Whitesnake が今年のツアーに出る少し前に行われ、5月に公開されたレブ・ビーチのインタビューを取り上げます。
5か月程前のものですが、少し気になる発言をしていたので記録に残しておこうと。本インタビューで Whitesnake の新譜制作に関する話は日本の雑誌でも読めますので、その他の話題部分を和訳してみました。
インタビュアーがイギリスのメディアの方なので、今年のダウンロード・フェスティバル(Whitesnake は6月14日に出演)についても触れています。ちょうど今日の深夜にBSでこのライブが放送されます。Whitesnake の映像はどれぐらい放送されるでしょうか。
Whitesnake といえば、今年10月の日本ツアーの予定をキャンセルしており、新たな日程の発表が待たれます。
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あなたは Whitesnake に在籍して17年です。このバンドに在籍したどのギタリストよりも長いと知っていますか?
ああ、そう聞いたよ。凄いよな、そんなに長かったって感じないけど、たいしたもんだよ。
加入当初は変なプレッシャーを感じませんでしたか?ジョン・サイクスやスティーブ・ヴァイ、エイドリアン・ヴァンデンバーグらの前任者があるのですから。
俺が入ったときにはダグ・アルドリッチがもういて、彼が全部仕切ってる感じで、作曲も彼がやってたんだ。今回のアルバムで俺は初めてデヴィッドと曲を書いたんだ。それまでは全部ダグがやってたから。だから(俺の加入当時)俺は大してプレッシャーを感じなかった、大変なのは全部ダグだったから。
"Crying in the Rain"、 "Still of the Night" なんかは彼のスタイルの曲だ。俺はフルピッキングで弾くタイプじゃない。俺は違うスタイルで、ブルースも得意だから、ブルージーな曲とかアーム使いとかタッピング使いの曲なんかが俺の守備範囲だ。だから、俺はあまりプレッシャーなんて感じなかった。
俺はもうずっとこの仕事をやってるんだ。ツアーするミュージシャンで、俺はとても優れた良い耳を持っている、神に感謝だな。俺にできるのは音楽なんだよ。昔、適性検査を受けたんだけど、「あなたには音楽以外には全く何においても才能がありません」って言われたんだ。
長年の間にあなたとデヴィッドとの関係はどのように変わりましたか?今は彼と一緒に住んでいるのですよね?
ああ、不釣り合いなカップルみたいさ。全く逆のタイプなんだ。俺は前夜にビール10本飲んで朝8時とかに起きるだろ、一方のデヴィッドはアルマーニのバスローブ姿でもう準備できてるのさ。朝のマッサージを済ませて仕事に取り掛かる準備ができてる。俺は「ちょっと待ってくれ、ダイエット・コークを飲むから」ってな具合さ。俺たちは真逆なんだ。俺のビール缶にいつも文句言われるよ。
バンドに2人のギタリストがいるのはやり辛いですか?競争意識は高まるものでしょうか?
いや、そんなこと一度も感じたことはない。俺は自分の能力には十分自信を持っている。他のギタリストに脅かされるなんてことはない。俺とは違うサウンドだからだ。俺が自分のプレイで気に入っているのは、いつだって俺自身のサウンドだってところさ。俺には独自のプレイがあるから、誰かと比べるってのはとても難しいんだ。それに実際、俺はそういう問題は抱えてない。誰もがネットで「ダグ・アルドリッチはレブ・ビーチよりも上手い、ジョエル・ホークストラは…」って言ってる訳じゃないんだ。
それに刺激されてより個性的なあなた自身のプレイや練習につながるのでしょうか?
いや違う。俺を一層やる気にさせるのは Whitesnake のアルバムを創ったってことさ。俺が Dokken に加入して、ジョージ・リンチの後釜になったってときはマジでナーバスになったよ。俺は全力を尽くさなくちゃならなかったから、あのアルバム(『Erase the Slate』)には全てを注いだ。
Whitesnake では、俺はもう長いから。デヴィッドはメロディックなのが好きなんだ。そしてなぜか、彼は俺にそれをやらせたんだ。彼にはいつもメロディックなのを任される。俺が弾いたソロは彼には速過ぎだったんで、やり直したんだ。例えば "Shut Up and Kiss Me" ではデヴィッドは即座に俺にソロをやり直しさせて、結果ずっと良い出来になった。本当にさ。おかげで彼はいつもそれを振りかざすんだ。「覚えておけ、レベル。 "Shut Up and Kiss Me" がずっと良くなったのは私のおかげだ」、「私が "Shut Up and Kiss Me" でやったことを忘れるな」って具合に。彼は俺とソロでも一緒に仕事するのが好きで、彼もまた貢献しているのさ。
あなたはキャリアの初期で多くのスタジオ仕事をしていますが、様々な音楽スタイルでプレイしたことが成長するのに役立ったと思いますか?
