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ジョエル・ホークストラ 「ギターソロよりも曲に重点を置いている、フォーカスしたのはメロディだ」

ジョエル・ホークストラがメディアのインタビューに応えました。ニューアルバムの作曲について、また音楽ビジネスの現状についてなど語っていますので、以下和訳してみました。

myglobalmind.com

ジョエルのサイドプロジェクト、Joel Hoekstra's 13 のニューアルバム 『Running Games』 は2月12日に海外/国内盤発売です。あと1日ズレていれば発売日も13日になったのに、ジョエルもきっと残念がっていそうです。(13はジョエルのラッキーナンバー)

参加ミュージシャンは前作に引き続き、ヴィニー・アピス(D)、トニー・フランクリン(B)、デレク・シェリニアン(Key)、ラッセル・アレン(Vo)、ジェフ・スコット・ソート(B Vo)で、ミックスは今や Whitesnake のミキサー、クリス・コリアー。

全曲のサンプルはこちら。

 

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"Running Games" をアルバムタイトルに使ったのはなぜですか?

このアルバムでは、前作のようにテーマを持って臨んだのではなかった。前作には最初からテーマがあったんだ。ニューアルバムでは全て作曲を終えてから、全ての曲には「逃げる/逃避」といった共通のテーマがあると感じたので、タイトル曲を最後に書いた。始めこのアルバム用に何曲かヘヴィな曲を書いていたけど、アルバム全体をまとめるのにこの曲を書く必要があると感じたんだ、良い締め括りにね。

"Hard to Say Goodbye" のようなメロディックな曲を書くときには、リフまたはメロディのどちらから書き始めるのでしょう?

その曲は最初にメロディがあったんだ。しばらくメロディが頭にあって、多分このアルバムで最初に書いた曲だ。Whitesnake で日本にいるときに書き始めたんだ。(訳者注:恐らく2016年、前作の発売が2015年10月だったので、1年後には次作のライティングを始めていた模様)ツアー中僕は大抵近くを散策するのだけど、時折アイデアが浮かぶんだ。ウィーンにいたときにスクラッチ・ギターを録った。(訳者注:スクラッチ・ギターとは、曲を記録するために録音するギターパート。ここでは恐らくメロディパート)

作曲時には曲のバランスに気を遣っているんだ、メロディ主体の曲とヘヴィでギターリフを土台にした曲というように。ヘヴィな曲が好きな人、キャッチーな曲が好きな人の両者を満足させるバランスには目を見張るよ。メロディから先に書いた曲が3~4曲、残りはリフから書いた曲だ。僕はリフを書いているときでも、頭にコーラス(サビ)のアイデアがある。コーラスが強力なら、ヴァースにメロディを書ける。メロディを探すのに声を出して歌ったりもする。

ギターリフからのみ作曲を始めるバンドもあるけれど、僕には時として難しいんだ、どんな曲か想像ができなくて。仕事をする相手によってプロセスは異なる。1990年代や2000年代には僕はポップス系のソングライターと仕事をしていたのだけど、彼らはナッシュビル的な「コーラス・アウト」の思考様式で作曲していた。コーラスから始めて曲を生み出すんだ。僕はそういうやり方をする傾向があるね、僕がやるのはハードロック/ヘヴィメタルだけど。

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"Cried Enough for You" や "How Do You" のような曲では壮大なプロダクション・アレンジがみられます。TSO曲のプロダクションに影響されましたか?

僕は共に働く人やその状況に影響されるから、TSOの影響は何らかあるだろうね。でもそれらの曲ではアルバム参加メンバーの影響の方が大きいだろう。"Cried Enough for You" には Black Sabbath ぽい陰鬱なアコースティック・パートがある。"Children of the Sea" みたいな感じだ。ボーカルメロディがリフを辿るのも Sabbath ぽくしている。ヴィニー・アピス(ドラムス)とプレイすること自体もそのヴァイブを加えることになっているだろう。

あなたは多くのバンドで活動していますけれど、ソロアーティストとして独自のサウンドを見つける重要性についてどう思いますか?

ずっとソロアーティストとしてのサウンドはあったんだ。何年も前には数枚のインストゥルメンタル・アルバムを出した。でもこのプロジェクトは僕の別の分野のサウンドだ。この2枚のアルバム(JH13)は僕が現在やっている音楽、僕のインストゥルメンタル・アルバムとは対照的な分野に興味のある人に届くものだ。僕にとってはつまるところ、曲のヴァイブ、ボーカルが誰か、演奏者が誰か、サウンドのあるべき姿にかかっている。

ドラムスはヴィニー・アピスで彼が独自のユニークなスタイルで土台を創ってくれた。トニー・フランクリンのベースはヴィニーに完璧にフォットする。トニーが前作でヴィニーの起用を勧めてくれたんだ。そしてボーカルのラッセル・アレンがぴったりくる。

彼らとまた仕事することにした理由は何でしょう?

リスナーが期待するブランド又はサウンドが重要ということさ。アルバム毎に全く違うサウンドというのにはならない。継続性さ、それに今回は前作の作曲スタイルにフォーカスしてみたんだ。あのアルバムではボーナストラックの "Kill or Be Killed" が Metallica 的なヘヴィさがあるところから、"What We Believe" では全く違うヴァイブまであった。

レーベルからはもっと範囲を絞ってフォーカスするよう言われたよ。時には僕にとってそれは難しいんだ、僕の作曲の幅が広いから。僕が好きなアルバムは全ての曲が同じように聴こえないものだ。でもリスナーにはもう少しフォーカスしたものが必要で、アルバムを再生したときに期待したあるヴァイブがあることでアルバムを聴きこめるんだ。

 

2019年のインタビューでもジョエルは2ndアルバムの楽曲に自信を持っていました。

staytogether.hateblo.jp

ニューアルバムで典型的な自分の作曲とは違うと思える曲はありますか?

