度に置いてあったんだ。普通はペダルボードにあるものだから、彼のギターテクに聞いたんだ。そうしたら、彼がサウンドチェックのときにケーブルを直そうとしてそれに触って動かしたら、「何をする!動かすな!」と言われたそうだ。動かすとトーンが変わったそうなんだよ。

で、『Resolution』制作時の話に戻るけど、僕はそれによく似たペダルを使っていた。チューブドライバーでノブが3つあって、ゲインが大きくてサチュレーションが効くやつだった。僕らはコントロール・ルームにいて、キャビネットは別の部屋にあった。僕は別のアンプにプラグインしていたのだけど、そのペダルから発生するシグナルが聴こえたんだ。音の振動が床を伝って、(ペダルの)真空管が(振動して)マイクロフォニック雑音を出していたんだ。プラグインしてプレイしてペダルを持ち上げてみると、その違いは信じられないものさ。なぜなら、低音域は全てそれらの音を集めているんだ。そしてペダルサウンドにそれが埋め込まれているんだ。

そんなこと思いもしませんでした。

それで僕は 2X4材をチューブドライバーの下に置いたんだ。ずっと音が良くなったよ。そういうことを長年かけて蓄積していったんだ。その内容を本に書いてくれって言われたこともあったけど、でもそうあるべきじゃないと思ったんだ。そういうことを YouTube なんかで見て近道できるのもいいけど、やはり苦労して知識を蓄えることが大切なんじゃないかな。僕らもそうやって学んでいったんだ。

もちろんギターそのものの習得が第一だ。タブ譜を見てこう弾くのかとやるのと、レコードを掛けて耳でプレイを発見していく違いさ。ミュージシャンにとって耳は最重要だ。だから僕は自分の頭に聴こえる音をギターで再現しようとする、もちろん直ぐにはできないけれど、それを求めて努力するんだ。僕は耳からサウンドを追求するのであって、(譜面やビデオなど)目から追求するのではない。

TrueFire というオンラインコースで「メロディック・ミューズ」というクラスを教えているんだ。そこではどんな音がメロディックなのか、耳の知覚をトピックにしている。今弾いている音の次にどんな音を聴きたいのか、経験に基づくサウンドガイドだよ。

Atvid