あのさ、本当のこと言うとあれは全部ロックだ。The Bee Gees はロックギターのソロが欲しくて俺を雇った。ロッカーが欲しかったのさ。80年代、あの頃はロックが流行りだった。だからビッグなアーティストは皆が80年代のロックソロを欲しがったのさ。マイケル・ジャクソンがエディ・ヴァイン・ヘイレンとやったように、皆が流行りのバンドワゴンに乗ったのさ。俺は正に80年代のロック・ギターを弾いていたから。それが俺の得意なことだったから上手く行ったんだ。でもバークリーに通った頃に違うスタイルも学んだよ。レゲエのバンドとか随分と違うジャンルのミュージシャンと何時間もジャムしたもんさ。
あなたがソロアルバムを出すとそういった違うスタイルが聴けるのでしょうか?
ああ。実際に1枚もうすぐ出る。多分 Frontiers から出る予定で、秋には必ず。『A View From the Inside』ってタイトルの予定で、全曲がインストゥルメンタルだ。もう9年も手を掛けてて、単に趣味でやってたのさ。
忙しかったでしょうから。
まあな。時間ができると作業してたんだ。遂に完成して長いこと俺のハードディスクに入ったままだった。キップ・ウィンガーが「お前がやってたインストゥルメンタルの曲はどうなったんだ?」って訊くから、「ハードディスクに入ったまま」って答えると「何でドラマーを雇って仕上げないんだ?」って。だから「5,000ドルも払う金がいつも無いから」って言ったら、彼が5,000ドル貸してくれて出来たんだよ。
あなたとドラマーだけ?フルバンドを揃えたのですか?
ああ、バンドさ。最高のベースプレイヤーが弾いてる。俺はピッツバーグに住んでるんで、最高のミュージシャンを揃えた。クラブとかに出かけて「一番上手い奴は誰だ?」って訊いて周って、凄い奴を見つけた。ドラマーはもうずっと一緒にやってる奴さ。2003年の俺のソロアルバム『Masquerade』でもプレイしてる。
Whitesnake と Winger、2つのバンドのスケジュールを調整するのは大変ですか?
長らくそれは問題じゃなかった。でも今はちょっとした問題になってきた。ロッド・モーゲンスタインは65歳だ。俺たちは Winger があとどれだけやれるかわからない。もちろん次のアルバムは出すつもりだけど。
一方、デヴィッドは休みを取る。彼が1年休みを取ったら、Winger が活動するときだ。だから俺たちは Whitesnake の動きに合わせてスケジュールを組む。でも今年 Whitesnake は随分と活動するから、 Winger は後回しになってる。
彼(キップ)は実際、誰か俺の代役を見つけるという話をしていた。わからないけれど、俺が Whitesnake でいないときには、アンディ・ティモンズなら俺のいい代役になるだろう。8月には Winger の新譜の作曲をする予定だ。
(訳者注:8月にキップの兄ネイト・ウィンガー氏が亡くなり、キップとレブのライティング・セッションは延期となりました)
Whitesnake のツアースケジュールを見ると、数年は続きそうですよね。そうすると Winger にはあまり時間が裂けないように思えます。
ああ。でもデヴィッドのツアーは散発的だ。ある年はひたすらツアーを周って、でもいつも翌年にはスローダウンする。3ヶ月だけツアーしてそれだけ、という具合に。でもわからないな、彼は膝の手術を終えてとても調子がいい。2020年もずっとツアーできるのかも。
残念ながら今年イギリスでの Whitesnake のライブはダウンロード・フェスティバルだけです。
ああ、でもデヴィッドは必ずイギリスに戻ると思うよ。
ダウンロード・フェスティバルでは新曲をプレイしますか?