それに近いと思えるのは "Running Games" だね。アコースティックとパーカッションだけの曲で、ヴィニーとデレク(シュレニアン)はこの曲で弾いていない。だから、少し違うけれど、意識的にアルバム全体をまとめるつもりで書いた曲だ。

アルバムのギターソロでこれまでにやったことのないことで自分に挑戦したものはありますか?

いや、ただ自分のプレイをしていいテイクを録っただけだ。僕はあまり多くのことを詰め込まないようにしているんだ、継ぎ合わせぽく聴こえないように。まとまりのあるテイクが欲しいんだ。このアルバムはギターソロよりも曲に重点を置いている。ギターソロに燃える情熱と多少の速弾きは重要だけど、フォーカスしたのは曲のメロディだ。

曲またはソロでいつも使うお気に入りのエフェクトはありますか?

余り多くのエフェクトは使わないんだ。ディレイを少しとモジュレーションを掛けてファットなサウンドにするのが好きだね。ソロにリバーヴやコーラスを掛けるのは好みじゃないんだ。

このアルバムの曲の中で、Whitesnake の『Flesh & Blood』アルバム用にデヴィッド・カヴァーデイルに提示したものはありますか?

『Flesh & Blood』はデヴィッドがコーラス(サビ)を書いてそこから書き上げたアルバムだ。歌詞もメロディも全て彼が書いたんだ。まあ、いくつかのリフは彼に聞かせたかもね。

以前とは異なり、成功したバンドの主要メンバーであってもソロプロジェクトやサイドバンドとの掛け持ちが許容される風潮となりましたが、その変化についてどう思いますか?

あまり語りたくない人もいるだろうけれど、全てを推進するのはビジネスだよ。1つだけでやれる人なんて僅かしかいない。これで生計を立てるなら、1年中働く必要がある。でも1年12ヶ月活動するバンドなんてあるかい?多くはないし、特に(コロナ禍の)今はそうだ!

結局のところ、それが原因さ。曲のストリーミングで稼げる人なんていない、レコーディングから対価が入らず、今はライブで稼ぐこともできない。おかしな理由からそういう話をするのはクールじゃないんだ。皆はミュージシャンがその話をすると欲深いと思うんだ。そうじゃない、生計を立てようとしてるだけなんだ。思うんだけど、皆はミュージシャンが皆富豪だと思ってるのじゃないかな、それは全くの間違いだよ。裕福なミュージシャンがいないと言っているのではないよ、かつて何百万枚ものアルバムセールスを上げた人たちだ。

でも僕らの多くは一般の人たちと同じなんだ。成功したって印象を与えたいならこの話はカッコよくないのだろうけど。正直に言って、僕はこれをアートへの愛でやっている、僕のソロアルバムはアーティストとしての表現活動なんだ。お金になんてならないからね、ただ僕が愛することをするチャンスなのさ!

アルバムのプロモーションのためにライブストリーミングはやりますか?

ラッセルから先日電話があって、アコースティックのライブストリーミング・ショウについて話したよ、僕ら2人だけで。彼は近くに住んでいるから、2人なら集まっても安全だろう。フルバンドを集めて飛行機で移動してホテル滞在するのは難しすぎるから。皆を危険にさらすべきじゃない。

ストリーミング・コンサートの多くが上手くいかなかったのは、コロナ陽性テストや、そもそも成果を出す前に費用がかかるからだ。今は難しい時代だよ、もしショウをやることになったらアルバムからの曲とその他の曲になるだろう。できるかできないかわからないけど。

 

2017年に1回だけ実現した Joel Hoekstra's 13 のセットリストはこちら。

staytogether.hateblo.jp

Whitesnake について何か最新状況で言えることは?

まだ未定だ。僕らはデヴィッドが空にバットマンの印を上げるのを待っているのさ。(笑)それが上がれば全員集まるよ。今のラインナップが好きだし、デヴィッドとの仕事も好きだ。安全で適切な時が来たら、皆で集まるのを楽しみにしている。いつかツアーに戻れるのを願っているんだ。

とは言え、僕は今のこの状況に集中して、再びツアーに出ないかのように仕事を続けるつもりだ。僕はそういうアプローチをしている、そしてまたツアーに出られるようになったら嬉しい驚きに浸るよ。

エンターテイメント業界にいるあなたにはツアーが再開される時期について何か見通しはありますか?

皆と同じようにニュースを聞くだけだよ。今の時点では政治家が采配しているけれどこれからは、コンサートに人々が来るのかは彼ら次第だ。皆と同じように僕らも待っているんだ。僕はその間何もせずに座っているようなことにはしたくない。

かつて無い程に忙しいよ。アルバムを仕上げたのはその一部だ。毎週アーティストのセッション仕事をしているし、いくつかの楽曲でゲスト演奏もしている。週に30のプライベート・レッスンをしているし、Rock & Roll Fantasy Camp のマスタークラスでも教えている。リモートでのミュージックビデオにも幾つか参加したし、Cameo もやっている。その合間に家で父親の仕事も、毎日休みなしさ。

それに Frontier レーベルのプロジェクトのマイケル・スウィート(Stryper)とネイサン・ジェイムズ(Inglorious)とアレッサンドル・デル・ヴェッキオ(co-producer)のアルバムにギターリフを提供している。(訳者注:このプロジェクトは他にドラムスでトミー・アルドリッジ(Whitesnake)とマルコ・メンドーサがベースで参加します)

 

それから、ジム・ピートリック(元Survivor)がプロデュースするアルバムにも参加している。今はこうした人たちと仕事ができる大きなチャンスなんだ。

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