ああ。これからリハーサルするんだ。デヴィッドが新曲を6曲選んだから練習する予定だ。リハーサルでスタジオ入りする前に3日あるから必死に覚えなくちゃならない。俺はバンドのミュージック・ディレクターだから新曲を完璧に把握してなくちゃならない。特にジョエルはきっと完璧にしてくるからな。彼はきっと何週間も前から新曲を練習し始めてとっくに完璧にしてるだろうさ。信じられない奴なんだよ、彼の練習スケジュールってのは並ぶものがないくらいなんだ。何しろ彼の両親は音楽家でどうリハーサルするか、ひたすらひたすら練習するってことを教えたんだ。一方の俺はギグがない限りギターを触ることさえないんだからな。
では、あなたも何曲か新曲をプレイすることは予想していますね。
もちろん。新曲は6曲練習したけど、全部はやらないから、どれがライブ・パフォーマンスにいいか様子を見る。"Sands of Time" を試したいし、"Get Up" はもちろんやる。"Hey You" は俺のお気に入りなんだが、あのリフは俺がずっと温めていたものなんだ。"Shut Up and Kiss Me"、"Trouble is Your Middle Name" はもちろん。これらをプレイしてどれが映えるか見極めるよ。
※参考資料 6/14 Download Festival Whitesnake setlist
01. Bad Boys
02. Slide It In
03. Love Ain't No Stranger
04. Hey You (You Make Me Rock)
05. Slow an' Easy
06. Trouble Is Your Middle Name
07. Guitar Solo
08. Shut Up & Kiss Me
09. Get Up (with Drum Solo)
10. Is This Love
11. Give Me All Your Love
12. Here I Go Again
13. Still of the Night
最後の質問です。もしあなたがインタビューする側になったら、誰にインタビューしたいですか?
わお、いい質問だ。それは今までに訊かれたことがなかったよ。マジでいい質問だ。
そうだな、エース・フレーリー。エースにインタビューしたいよ。彼なら面白いKISSの話ができるだろう。俺、実は15年ぶりに今年のKISSのワールドツアーを見に行くつもりなんだ。
今KISSの話題が出ましたけど、このバンドがライブでボーカルの補強やその他音源を使っていることに対してネットでは批判があります。あなたが観客になった場合、そういったことは気になりませんか?
ああ。俺たちは皆歳をとるんだ。ライブでのサウンドが良いものである限り、ちょっとした助けはいいと思う。だって、いいサウンドとパフォーマーを観たくて来てるんだから。俺はちょっとした補強はいいと思ってる。
デヴィッドは違う。彼はああゆう類のモノを使うことは拒否している。Winger ではずっと話し合っている。ドラムキットの裏で Pro Tools からバックグラウンド・ボーカルがながれたらつまらないだろうな。それかロッドがバックグラウンド・ボーカルのサンプル使ったり。80年代には俺たちああいうビッグなボーカル・プロダクションをやったんだ。そいつは The Rolling Stones が "I can get no (satisfaction)" で言ってるのとは違う。あれはトークソングだ。Winger や Whitesnake の曲は60歳になって歌うには高過ぎるんだ。キーを下げたり、変えたりしなくちゃならない。デヴィッドはどんなものでも音源は決して使わないと言っている。
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Frontiers から出る予定のソロアルバムはどうなっているのでしょうか?もう秋です。 Frontiers はインストアルバムに対して消極的なレーベルのようなので、彼らとの契約が本当にまとまっているのか若干心配です…
数か月前にこのインタビューを読んだときには、Winger でレブの代役を立てる話が出ていることに驚いたのと、やはりキップとレブの認識において、頼りになる高いレベルのプレイヤーといえばアンディなのだと納得したことを覚えています。けれど、その後この話は出てきていませんので、構想だけで終わったのでしょうか。アンディは80年代のロックギターとは異なるキャリアの道を進んでいるので、いくら友情の為とはいえこの話は受けないのではないかと想像します。機会があったらアンディに訊いてみたい。でも、Winger のライブに行ってレブがいないというのはちょっとありえないのではないかな。
それからKISSで話題になっている音源使用の件、レブの見解とカヴァ様の見解が読めたのは興味深かった。カヴァ様こそ使用を考えるのも理解できるのですが、そこは断固NOというところに、プライドとプロフェッショナリズムを感じます。今のWSはバンドにいいシンガーを揃えているので、彼らにステージで生補強してもらえばいいのではないかな。やはりライブは生のプレイと歌を聴きたい。